◎THE ART OF McCARTNEY
THE SONGS OF PAUL McCARTNEY SUNG BY THE WORLD'S GREATEST ARTIST
▼ジ・アート・オヴ・マッカートニー
☆Various
released in 2014
CD-0470 2014/12/12
ポール・マッカートニーの曲を多くのアーティストがカヴァーしたトリビュートアルバム2枚組が出ました。
僕がこの秋いちばん楽しみにしていたCD、今回は久し振りにアルバム記事です。
先ずはYou-Tube映像を1曲。
アルバム1曲目、ビリー・ジョエルのMaybe I'm Amazedです。
国内盤は35曲収録。
ビートルズ時代のポールが(主に)作った曲とソロ時代の曲から幅広く取られています。
このプロジェクトの話は夏頃から聞いていました。
選曲は、各々参加アーティストに任せたのか、逆にプロジェクト側でこの人にはこの曲と進めたのかは分からないですが、とにかく選曲が、気持ちいいくらいにその人にぴったり。
きっと本人たちが選んだ、と思いたい。
ほとんどのアーティストがアレンジはオリジナルのまま。
多少のパッセージを加えたり、その人らしく歌ってはいますが。
そしてキィもほとんどがオリジナル通り。
ポールの曲はそのキィだからこそ生きる、という証明でもあり、ポールへの最大限の敬意の表れでもあります。
そして何よりポールのファンにはうれしい。
演奏は多くがプロジェクト側のバンドで行っており、ポールのバックバンドでキーボードのウィックス・ウィケンズ、ベースのエイブ・ラボリエル・ジュニアなどが参加しています。
曲名の横の西暦はそのオリジナルが発表された年です。
●Disc1
1曲目 Maybe I'm Amazed (1970)
Billy Joel
冒頭を飾るにふさわしいソロ1枚目からの曲、そしてビリー・ジョエル。
ビリーの新録音が聴けるというのもうれしい、ピアノもビリー。
これは、ポールもビリーも聴く人にはおよそイメージ通りの出来。
でも、ポールがこの曲を作った頃はまだ30歳にもなっておらず、一方今歌うビリーは60歳を過ぎて、曲に貫禄がついていますね。
寂しいけれど涙は出ない、という感慨。
そしていろいろな女性の姿がビリーの頭を去来した・・・初めての人だったかもしれない。
コーダの部分にちょっとだけビリー独自のパッセージがあるのがいい。
2曲目 Things We Said Today (1964)
Bob Dylan
なんとボブ・ディラン!
1964年の曲を選んだのは、ポール=ビートルズとディランが初めて会った年であり、ディランにも思い入れが深いのでしょう。
意外にも歌メロがほとんどオリジナルのまま、もちろんディランらしい節回しで歌うのですが、オリジナル同様に歌おうとするディランが、なんというか、いじらしいというか、どこかかわいらしい(笑)。
【追記】この曲でディランはキィを下げて歌っていました。
一緒に歌ってみて気づきました、お詫びして訂正いたします。
3曲目 Band On The Run (1973)
Heart
メドレー形式のこの曲、バラードありロックンロールありフォークありと、ハートをダイジェストしたような選曲。
Bメロの"If I ever get out of here"の部分のロールする感覚が、あらためてポールのロッカーとしてのセンスの良さを感じます。
そして最後の部分の盛り上がりは温かみに満ちています。
4曲目 Junior's Farm (1974)
Steve Miller
ポールの旧友でFLAMEIN PIEにも参加したスティーヴ・ミラー。
アメリカンテイストが濃いこの曲を、アメリカ代表として歌います。
ギターソロが完全コピーで、あの「高速三連符」もそのまま再現、スリリングさもそのまま、さすがスティーヴ!
5曲目 The Long And Winding Road (1970)
Yusuf / Cat Stevens
キャット・スティーヴンスは、少なくとも僕が洋楽を聴き始めてからは第一線で活躍していたわけではない、でもそんな彼の参加はうれしい。
そんな彼が歌うのが、ポールがジョンにあてた「ラヴレター」のこの曲、古い友だちに久しぶりに会ったような感激を受けました。
この曲が出た頃は、キャット・スティーヴンスもデビューしたての頃。
そういう思いも詰まっているのでしょうね。
シンガーソングライターらしくギターが前に出た演奏もいい。
6曲目 My Love (1973)
Harry Connick, Jr.
