これは1N270です。
MXRのdistortion+に使われているゲルマニウムダイオードです。
そうです。distortion+にハマってます。



海外の電子部品を得意とする電子部品店から仕入れたもので、

1N
27
0
BKC

と表記されています。




それに対して・・・



秋葉原の某店で1N270として販売されているもの・・・




うーむ・・・

見た目だけでいうとそこらへんに普通に売られている一般的なゲルマニウムダイオードの1N60と区別が付かないので、混ぜてしまわないように注意しなければなりません。


参考までにそこらへんに普通に売られている一般的なゲルマニウムダイオードの 1N60というのはこれです。
セムテック製の1N60
秋葉原の複数の店で販売されています。



高価な1N270と安価な1N60


比べてみます。


上の2本がセムテックの1N60で、
下の2本が某店の1N270です。




机の上にぶちまけて混ざってしまったらどっちがどっちだか分からなくなってしまいます。



上が1N60で、
下が某店の1N270です。


もともと個体差が大きい作りなのですが、個体差以外の違いは分かりません。



順方向電圧を測定します。
ばらつきがあるので複数測ります。

1N60は258.6mVから


264.6mVです。



「bAd」(=BAD)という表示が出ているのは、シリコンダイオードの標準の0.6Vより全然低いからですが、ゲルマニウムダイオードは0.3V前後が標準なので気にする必要なし。



某店の1N270は
258.8mVから


269.9mVです。





見た目だけでなく、順方向電圧も区別が付きません。



案外これは・・・

机の上にぶちまけて混ざってしまってどっちがどっちだか分からなくなってしまっても同じ1N60として使えば特に困ることは無いのかもしれません。
(それでは困るのですが・・・)



ちなみに本物の1N270は
234.2mVから


一番高くて237.0mVでした。





セムテック1N60・・258.6mV〜264.6mV
某店の1N270  ・・・258.8mV〜269.9mV

本物の1N270  ・・・234.2mV〜237.0mV



うーむ。



そして・・・



これら3種類は音を比べても同じですね。



ドゥーン・・・



聴き比べる時に「ダイオードを交換する時間」を挟んで記憶した音と比べるので、僅かな違いは逃している可能性もありますが、シリコンダイオードと比べると全然違うことが分かるのに対して、これら3種類は同じです。
正確に言うと、ギターとしては同じ音と捉えて差し支えありません。


まぁ0.6Vと0.258Vの差なら分かっても
0.258Vと0.234Vの差は分からない、分かりにくい、ということでしょう。



そもそもダイオードクリップというのは元の音は変わらないわけで、

0.6Vのダイオードで0.6V以上の部分をカットすれば波形はこのような形になるし


0.3Vのダイオードで0.3V以上の部分をカットすれば波形はこのようになるので、
(赤い部分の)波形が変わることで音が変わるわけですが、

ダイオードの中を信号が通るわけではないですし、大きな違いは波の高さなので、この波形の違いだと音質よりも音量が変わることの方が目立つわけです。



つまるところ、シリコンダイオードとゲルマニウムダイオードの違いは、シリコンかゲルマニウムかという素材の違いではなく、順方向電圧の大きさの差にすぎないわけです。

順方向電圧が0.25V〜0.3V前後のゲルマニウムダイオード2本を直列にすれば0.6Vになるので、シリコンダイオードと同じ音になってしまうわけです。


誤解されては困るのですが、ゲルマニウムダイオードなら何でも同じということではありません。

あっちのゲルマニウムダイオードとこっちのゲルマニウムダイオードで音が異なるということはあり得ます。

その場合は、その2種類のゲルマニウムダイオードは順方向電圧が一定以上異なっているはずです。


まぁ当たり前の話ですが。



じゃぁわざわざ高価な1N270なんか使わなくても安価な1N60でいいじゃないか、

というと・・・

それはまた違う話になって、distortion+のダイオードは1N270じゃなきゃ駄目なのです(笑

そこには、音や理屈やプラシーボ効果とは別の、何かがあるのです。

所有欲や満足感あたりかな?


うーむ。