One Vision クイーン イーグルス8勝目! | 自然と音楽の森

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20141126Queen

 ◎One Vision
 ▼One Vision~ひとつだけの世界
 ☆Queen
 ★クイーン
 released in 1985
 2014/11/26

 クイーンが1985年にシングルとして発表した曲。
 後にロングヴァージョンがアルバムA KIND OF MAGICに収められました。

 今週のフィラデルフィア・イーグルス応援曲はこれ!







 
 NFL第12週目、フィラデルフィア・イーグルスはホームにAFC南地区3位のテネシー・タイタンズを迎えての試合に臨みました。

 試合結果

 テネシー・タイタンズ 24-43 フィラデルフィア・イーグルス

 19点差をつけての大勝。
 今季8勝目(3敗)、これで今季の負け越しがなくなりひとまずほっとしました。

 その前に、第11週目について。
 敵地に乗り込んでのグリーンベイ・パッカーズ戦で20-53と大敗を喫していました、一応、ご報告。
 グリーンベイ・パッカーズはホームで今季まだ負けなし、しかもクォーターバックのアーロン・ロジャースは手が付けられないほどの活躍を見せた試合でしたから。

 NFL16試合、理想を言えば全勝したいですが、冷静に考えると、この試合は負けても仕方がないという「捨て試合」があるものであり、パッカーズとの試合はそのひとつだったと僕も冷静に受け止め、ショックはほとんどありませんでした。
 そもそもパッカーズも応援している上から5番手グループのチームだから。
 もちろんこれがイーグルスのホームであれば、「捨て試合」とはならないのですが。

 さて今節の相手は、先週まで2勝8敗と大きく負け越しているタイタンズ。
 普通に戦えば勝てる相手、どうやら普通に戦ったようです。
 
 しかしQBのマーク・サンチェスはやはりというか不安定。
 300ヤード以上投げましたが、1タッチダウンに対して2インターセプト。
 
 その代わりエースランニングバックのルショーン・マッコイは121ヤードを走り本領発揮。
 
 一方、この試合もスペシャルチームとディフェンス陣がいい仕事をしました。
 スペシャルチームは以前からこのチームの鍵だと話してきましたが、ディフェンスもこのところ向上してきて、ラン守備は32チーム中10位となかなかの成績。
 それでもこの試合は24点を取られましたが、ディフェンスというよりはインターセプトなどのターンオーヴァーの影響のようです。
 といいつつ、2勝の相手に24点を取られたのは、僕としては正直ちょっとばかりショックですね。
 先週の負けよりショックです(笑)。





 さて、今週のイーグルス応援曲は、クイーンのOne Visionにしました。

 なぜ?

 映画『アイアン・イーグル』の挿入歌として使われているからです。
 前回のイーグルス応援曲がロッド・スチュワートのLove Touch、映画LEGAL EAGLESのテーマ曲だった、その時に次はこれにしようと決めたのでした。

 まあ、多少(かなり?)強引にでも、大好きなクイーンを応援曲にできるのはうれしいのですが。

 この曲は最初シングルとしてリリースされ、先述のように後にアルバムに収められました。

 全英7位とクイーンにしては普通のヒット、しかし全米では61位とスマッシュヒットにもなりませんでした。

 


 
 One Visionは、クイーンの曲の中でも、好きかどうかとは別に(もちろん大好きですが)、特に思い入れが強い曲です。

 僕が初めて買ったクイーンのレコードがこれでした。
 写真の輸入盤ドーナツ盤がそれです。

 当時のクイーンは、まあ落ち目というか、勢いがなくなっていた頃でした。
 僕が洋楽を聴き始めた頃は、あの史上最強のベスト盤であるGREATEST HITSを出してキャリアを一度総括した後、新たな道を求めて進んでいた頃で、僕の年代にとっては過去の人になりかけていました。

 ソロ活動を積極的に行うようになったのもこの頃から。

 鶏と卵、どちらが先か分からないですが、ソロ活動活発化に伴い、メンバーの間でもちょっとした問題があったようで。
 この曲から作曲者名のクレジットが実際に作曲したメンバーとは関係なく"Queen"に統一されました。
 まあでも聴けば分かるものもあって、この曲はギターオリエンティドでハードロックだからブライアン。
 とずっと思っていましたが、実はロジャーが大元だそうで。
 ギターが強ければブライアンというイメージに囚われすぎていましたが、曲とは別にギターなんていくらでもアレンジで強調できますからね。
 
 先に述べたようにこの曲はハードロックと言っていい曲。
 僕は当時、ビートルズの「ホワイトアルバム」を聴いてハードロックやハードなロックそれにブルーズロックが大好きであるらしいと分かった頃で、テレビでこの曲を最初に観て聴いた時、一発でノックアウトされました。

 そして僕はここから、クイーンはもう過去の人ではなく、リアルタイムの英雄だと思うようにもなりました。

 この曲を聴いた僕の友だち、よく話に出てくるヘヴィメタル命の悪友がこんなことを言いました。
 「クイーンを見直したよ、もっとこっち(=ヘヴィメタル)の側に来てくれないか」
 彼は当時メタルかぶれで、僕が好んで聴いていた「普通のロック」特にアメリカンロックを見下していて、彼の言い草にはいつも腹を立てていましたが、これはその中でもひどい方ですね。

 この曲は歌詞が聴き取りやすくて分かりやすかったのもよかった。
 "One man, one goal, one mission"と次々と挙げてゆくのですが、"One flash of light"というのは自分たちの曲Flashを意識したのかな、と思ったり。

 ところで最近、さるニュースでこの曲を思い出したことがありました。
 ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんの授賞式のスピーチです。
 "One child, one teacher, one pen and one book can change the world"
 そのスピーチを聞いてこの曲を思い出したのは、偶然ではない、と僕は強く思いました。

