今度はグレン・フライが | 自然と音楽の森

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洋楽の楽しさ、素晴らしさを綴ってゆきます。

20160119GlennFrey

 グレン・フライが亡くなりました。
 享年67。
 
 このところまるで何かの連鎖のように、僕がリアルタイムで聴いてきたミュージシャンが次々と亡くなっています。
 実は一昨日、デヴィッド・ボウイの記事を書いている時、まだまだこのようなことが続くのかな、そろそろいったん終わりにしてほしいと願ったばかりの今日で、あまりにもショックが大きい。

 スポニチアネックスの訃報記事を引用します。

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 米ロックグループ「イーグルス」の創設メンバーで、リーダーを務めたグレン・フライ氏が18日、関節リウマチ、急性潰瘍性大腸炎、肺炎といった複数疾患の合併症のため、米ニューヨークで死去した。
 67歳だった。

 「彼は自分の兄弟のような存在だった。ほとんど家族といっていい。最後はいくつかの機能障害を抱えていたんだ」と悲報に肩を落としたのは、フライ氏とともにグループを創設したドラムのドン・ヘンリー(68)だった。

 「イーグルス」は1971年に創設。
 Hotel Californiaなど、数々のヒット曲を世に送り出したが、「すべては彼が点火役となって始まった。
 解散していた時期もあったが、同じ夢を持った若者2人が45年前に結んだ絆が消えることはなかったよ」とヘンリーは振り返る。

 その後も、ポピュラー音楽への知識が広く、仕事への意識が高かったこと、そして、何より家族思いであったとフライ氏について語るヘンリー。
 「私は今後も彼とともに歩んだ人生を感謝するだろう」と続けると、最後に「安らかに眠れ。あなたは自分の思い通り、いや、それ以上のことをやってのけた」と故人へメッセージを送った。

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 ドン・ヘンリーの言葉、早いですね、ほんとうに仲が良かったんだなあと。


 グレン・フライを僕が知ったのは1984年のSexy Girlでした。
 当時高校生、そういう年頃だから、「ベストヒットUSA」か何かで流れた翌日、クラスで"Sexy"を妙に強調して歌ってからかう奴がいましたが、この時、グレンが元イーグルスのメンバーであることを知りました。
 その曲のクリップを貼り付けるつもりでしたが、著作権関係で音が出なくなっていて意味がないのでやめました、悪しからずご了承ください。

 グレンを知ったのがイーグルスではないのにはわけがあって、イーグルスHotel Californiaはそれまでに知っていましたが、グレン・フライがイーグルスのメンバーだったことはすぐには結びつかなかったのです。
 知った時、ああ、この人はそんなすごい人だったのか、となりましたが、まあこの辺は80年代リアルタイムらしい話しでしょうね。

 ここではイーグルスではなくリアルタイムで接したソロを中心に話してゆきます。

 
 僕の世代、やっぱりグレン・フライといえばこれでしょう。



 The Heat Is On
 Glenn Frey
 (1984)

 映画『ビバリーヒルズ・コップ』のテーマ曲として最高2位の大ヒット。
 R&B色が濃いロックンロール、いかにもアメリカといった雰囲気が最高にいいですよね。
 大好きな曲でしたがサントラもシングル盤も買わず、でもなぜか同サントラのポインター・シスターズNeutron Danceのドーナツ盤を買ったのでした。
 
 映画も大好きで、当時2回劇場に行きましたね。
 2回目は高校の友だちと弟と3人「映画の日」で1000円、満席だったっけ。



 続いてテレビドラマ「マイアミ・バイス」のサントラのこの曲。

 


 You Belong To The City
 Glenn Frey
 (1985)
 
 当時高校生の僕はヒットチャートに夢中でしたが、当時、クラスメートとこの曲がNo.1になるか賭けをしました。
 賭けといっても実際は何も賭けなかったのですが、僕は1位になる、クラスメートはならないと。
 ならなかった、惜しくも2位止まり。
 グレンは2曲2位があるけど1位はついに達成できなかったんですよね。
 賭けをしたそのクラスメートは当時数少ないプリンスが好きな人で、結構よく音楽の話をしました、懐かしい。

 この曲も気に入ったのですが、高校生が聴くには落ち着き過ぎていたのか、他のアーティストの曲も入ったサントラだったからか、タワーレコードの店頭で何度か悩んで結局買いませんでした。
 
 
 僕が大学に入り、グレン・フライはバイス以来3年振りの新作SOUL SEARCHIN'を出しました。
 そこからのシングル曲




 True Love
 Glenn Frey
 (1988)

 当時ラジオで聞いた話、うろ覚えですが紹介します。
 グレン・フライは当時どういう音楽をやろうか悩んでいた。
 ドン(・ヘンリー)はR&B、ジョー(・ウォルシュ)はロックンロールが持ち味だから同じことはしたくない。
 なら僕はソウルだ。
 そういうコンセプトで作られたアルバムがこれ。

 このアルバムは密かな名盤だと思う。
 僕も二十歳をすぎて、落ち着いた音楽が分かるようになってきたのでしょう。
 今日これから久し振りに聴くことにします。


 それからはイーグルス再結成もあってオリジナルソロアルバムはこの次の1992年に出た切り、その後ライヴ盤も出ました。

 その20年後、4年前にアメリカン・スタンダードやロックのオールディーズのカヴァーアルバム(一部オリジナル曲あり)のAFTER HOUESが出ました。

 その中から1曲、ジャズスタンダードを。



 The Shadow Of Your Smile
 Glen Frey
 (2012)

 グレン・フライって、パッと見陽気なアメリカンの典型といった感じですが、よく見るとちょっとした陰りがあって、でも決してじめじめはしていない、その辺のさじ加減が絶妙な人だと思います。

 こういう曲をやると、人によってはもっとしっとりと聴きたいかもしれない。
 でも基本ロック人間の僕には、深入りしないというこのスタンスが、なんというかこう安心できる部分。 
 だからこのアルバムも大好きで、出た当時は毎日のように聴いていました。

 グレン・フライのキャラクターの話をすれば、キザでニヒル、って死語かな? 時代を鑑み敢えて使ってますが、鼻持ちならないような仕草をするんだけど、なぜか嫌みがない。
 かといって間抜けでも滑稽でもなく、それらしい人に見える。

 きっといい人で、外側を繕うことで人間性を偽るのではなく、気持ちの中に大きなユーモアや遊びの部分があることが見る人に伝わってくるからではないかと思います。
 
 ちょっと鼻にかかった粘りのある独特の声もそんな人間性にぴったり。


 さて、やっぱりイーグルスに触れないわけにはゆかない。

 まず1曲



 I Can't Tell You Why
 Eagles
 (1979)


 最後に加入したベーシストのティモシー・B・シュミットの持ち歌ですが、この曲だけギターソロをグレン・フライが弾いています。
 グレンの持ち味はソウルと書きましたが、この曲のソロはまさにそれがはまっていますよね。
 名ギターソロのひとつに数え上げられるでしょう。



 しかしやっぱりグレン・フライといえばこれ。



 New Kid In Town
 Eagles
 (1976)

 僕が、ビートルズとそのメンバー以外すべての中でいちばん好きな曲。
 ご興味がある方、詳しくはこちらの記事をご覧ください。


 
 ドン・ヘンリーの話によれば、グレン・フライは最後いろいろ障害があったということで、2012年のアルバム以降はいろいろ大変だったのかもしれない。
 でもきっと、持ち前の明るさでそれを乗り越えようとしていたことでしょう。

 67歳はやっぱり早すぎます。

 R.I.P.