キィを変えている最初の曲、ハリー・コニック・ジュニア。
元々ジャズヴォーカルっぽい雰囲気がある曲なので、これはこれでまたいいですね。
7曲目 Wanderlust (1982)
Brian Wilson
ブライアン・ウィルソン、ポールのライヴァルと言われた人。
彼がポールのどこが好きか、RUBBER SOULを初めて聴いて何に心を動かされたか、この曲を選んだことでよく分かった気がする。
最後の部分でオリジナルにはないパッセージを入れているのは、ライヴァル及び作曲家としての強い矜持、もちろんそれがいい。
僕がいちばん好きなポールの曲を、ブライアン・ウィルソンが歌ってくれたことは、僕にとっても最高の幸せ。
8曲目 Bluebird (1973)
Corinne Bailey Rae
コリーヌ・ベイリー・レイは今回、僕が知っている中では最も若い人。
幸せのようでどこか不安、そんな朝を迎えたこの曲に、けだるい雰囲気の彼女の歌い方はよく似合う。
ところで、そうだ思い出した。
コリーヌ・ベイリー・レイは2枚目の国内盤ボーナストラックでMy Loveを歌っていてそれがとってもいいらしいんだけど、僕は輸入盤を買ってしまい、まだ聴いたことがない。
そろそろブックオフで安く買えるかな・・・無性に聴きたくなってきた。
9曲目 Yesterday (1965)
Willie Nelson
ウイリー・ネルソンの説得力にはもう黙って聴くしかない。
いい意味で、この歌にはそれ以上書くべき言葉が浮かびません。
ヴァースを一度増やしハーモニカのパートに当てているのがまたいい。
それにしても、このような曲を20代前半で書いていたポールって。
10曲目 Junk (1970)
Jeff Lynne
ジェフ・リンのこれが泣けました。
僕はジェフ・リンというと、今はどうしてもジョージ・ハリスンを思い出してしまう。
ジョージの人生の最後に真の友人となり、ジョージの遺作のリリースに尽力、しかしそのことをおくびにも出さない真面目な人。
ポールが「思い出なんてくずみたいなものだ」と歌うこの曲。
ジョージとの思い出を、ポールの曲を借りて表現しているようで。
しんみりとした曲だけ、余計に涙腺を刺激されました。
11曲目 When I'm 64 (1967)
Barry Gibb
ビー・ジーズのバリー・ギブがこの曲を歌うのは、家族の大切さを歌ったこの曲を通して、64歳まで生きることなくこの世を去ったた弟たち、モーリス、ロビン、さらにはアンディへの思いがにじみ出ているようで胸にしみてきます。
でも、それを敢えて大きなユーモアで包んで歌う、そこがまたいい。
キィを変えているけれど、アレンジはオリジナルのイメージ。
コーラスはビー・ジーズ風でもありますね。
なお、原曲の表記は"Sixty-Four"ですが、ここではこの盤の表記に従っています。
12曲目 Every Night (1970)
Jamie Collum
ジェイミー・カラムはまったく知らない人でしたが、調べると1979年英国生まれのジャズミュージシャン、マルチプレイヤーとのこと。
なるほど、いい線ついてくる選曲だ。
この曲はとりわけ英国の香りが強いと思うし。
13曲目 Venus And Mars / Rock Show (1975)
Kiss
キッスずるい(笑)、2曲歌ってる、なんて。
ただ、前半はポール・スタンレー、後半はジーン・シモンズと一応、メインヴォーカルは分けています。
この曲の当時は、ポール・マッカートニーが解散後の混迷から抜け出して再びトップに返り咲き、人気絶頂の中で全米をコンサートで回りファンが大熱狂した、という頃。
キッスのこの曲は、そんな人々の喧騒をよく表していますね。
可笑しいのは、中間部の"Kitty"と繰り返して歌うところ。
妙に感情がこもっている、その響きだけも面白いのですが、キッスはハローキティとコラボした商品が出ていますよね、どうしてもそれを思い出してしまい可笑しかった。
なお、キッス名義ですが、演奏はプロジェクト側のバンドで、ポール・スタンレーとジーン・シモンズはヴォーカルのみです。
14曲目 Let Me Roll It (1973)
Paul Rodgers
ポールが本格的R&Bを彼なりに再現したこの曲を、ポール・ロジャースは本格的なR&Bに仕立て上げている。
カッコいい、ひたすらカッコいい、もうそれだけ!
