Karma Chameleon カルチャー・クラブ | 自然と音楽の森

自然と音楽の森

洋楽の楽しさ、素晴らしさを綴ってゆきます。

20140927CultureClub

 ◎Karma Chameleon
 ▼カーマは気まぐれ
 ☆Culture Club
 ★カルチャー・クラブ
 released in 1984 from the album COLOUR BY NUMBERS
 2014/9/27

 カルチャー・クラブのNo.1ヒット曲。

 先日、高校時代からの友だちであるさいたまのソウルマニアMが仕事で札幌に来たというので、僕も休みの日、ランチ会食+音楽談義をしました。
 前回は僕がローリング・ストーンズのコンサートで東京に行った3月に会いました。

 話し終えてからお互い異口同音に思いました。
 やっぱり昔からの友だちはあの人のあの曲と言っただけで話がつながっていくから面白い。
 
 その時特に印象に残ったことを2つ、今回は話します。

 ひとつは、ひと月ほど前、もう少し前かな、僕が仕事の帰りにラジオを聞いていた時のこと。

 HBCラジオで夕方に洋楽ばかりかけるリクエスト番組があります。
 夏は野球中継があって番組自体がないこともあるのですが、デイゲームだったその日はちょうど帰路に着いた頃にその番組が始まりうれしかった。

 最初に流れてきたのは、スターシップのWe Built This City「シスコはロックシティ」でした。
 DJの人が1曲目何をかけるかスタジオに入るまで決めておらず、席に着いて思い浮かんだのがその曲だったとのこと。

 次の曲は同じくスターシップのNothing's Gonna Stop Us Now。
 DJの人曰く、1曲聴いたらもう1曲聴きたくなったから、と。

 3曲目はまたしてもスターシップのSara。
 こうなったら3連発ということでしたが、スターシップはそこで終わりました。

 断っておきますが、これはあくまでも僕とMが感じたことであり、曲自体について何かいうものではありません、悪しからずご了承ください。

 僕は、先日の会食でMにその話をしました。
 昔はあんなに好きだったスターシップ、特にSaraが、その時はひどくつまらない曲に聞こえた。
 飽きた、ということなのかな。

 実際にそう感じました。
 そう感じた自分が不思議でした。
 Saraなんてあんなに好きだったはずなのに。

 Mはそれを聞いてこう答えました。
 そうだよな、ラジオのリクエスト番組なんて、まだこれかけるのか、もういいよ、と思う曲が、俺らの年代になると結構あるよな。

 Mは短い言葉で真理を突くのが上手いといつも感心します。

 しかし、その次に発したMの言葉が、最初は僕には意外でした。
 今の新しい音楽があって、古いのがある、というのを俺は聴きたいんだ。
 
 そうか、昔の音楽は好きなものは好きだけど、そこに固執しているわけではないんだ。
 翻ってみれば、まさに自分もそう。
 特に今の「ベストヒットUSA」を観るようになってから、新しい音楽でもいいものはたくさんあるし大好きになるものもある、と思い直していました。
 
 意外と思ってしまった自分を反省しましたが、もちろんMは友だちなので、そのことは口に出して話ながらお互い笑っていました。

 なお、HBCのその番組は、聴く人がきっと僕くらいより年上の人が多いのでしょう、番組の中に、今流行っている音楽をかけるコーナーをわざわざ設けていますが、そういう姿勢はMも評価していました。



 次の話が今回のお題です。

 昔は大好きだったけど今はもう、という曲もある一方で、昔はそうでもなかったけど最近好きになった曲もいっぱいあるよね、と僕は話した後、例えばカルチャー・クラブの「カーマは気まぐれ」とかね、と続けました。

 するとMは、お前それは昔から聴きまくってただろ、と鋭いツッコミ。
 僕は、大学時代より前の友だちが今ではもう3人しかいないので、昔のことで盛り上がる友だちがいてよかった、と、先ずは音楽以外のことでうれしく思いました。

 その上で、「カーマは気まぐれ」は確かに昔から大好きだったけど、当時はただカントリーっぽいヒットソングとしてしか思っていなかったのが、その後いろいろな音楽を聴くようになってあらためて今聴くと、アメリカのルーツ音楽的な要素を分かりやすく取り入れて面白い、昔は気づかなかった曲の意味が分かるようになった、と僕は補足しました。

