Delilah トム・ジョーンズ | 自然と音楽の森

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洋楽の楽しさ、素晴らしさを綴ってゆきます。

20160114TomJones


 ◎Delilah
 ▼デライラ
 ☆Tom Jones
 ★トム・ジョーンズ
 released in 1968
 2016/1/14


 本日の1曲 Delilah トム・ジョーンズ

 1月10日放送、今年初の「笑う洋楽展」、「歌い上げる人」のテーマで取り上げられていた曲。
 おそらく同じ映像がYou-Tubeにありました。



 Delilah
 Tom Jones
 (1968)

 「あ、この曲知ってる!」
 CDを買って聴くとそういう曲が出てくるのも楽しみですよね。
 「笑う洋楽展」でこの曲を聴いて、僕はまさにそう言いました。
 さすがに僕も半世紀近く齢を重ね、このところ「あ、この曲知ってる!」に出くわす頻度は二十歳の頃よりうんと減りましたが、先日は久し振りにその感覚が嬉しかった。

 番組でもみうらじゅん氏と安斎肇さんが「ああこの曲か」とよく言っています。
 彼らの場合は僕と逆で、80年代以降の僕がよく知っている曲に対してそう言うことも多いですね。

 トム・ジョーンズのDelilah、でもどこで聞いて知ったかは分からない。
 年代的に、小学生の頃にでもラジオか何かで耳にしたのでしょう。

 この手のポップスでありそうなのは、スーパーのBGMで歌のないイージーリスニング風のが流れていたのを聞いた可能性。
 よく行くスーパーなら聞く機会も多かっただろうし。



 この曲は主人公が彼女を殺めてしまう歌と紹介されていました。
 この曲を知っていた安斎さんは、盛り上がる曲だからもっと明るい内容だと思ってたと。
 

 当時、西ドイツなどでは1位になったものの英国では2位、アメリカでは11位以下の中ヒットに終わった、内容が不謹慎だという声が当時あった、という説明もありました。

 この曲は、ショービジネスを極めたトム・ジョーンズだから出来たのではないかと。
 音楽世界が作り物であることが分かり切っていて、リアリティがない、安斎さんのように純粋に音楽としていいかどうかだけを聴くことができる曲。
 これがもし、私小説的な曲を歌う1970年代以降のシンガーソングライターの歌であれば、「あいつやばいんじゃない」となってしまうかもしれない。
 
 とはいえ、言葉として発せられるものだから、それでも内容を真剣に受け止めて文句を言う人はいたのでしょう。
 それも理解できます。


 同じ曲の別映像、歌詞つきのものがありました。


 
 Delilah
 Tom Jones


 この曲いいですね、とても気に入りました。
 歌メロいいし、歌い上げると映える歌メロの曲が僕は好きなんです。
 曲の覚えが人数倍悪い僕ももう曲は覚えて、サビをよく口ずさんでいます。

 イントロの「カッカッカッカ」という音がホラーみたいで面白い。
 それにしてもすごい声ですね、トム・ジョーンズ、今更ながら。

 番組では毎回安斎さんが最優秀作品を選んでいますが、その日はなぜかみうらじゅん氏に、選んだ作品のCDを帰りに買わなければいけないということになり、ちょっとばかり可笑しかった。

 選んだのはやはりというかこれでした。

 実は僕もこの曲はCDを持っていません。
 それはおろか、トム・ジョーンズもあの「恋はメキメキ」がヒットした時にそのアルバムを(中古で)買っただけで、トム・ジョーンズの代表的な曲はほとんど知らない。
 
 僕も安斎さんにつられ(笑)、先日CDを注文しました。
 今月出る新譜と一緒の注文だからまだ手元には届いていないのですが、楽しみです。
 今日の冒頭写真にCDがないのはそのためです。

 ところで、安斎さんほんとにCD買ったのかな・・・!?・・・


 最初の方の番組でも使われた映像に話を戻します。

 みうらじゅん氏と安斎さんが、周りで踊る人ののりが悪いと言っていました。
 でもこれ、三拍子だから仕方ないんじゃないかな。

 12年前のアイアン・メイデン札幌公演で3拍子のBlood Brothersを演奏したのですが、観客はやっぱりどうのっていいか戸惑っているように感じられたのを思い出しました。