まるでポールがポールのために作曲したかのよう。
て、それだけを文字通り解釈すると間違いではないのだけど・・・
昨年の来日公演で演奏した中でも特に印象的だったこの曲、今はもう昔よりも人気も上がってきているかな。
15曲目 Helter Skelter (1968)
Roger Daltrey
ロジャー・ダルトリーは恐いヴォーカリストですよね。
彼自身はクスリをまったくやらないように健康志向の人ですが、彼の歌には、日常に隠された狂気が感じられる。
そうなるともう、歌うのはこれしかないでしょ。
声が破裂してますね、それもすごい。
最後のヴァースの"Do you do you do you don't you"や"Tell me tell me tell me tell me"と多く歌うところはぞくぞくっときます。
16曲目 Helen Wheels (1973)
Def Leppard
英国代表デフ・レパードは歌のみならずバンド全員参加。
ということは、ジョー・エリオット、フィル・コリン、ヴィヴィアン・キャンベル、リック・サヴェージ、リック・アレンが楽しみながら演奏している! と思うだけでファンとしてはうれしくなりますね。
いい意味で深刻ではない選曲も彼ららしくて好感が持てます。
ところで、そうか、この曲の歌詞には"Liverpool"と"West Coast Sound"が出てくるんだ、今にして思った、それもポールらしいところだ。
17曲目 Hello Goodbye (1967)
The Cure featuring James McCartney
キュアーはMTV時代によくかかっていたのですが、申し訳ない、CDではまともに聴いたことがないのです。
でもいつか聴いてみたいと思っているバンドではあります。
そしてジェイムス・マッカートニーはポールの長男。
ロバート・スミスの艶っぽい歌い方はこの曲の深層心理をえぐるよう。
声にエフェクトをかけているのは、サイケの時代っぽいようで、キュアーらしくもある、なかなかに効果的。
18曲目 I Will (1968)
Yosui Inoue
日本盤ボーナストラックには井上陽水のこれが収録されています。
ポール側が、日本盤ボーナストラックを入れるに際し、日本を代表するアーティストとして井上陽水を指名し、彼も快く引き受けた、というネット上の記事を見ました。
井上陽水は、この曲を楽しげなカリプソに仕立てました。
でも、正直言うと、僕のこの曲のイメージとはまるっきり違う。
とだけ話してここは終わらせていただきたいと思います。
●Disc2
1曲目 Live And Let Die (1973)
Billy Joel
ビリー・ジョエル再び登場。
「平静」と「混乱」が交互に訪れるこの曲もビリーにぴったり。
「素顔のままで」と「プレッシャー」の人ですからね。
ビリーの2曲は、どちらも昨年のポールのコンサートで演奏し、しかもピアノに向かって歌っていた、と書けば納得でしょう。
2曲目 Let It Be (1970)
Chrissie Hynde
クリッシー・ハインドのこの曲はCDが出る前からFacebook上で素晴らしいという記事が上がっていましたが、ほんとその通り。
今のクリッシーには母性を感じますが、彼女はここでは"Mother Mary"の側に立って歌っているように感じられます。
つまり、ポールがビートルズがだめになりそうだと感じた頃、何かの救いを求めて歌った、その求められた側をクリッシーが歌い、すべてを包み込もうとしているのです。
ギターソロも彼女のイメージに合わせたものになっています。
3曲目 Jet (1973)
Robin Zander & Rick Nielsen of Cheap Trick
ポールのトリビュートに参加できると聞いていちばん喜んだのは、ロビン・ザンダーとリック・ニールセン、チープ・トリックの2人でしょうね。
その嬉しさがここでは、ジェットにのって大いに弾けています。
4曲目 Letting Go (1975)
Heart
ハートも2曲目、やはりヘヴィな響きの曲を選んできましたね。
女性のアンの声にはキィが低いようで、まあそのせいで迫力が増しているともいえますが、純粋に音楽としてみればキィを自分に合ったものに変える方がいいのでしょうね。
でもポールのファンとしては、Band On The Runも含め、オリジナルキィで頑張ってくれたことに大拍手を贈りたいですね。
5曲目 Hi Hi Hi (1972)
Joe Elliot
ジョー・エリオットも2曲目、ただしこちらはデフ・レパードではなくソロ名義で、バックはプロジェクト側のバンド。
