Can't Take My Eyes Off You フランキー・ヴァリ | 自然と音楽の森

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洋楽の楽しさ、素晴らしさを綴ってゆきます。

20140924FrankieValli

 ◎Can't Take My Eyes Off You
 ▼君の瞳に恋してる
 ☆Frankie Valli
 ★フランキー・ヴァリ
 released in 1967
 2014/9/24

 「君の瞳に恋してる」、フランキー・ヴァリ
 昨日から僕の頭の中で鳴りっ放し、そして気がつくと歌っている曲。



 昨日の「めざましテレビ」では、9/27(土)公開の映画『ジャージー・ボーイズ』を時間を割いて紹介していました。
 
 1960年代に一世を風靡した白人コーラス・グループ、フランキー・ヴァリ&ザ・フォーシーズンズの実話に基づくブロードウェイ・ミュージカルを映画化した作品。

 監督はかのクリント・イーストウッド。
 僕は最初、「は?」と。
 というのも、イーストウッドはジャズが大好き、何かの映画に自身がピアノを弾くシーンもあったり、また、ピアノとブルーズの関係を描いたドキュメント「ピアノ・ブルース」の監督も手がけた人。
 それが、フォーシーズンズというポップスど真ん中の音楽をモデルにした映画の監督をするというのが、最初はうまく結びつきませんでした。

 しかし、イーストウッドは、時代と人間の関係、その時代に人々は何に心を奪われていたかに興味がある人であり、ポップスは避けて通れないものであると考えると納得がいきました。
 
 それ以前に純粋にミュージカルに感動して、自分で映画化したいと思ったのかもしれないけれど、でも、御年84歳にして新しいことに挑戦する意欲は、人間として最大限の敬意を表するものです。
 「めざまし」でもイーストウッド監督のインタビューを流していましたが、話もよどみがなく、ほんとうに84歳? と。

 映画は、僕は最近劇場で観るのがいろいろとつらいのでDVD待ちになると思いますが、これは買ってすぐに観ることに決めました。



 番組で流れていたのはもちろん、ファルセットがあまりにも印象的なSherryをはじめとしたフランキー・ヴァリ&ザ・フォーシーズンズの曲。
 
 中でも、やっぱりいちばん印象に残ったのが、Can't Take My Eyes Off Youでした。
 この曲はヴァリがグループではなくソロとして1967年に大ヒットさせた曲で、名義はフランキー・ヴァリになっていますが、僕が持っているフォーシーズンズの編集盤には収められています。
 
 僕が洋楽を聴き始めた頃、ボーイズ・タウン・ギャングがこの曲をアップテンポにカヴァーして日本ではヒットしたのを覚えています。
 と書いて、実は、そのことは覚えていたけれど、バンド名を忘れていて、この記事を書く際にネットで調べて思い出しました。
 
 だから僕もその時にこの曲を知ったかというと、実はそうではない。
 BTGのその曲をラジオで聴いて、ああこの曲かと、思ったのでした。

 この曲は父が好きだったようで、僕がまだビートルズも聴く前、多分小学生の頃から、誰の何という曲かを知っていました。
 もちろん最初は邦題で、フランキー・バリと言っていましたが。
 
 1967年は僕が生まれた年で(僕は長男)、両親は結婚するまではポップスを聴いていたようですが、だからこの曲の頃はもう聴いていなかったはず。
 
 ではなぜ父が知っているのだろうと考えると、もちろん曲が好きというのは大前提として、先ずは、当時の日本では、特にポップスが好きではない人にもこの曲は知られるほど大ヒットしたであろうこと。

 もうひとつ、僕の父はイタリアに関係する仕事をしてイタリア語が話せたのですが、"Valli"=ヴァリ(ヴァッリ)というイタリア系の名前だから応援していたという可能性。

 そしてこの曲がリリースされたのは1967年5月、とすると、僕が生まれた6月はちょうど日本でもヒットしていた頃だったはずで、父の中ではこの曲は僕の誕生と結びついていたのかもしれない。
 今となっては確かめようのないことですが、そう思うことにしました。

 そして僕は、生まれた頃から洋楽ポップス人間だった、ということかもしれない(笑)。

 まあそれはともかく、この曲は、僕の中では「輝かしい洋楽」の1曲でもあります。



 この曲はほんと素晴らしい、真の名曲。

 歌として歌うと最高に気持ちがいい、でもちょっと切なくなる。

 アレンジも冴えていて、イントロの薄く伸びるホーンの音が、切々と募る思いを引きずっている心の中をうまく表しています。
 そこに、優しくささやきかけるような別のホーンが入ってくる。

 そして中間部の印象的なホーンの旋律。
 歌の中に印象的なインストゥロメンタルのパートが出てくると、曲の魅力が十倍にも百万倍にも広がってゆきますね。
 歌っていて、その部分が来ると口笛を吹いたりハミングしたりで、続けて歌わずにはいられないような旋律。

 今回のYou-Tube映像は、1967年当時のものと思われるスタジオライヴもの(演奏はテープだと思う、歌は分からない)。
 そのホーンの旋律の部分が来ると、リズムに合わせた客の拍手の音が大きくなるのは、気持ちすごくよく分かる、僕が客ならきっと同じことをしていたはず。

 この曲はヴァリ得意のファルセットではなく普通に歌っていますが、もちろんそれが大正解。

 この曲は構成がかなり変わっていますね。

 8小節のイントロの後、16小節のヴァース(=Aメロ)が2回、続いて9小節のホーンの旋律、16小説のサビ(=Bメロ)、次16小節のヴァースに戻るけれどそこで転調、9小節のホーンで元に戻り、16小節のサビが再び、そしてコーダというもの。
 劇的な展開、そこに気持ちの乗ったヴォーカル、最上のポップソングとはこのことだと。
 でも、凝った曲は2度は成功しない、だから余計に唯一無二と感じるのでしょう。

 映像の話をすると、フランキー・ヴァリの歌い方、笑いもせず、体でリズムを取るわけでもなく、大きなアクションも見せず、颯爽としてクールでいいですね。
 ロックやソウルに見慣れていると、ある意味衝撃的、は、ちょっと大げさかな。

 これほどまでに有名な曲ですが、ヒットチャートではビルボード誌最高2位、惜しかった。 
 まあ、いつもいいますが、チャートは時代の指標であって、曲の良し悪し(そういうものがあるとすれば)を表すものではないですからね。
 それに、1位になったからといって聴き継がれているわけでもないですし。
 と分かってはいても、やっぱり2位は惜しい、と思ってしまうのは、10代の頃にヒットチャートに洗脳された名残りでしょうね(笑)。
 
 でも、「君の瞳に恋してる」という邦題、自分が言葉として言うのはちょっと恥ずかしいかな・・・
 いい邦題だとは思うのですが。

 フランキー・ヴァリ&ザ・フォーシーズンズはいわゆる「ロック」ではないのであまり顧みられることはないかもしれないけれど、こんな素晴らしい名曲は、聴き継がれていってほしいですよね。

 映画『ジャージー・ボーイズ』は、その絶好の機会であり、洋楽ポップソング好きの僕としてはうれしい限りです。