◇ 

 
 You-Tubeに、ルチアーノ・パヴァロッティとトム・ジョーンズが共演するライヴ映像もありました。



 Delilah
 Luciano Pavarotti with Tom Jones

 いかにもパヴァロッティが歌いたそうな曲で、この映像を見つけた時頭の中で「ビンゴ!」と音が鳴りました。
 パヴァロッティも既に鬼籍に入っていますね。





 この記事、実は1/11に上げるつもりでほとんど書き上げていました。
 しかしその日、デヴィッド・ボウイが・・・

 記事を上げるのが伸びたため、思わぬ偶然でこの曲の驚くべきカヴァーの映像にFacebook上で出会いました。

 歌っているのはなんと、ブルース・ディッキンソン!!
 
 彼がメイデンを一時脱退していた1998年、アイルランドのテレビショーに出演した際に、この曲Delilahを歌う羽目に陥ったのです。




 Delilah
 Bruce Dickinson


 ブルースは全身豹柄のスーツに短髪を固め、司会者との軽妙なやり取りの果てに(デフ・レパードなどとからかわれている)、ルーレットで示されたこの曲を歌うことになる。
 メイデンにいなかった頃はこんな「営業」もやっていたんだと思うと、微笑ましくもあり、情けなくもあり、悲しくなってきました。
 あらためてメイデンに戻ってよかった。
 でも当時はメイデンの影から抜け出そうと必死だったのかもしれないですね。

 ただ、この曲はディッキンソンの歌い方には合うし、モチーフもメイデンには合いますね。
 しかし、ルーレットで指名されたはずなのに口パクなのは・・・あ、やめとくか。 

 いっそのことどこかで正式にカヴァーしてくれないかな、ディッキンソンのソロアルバムでもいい。
 いや、ディッキンソンは笑うに笑えなくて却下となるかな・・・

 余談、ディッキンソン意外と背が低いんだなあと、この映像を観て思いました。





 彼女を殺めてしまう歌といえば僕は当然、ビートルズのMaxwell's Silver Hammerを真っ先に思い浮かべます。

 トム・ジョーンズのこの曲は1968年2月リリース。
 一方ビートルズの「マックスウェル」は1968年10月から録音が始められ、紆余曲折を経て69年のABBEY ROADに収録。

 もしかしてポール・マッカートニーは、トム・ジョーンズのこの曲を聴いて触発された??
 ポールは音楽に関して、周りで起こっていることを看過できない人だから、その可能性はありそうです。





 彼女を殺めてしまう曲でもうひとつすぐに思い浮かぶのが、モトリー・クルーのYou're All I Need。
 彼女が好きで好きでたまらず自分だけのものにしたくて殺してしまった、というその曲は実話に基づいているそうです。



 You're All I Need
 Motley Crue
 (1987)





 しかしやっぱり、Delilahといえば反射的にクイーンの曲を思い出しますね。

 フレディ・マーキュリー生前最後にリリースされたINNUENDOの1曲ですが、Delilahとはフレディの愛猫の名前。
 
 2'20"過ぎからのフレディの猫の鳴き声とブライアン・メイの猫声ギターのかけあいが愛らしい。
 そのあとフレディが"I love you"と暴力的に叫ぶ。
 僕は最初、猫のことを歌っているとは知らなくて、こんな言い方で"I love you"なんて言われた方は逆に困るしつらいだろうなと。
 でも、猫なら大丈夫ですね(笑)。




 Delilah
 Queen
 (1991)

 この曲いついてはもっと話をしたいのですが、今回は主役ではなく「引き立て役」だから、この辺にしておきます。

 
 トム・ジョーンズは他に「あ、この曲知ってる」があるかどうか、今からCDが届くのが楽しみです。
 僕はロックではない白人ポップス系はほとんど知らないに等しいので、これから少しずつ広げてゆこうかと。

 
 と書きましたが、11日からこちら、ポピュラー音楽はアデルとエンヤの新譜以外すべて、デヴィッド・ボウイのアルバムばかり聴いています。
 主にあまり聴き込んでこなかったものをとっかえひっかえ。