ポールの中では似たようなアップテンポの2曲を選んでいますが、弟曰く、「ジョーはブギーが大好きなのだろう」、なるほど、納得。
この曲も昨年のコンサートで印象的な1曲でしたが、デフ・レパードのコンサートでも演奏してくれないかな。
実は、デフレパはまだ一度もコンサートに行ったことがないのですが。
6曲目 Hey Jude (1968)
Steve Miller
続いてスティーヴ・ミラーも2曲目参加。
ポールの中でもハイライトといえるこの曲をスティーヴ・ミラーが歌う。
ポールと60年代から親交があるスティーヴだから、納得。
さすがに長いコーダの前の高い声は出していないけれど、コーダの部分のアドリブヴォーカルはかっこいい。
それと、"Then you can start to make it better"の部分で、独自の旋律(ハーモニー)に変えて歌っているのが彼らしくていい。
7曲目 Listen To What The Man Said (1975)
Owl City
アウル・シティも名前すら知らなかったのでウィキペディアを見ると、アメリカ人のミュージシャン「アダム・ヤング」 によるソロプロジェクトの名称である、とのことで、アダム・ヤングは1986年生まれ。
ちょっとばかりカッコつけて歌っていますね、人によっては鼻につくかも。
でも、ポールもそういうところがある人だから、許しましょう。
それにこの曲はそもそも気取った曲でもあるし。
8曲目 Got To Get You Into My Life (1966)
Perry Farrell
ペリー・ファレル、僕には懐かしい。
MTVをよく観ていた頃に、ジェインズ・アディクションやポルノ・フォー・パイロスの中心人物で、オルタナの寵児だった人。
それらを聴くことはなかったんだけど、覚えてます。
淡々と歌いながら少しずつ熱を帯びてくる歌い方がいい。
ここまで忠実にアレンジし歌ってくれるのはうれしい限り。
と思ったら最後、フェイドアウトしないで終わらせているのはとてもいい。
9曲目 Drive My Car (1965)
Dion
ディオンも知らなくて調べると、Dion DiMucci(イタリア系だな)、アメリカのシンガーソングライターということだけど、1939年生まれだからポールより年上ですね。
ちょっと気を抜いたように語尾を上げる歌い方、軽いのりで、この曲当時より今の方が車が身近なものになっていると感じます。
10曲目 Lady Madonna (1968)
Allen Toussaint
なんとニューオーリンズ音楽の「公爵」、アラン・トゥーサンが。
アランとポールはファッツ・ドミノのトリビュートで共演しており、それがまだ続いているのがうれしいですね。
アランの声が意外とかなり若々しくてちょっと驚いた。
そしてギターのカッティング、いかにもスワンプといった粘つき具合がいい。
11曲目 Let'em In (1976)
Dr. John
そしてドクター・ジョン、ここに最強ニューオーリンズライン完成。
ポールの中でもかわいらしさでは筆頭格のこの曲を、あのダミ声のドクター・ジョンが歌ってしまうのか・・・
心配はしていませんでした、むしろそれが楽しみでしたが、予想通り面白くて楽しいドクター・ジョン節。
いや、彼もかわいげがある人であるのは分かっていましたから。
そして、そうか、この曲はニューオーリンズテイストでもあったんだ、と。
いやそれにしても、アレンジほとんどオリジナルのままだから、ドクター・ジョンの「曲者ぶり」がよく分かるというもの。
12曲目 So Bad (1983)
Smokey Robinson
かつてポールが影響を受け、そしてポールからも刺激を受けたモータウンを、ソウルを代表しての参加。
嗚呼、スモーキー・ロビンソンだぁ。
ポールがファルセットで歌うこの曲を選ぶ、さすが。
そうか、これはポールがスモーキーに捧げた曲なのかもしれない。
冗談抜きで、スモーキーがいるだけで涙が出そうになります。
切ない曲がさらに切なく響いてくる。
特に2番のコーラス(サビ)で嘆くように"Yeah"と歌うところなんて。
アメリカの重鎮が構えるここ3曲により、アルバムの重みがぐんと増しています。
13曲目 No More Lonely Nights (1984)
The Airbone Toxic Event
ジ・エアボーン・トキシック・イヴェントは、2006年デビュー、ロサンゼルスのインディーズバンドとのこと。
若い世代にもビートルズやポールの音楽が聴き継がれていることを実感しますね。
アコースティックギターの弾き語りと、チェロを主体としたストリングスに大胆に変えています。