 Mはそれに頷き、当時の英国勢は節操がなかろうが物真似であろうが真っ直ぐに取り入れていたよな、と解説してくれました。

 僕は、最近、ソウルを真面目に聴くようになってからそのことに漸く気づいたのですが、当時はむしろそういうのが苦手でした。

 というわけで「カーマは気まぐれ」

 これは確かラジオで最初に聴きましたが、もう最初から一発で気に入り、すぐにレコードを買うことを決めました。
 
 当時みんなが笑いながら言ったこと。
 「ボーイ・ジョージがカマカマ歌っているぞ!」
 もちろん意味が違いますが、でも彼らは日本でも人気があったので、これは狙っているに違いないと噂したりも。

 "karma"といえば僕はもうひとつ、ジョン・レノンのInstant Karma!が大好きで、カルチャー・クラブは実はそれを狙ったのではないかとも考えましたが、この説は周りの誰にも受け入れられませんでした(笑)。
 まあしかし、同じ単語であることも、最初からこの曲に近しさを感じたところでした。

 カントリーっぽいと書きましたが、当時の僕は、もちろんというか、カントリー系はまったく聴いていませんでした。
 ただ、ビートルズがやるカントリーっぽい曲っぽいな、というところからこの曲をカントリーっぽいと感じたのでしょう。
 考えてみれば、アメリカ音楽を真っ直ぐに取り入れたのはビートルズもそうだから、英国の伝統でもあったわけですね。

 ギターで始まるイントロからして、ジョージ・ハリスンがグレッチで弾いたようなリフがビートルズっぽくていい。

 ビデオクリップが、ミシシッピー川を舞台にした物語風のものであり、彼らが(というよりレコード会社が)、アメリカへの本格的進出を念頭に置いていたことは間違いないでしょう。
 ミシシッピー川はアメリカの母なる川ですからね。
 100年以上前の物語との設定ですが、そこにまるでお化けのように当時のファッションで現れるボーイ・ジョージが、なぜか不思議とミスマッチ感覚がない。
 いや、ミスマッチ感覚を許させてしまう強烈な個性を発揮しているというか。

 今記事を書くのにアルバムのCDをかけていますが、アルバムもけれんみのないアメリカ趣味満開で、ここまで開き直られるとこちらも楽しくなってしまう。
 他の曲、The Church Of The Poison Mind、Mister Manなどにも言及したいのですが、それはまたいつか個別に記事を上げよう。

 Karma Chameleon、この歌メロは大好き!
 僕は、「カマカマ」歌うサビよりも、Aメロのほうが好きです、これ。
 今聴くと、ボーイ・ジョージがソウルっぽい歌い方を目指していることも分かりますが、その歌い方がAメロの部分の「揺らぎ」と「優しさ」によく合っています。
 自分で口ずさんでいても気持ちがいい自分がいることが分かる、そんな旋律を持った歌。
 
 当時笑ったのが以下の部分。
 "I'm a man without conviction,I'm a man who doesn't know"
 「僕は男だよ、確信はないんだけど、僕は男だよ、自分では分かっていないんだけど」
 この"man"はWalk Like A Manの「男らしい男」という意味でしょうけど、これも、ボーイ・ジョージがそういう人だという共通認識があってこその狙いに違いない、"with conviction"でそう言えます(笑)。
 
 僕の時代の名曲であるこれ、当時の流行りもので終わらなかったようですね。

 そうなんです。
 今回Mと話していて面白かったのは、10代の頃に大好きだった2曲、SaraとKarma Chameleonが、30年の時を経て僕の中でまるで変ってしまったということでした。

 当時のことを思えば、むしろスターシップの方が僕の守備範囲であり、カルチャー・クラブは冒険だったのですが、それがまるっきり逆になったということが。

 こういう曲、当時は大好きだったけど今は、或いはその逆、というのはまだまだたくさんあるのでしょうね。
 それに気づくのは楽しみでもあり、でも、思い出だけの曲になってしまうのが分かるのは、寂しくもありますね。

 というわけで、今回またあらたに大好きになった「カーマは気まぐれ」をお楽しみください!