 というのも、僕はこの曲のレコードを買った頃、中間部でフレディが"I had a dream"と歌うのを聴いて、マーティン・ルーサー・キング牧師の有名な演説を思い出したからです。
 1'53"のところですね、キング牧師のオリジナルは"I have..."だったと思いましたが。
 
 さらには1'24"からの部分ではこう歌っています。
 "I'm gonna tell you there's no black and no white"
 黒も白もない、何を言わんとするかは自明ですね。

 このくだりの背景にあるのは、「サン・シティ問題」だと思いました。
 1984年、当時アパルトヘイト政策をとっていた南アフリカの白人向け保養地「サン・シティ」でコンサートを行ったことにより彼らは批判を受けました。
 彼らには人種差別的な考えはなく、ただ単に「お仕事」として行っただけなのでしょうけど、それほどまでに非難を浴びるとは。
 このくだりは、その批判に対する彼らの考えを表明したものなのでしょう。
 フレディは、まるで「黙れ!」とでも言っているかのように、この部分を特に強く歌っています。

 そして今アメリカではまた、問題が起きていますね。
 ミズーリ州で黒人少年が警官に射殺され、撃った警官が不起訴になり、黒人を中心とした抗議デモが起こり、暴徒化しかねない状況になっています。
 NHKのニュースでもキング牧師の映像が写っていました。

 One Visionは、ノリのいいハードロックの中に、実は重たいメッセージが込められていることを、マララさんのスピーチであらためて思い直しました。

 
 なのですが、最後の最後、フレディは何と歌っているか。
 "Give me give me give me...fried chicken"
 フライドチキン!?!?!?
 
 聞き取りには自信がなかったので、ほんとうにそうなのか、まさか、と思いました。
 僕が買ったドーナツ盤のジャケット(袋)には珍しく歌詞が印刷されているのですが、そこには"one vision"と書かれていることだし。

 当時は"l"と"r"の聞き分けも怪しかったので、僕はこれを勝手に"flight ticket"と言っているのだと思うことにしました。
 最後の音に飛行機を連想させるようなエフェクトがかけられているからで、そうかとひとり納得しました。

 しかし、ほんとうに"fried chicken"と歌っているようですね。
 となるとこれは、あまりにも重たいことを言いすぎた「ロックの照れ隠し」に違いない。
 
 でも、「フライドチキン」にすることで、よりクイーンらしくなっている、ともいえますね。



 ビデオクリップはスタジオの演奏シーン、いいですね。

  冒頭であのBohemian Rhapsodyの映像から今の映像に移行して動き始めるのがいいですね。
 当時の僕も、ああクイーンだと喜んだものです。
 ブライアン・メイだけ髪の長さが変ってない(笑)。

 イントロの部分、カメラが地下のスタジオに潜り込んで行きますが、ブライアンがピンボールをしているのが、ジョークのようで本当にありそうで面白い。
 他3人は新聞や雑誌を読んでリラックスしていて、こっちはほんとっぽい。
 フレディだけ部屋が違うのも妙に納得。

 演奏が始まり、みんな半袖なのは、スタジオって暑いんだと(笑)。

 しかしよく見ると、4人とも服装が最低2種類あって、同じ日に撮ったものではないのかな。
 いや、リアルなスタジオの姿を見せようというのは逆に演出で、同じ日にわざわざ服を変えて撮ったのかも。

 1'20"でロジャー・テイラーがサングラスを勢いよく外してひょうきんな表情をするのがいい。

 1'53"、よく見るとドラムスを叩いているのはジョン・ディーコン。
 これは演出かな・・・

 例の中間部、フレディが"I had a dream when I was young"と歌ったところで映像がゆらめき、彼らの過去のライヴ映像が挿入されているのも効果的。

 その後のフレディ独唱のシーンは、迫力がすごい。

 2'40"、ブライアンのギター、ミュートを交えた「んっカッ んっカッ」ってところは当時すぐに真似してみたっけ。

 2'53"のコーラスの部分、フレディの気持ちの入り方が、もう飛んでますね。

 3'15"でまたジョンがドラムス。
 
 そして僕が最も印象的だったのが、3'20"辺りから、ドラムスを叩くロジャーの前にフレディがやって来て「踊る」シーン。
 この体の動き、しなやかさ、動物的ともいえるワイルドさ、豪快さ、そして華やかさ、ただただ圧倒されました。

 「フライドチキン」と言ってから最後またボヘミアンで終わる。

 あらためてみると、生の迫力、リアルさ、それを上手く収めて編集した素晴らしいビデオクリップですね。





 今回、これをイーグルス応援曲に選びました。
 奇しくも、その試合が行われたのが、アメリカで11月23日、日本時間で11月24日。
 フレディ・マーキュリーの命日でした。

 これはほんとうにまったくの偶然です。
 先週の試合に負けることを想定していたとはいえ、これを次に上げようと思ったのは2週間前のことだし、その時にそれが24日になることには気づいていませんでした。
 
 世の中、そういうことがままありますね、不思議と。

 あらためてフレディへの思いを強くした日でした。




 さて、フィラデルフィア・イーグルス、次の試合はついに、同地区で3敗で並んで首位争いをしているダラス・カウボーイズ戦。
 敵地に乗り込んでの試合だけによりハードな戦いが予想されますが、ここは勝って先行したい。
 ダラスとの試合はもう1回あるにしても、この試合は「負けが想定される闘い」では決してない。

 しかも、試合はThursday night、日本時間ではもう明後日に行われます。
 カウボーイズは第12週は休みだったので、試合の間隔が短いイーグルスには厳しい戦いとなることでしょう。

 それでも勝つんだ!

 Fly, Eagles Fly !!