でもキィは同じ、歌のイメージは保たれているし、これはこれでありと思いました。
この曲の売りのひとつはデヴィッド・ギルモアのギターワークであり、それをここで再現することは不可能だから、このアレンジは賢い選択といえるのではないか。
それにポール自身もこの曲は2つのまったく違うヴァージョンを同じアルバムで世に出していますからね。
そしてこの形でやはり歌メロの良さが際立っています。
ところで、このCDが届いたところで、弟にこう聞かれました。
「いちばん新しい曲は何だ?」
この曲ですね、1984年。
ポールの「伝説」は一度その辺りで終わっているのと、今の現役ミュージシャンの年齢からいって、そうなのかな、と。
14曲目 Eleanor Rigby (1966)
Alice Cooper
アリス・クーパーはは自分の魅力が分かり切っている、プロ中のプロといえますね。
ここでCan't Buy Me Loveを歌うと明らかに変だから・・・
きっと彼なりに普通に歌っているのでしょうけど、この曲の根底にあるよどんだ人間模様をよく表しています。
そして歌の良さがやっぱりよく分かる。
15曲目 Come And Get It (1969)
Toots Hibert with Sly & Robbie
トゥーツ・ヒバートwithスライ&ロビー、名前だけ知っています。
これはポールが書いてバッド・フィンガーに提供した曲。
いわば公式海賊盤であるANTHOLOGYでポールが歌うものを聴くことができますが、なんでも、歌、ドラムス、ベース、ギターを、ひとりで多重録音して20分ほどで出来てしまったというもの。
まあ、レコード上ではポールがオリジナルではないので、レゲェにしたこれはこれでいいと思います。
16曲目 On The Way (1980)
B. B. King
ブルーズからは御大B.B.キングが参加。
なななんと、御大が選んだのはこの中でいちばん地味な曲。
弟も、この曲にだけ」「それ何だ?」と聞いてきました。
McCARTNEY IIに収められたブルーズっぽい曲を、B.B.が本物のブルーズにしてしまった、というわけ。
僕も最初にこの原曲を聴いて、おかしなブルーズだと思ったものです。
ボールはブルーズをやってもあまりブルージーさを感じないとよく言われますが、B.B.はそこがもどかしかったのかも(笑)。
まあ、だから逆にポールは普遍性を持てたともいえるのですが。
ここまでずっと、オリジナルだからこそと言ってきましたが、アルバムに埋もれた曲を取り上げ、タイトルを歌う部分に独自の旋律をつけたこのヴァージョンは、こちらの大勝ですね。
そうなんです、タイトルの部分はポールは音が沈むように下がって行くのですが、B.B.は音を上げて主張しているのがいいのです。
17曲目 Birthday (1968)
Sammy Hagar
トリを飾るのはサミー・ヘイガー。
マイケル・アンソニーもお供として超高音コーラスで参戦。
最後の最後、ちょっとだけ、でも2つほど小さな不満。
ひとつ、この曲が最後というのは、流れとしてどうだろう。
もひとつ、サミー・ヘイガーは大好きだけど、だから敢えて言うけど、キィは変えないで歌ってほしかった。
これはこれでサミーの「永遠のガキ大将」ぶりが伝わっていいけれど。
流れについても、2枚組でずっといい歌ばかり聴いてきたところを、最後は軽く開放してくれるのはむしろいいかもしれないし。
それにしてもすごいメンバーだった!!
◇
個人的には、ブライアン・メイとノラ・ジョーンズがいてくれたらもっともっとよかったのですが、まあそれは仕方ないですね。
なお、海外盤で別のボーナストラックが入ったものがあるそうですが、残念ながら入手できていません。
ブッカー・T・ジョーンズが参加していて、何としても欲しいのですが。
このアルバムを聴いて、ある思いが確信に変わりました。
ロックミュージックって何だろう!?
それは、ポール・マッカートニーである。
ポールの音楽には、ロックに必要な全ての要素が揃っている。
これを聴くと、そのことがよく分かります。
なんといっても、今回のアートワークからも分かる、Paul McCartneyはPaul McC "ART" NEYと綴るように、彼自身の名前の中に"ART"が含まれていますからね。
さて、最後に今回はもう1曲キッスのYou-Tube映像です。
上げているところがThe Art Of McCartneyとなっているので、これは公式のものと考えてよいのでしょうか、きっとそうだと思います。
映像は本人たちの動画ではないですが、聴いてみてください。