トム・ペティが39年のキャリアで初のアルバムNo.1に輝く! | 自然と音楽の森

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20140808TomPettyHBs


 うれしいニュースに接したので、「不調」は脱していないですが、敢えて記事を上げさせていただきます。

 トム・ペティが39年のキャリアで初のビルボード誌アルバムチャートNo.1に輝きました!

 7月下旬に出た新作HYPNOTIC EYEが最新のチャートで1位になったもので、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズとしても、ソロとしても、まったく初めてのことです。

 こんなうれしいニュースを記事にしないなんて、僕自身が自分を信じられなくなりそう(笑)。
 
 Facebookのコメントなどを見ていると、1位がなかったのは意外だという声が多かった。
 それだけ彼らが大物中の大物だと認められ、アメリカではよく知られた曲も多いということでしょう。
 僕自身も、意外ではなかったけど、そうか言われてみれば1位はなかったかと思いましたが、弟はもろ意外だと驚いていました。 



 トム・ペティのバンドやプロジェクトも含めたすべてのアルバムのビルボード誌最高位を書き出してみます。
 ライヴ盤、ベスト盤、編集盤も、200位以内にチャートインしたものは含めています。

 ☆Tom Petty & The Heartbreakers名義
◎TOM PETTY & THE HEARTBREAKERS (1976) 55位
◎YOU'RE GONNA GET IT! (1978) 23位
◎DAMN THE TORPEDOES (1979) 2位
◎HARD PROMISES (1981) 5位
◎LONG AFTER DARK (1982) 9位
◎SOUTHERN ACCENTS (1985) 7位
◎PACK UP THE PLANTATION : LIVE" (LIVE) (1985) 22位
◎LET ME UP (I'VE HAD ENOUGH) (1987) 20位
◎INTO THE GREAT WIDE OPEN (1991) 13位
◎GREATEST HITS (BEST) (1993) 5位
◎SONGS AND MUSIC FROM "SHE'S THE ONE" (1996) 15位
◎ECHO (1999) 10位
◎ANTHOLOGY : THROUGH THE YEARS (COMPILATION) (2000) 132位
◎THE LAST D.J. (2002) 9位
◎THE LIVE ANTHOLOGY (LIVE) (2009) 51位
◎MOJO (2010) 2位
◎HYPNOTIC EYE (2014) 1位

 ☆ソロ名義
◎FULL MOON FEVER (1989) 3位
◎WILDFLOWERS (1994) 8位
◎HIGHWAY COMPANION (2006) 4位

 ☆Mudcrutch
◎MUDCRUTCH (2008) 8位

 ☆Traveling Wilburys
◎VOLUME ONE (1988) 3位
◎VOLUME THREE (1992) 11位
◎THE TRAVELING WILBURYS COLLECTION (2007) 9位



 以上ですが、他に1曲だけ参加したサウンドトラックや数曲参加したライヴ盤などでチャートインしているものもありますが、それは対象外とさせていただきました。

 あらためて見ると、昨年までは2位が2枚、3位が2枚、4位1枚5位2枚、Top10は合計14枚と、マッドクラッチもウィルベリーズも含めてですが、Top10入りしたアルバムの枚数は現役でもかなり上のほうではないかと。
 だから、いつも上のほうに来るけれど、1位が初めては意外という声が多かったのでしょう。
 1位は記憶に残りやすく、2位は惜しいという気持ちが入って少し特別ですが、実際、10位に入れば3位でも10位でもチャートアクションの印象はあまり違わないのかもしれない。
 僕もそうですね、確かあの曲はTop10に入ったよな、ということは割とよく覚えていますが、3位以下の場合は何位まではあまり覚えていません。
 あ、でも、自分で書いて気づいたけど、3位は五輪でいえば銅メダルだから、4位よりは印象に残りやすいかもしれないですね。

 この中ではトラヴェリング・ウィルベリーズのCOLLECTION、2枚をひとセットにした再発ものが9位というのは意外というか驚きました。
 特に21世紀に入ってからの傾向として、特にロック系は、キャリアの長いアーティストになるほどアルバムが出ると買う「お金のある」固定客に支えられているようです。
 彼らは実際に音を聴かなくても無条件で買い、一方で若者に受ける音楽はアルバムまでは手が出ない人が今でも多いみたいで、アルバムチャートではキャリアが長い人上に来やすいみたいですね。
 自分のことを考えると、「お金がある」以外はそれは大いに納得です。
 そしてウィルベリーズのこの9位というのは、まさにそれが反映されたものだと思います。

 だから今のシングルのヒットチャートは若い人の趣向しか反映されていない、ともいえます。
 「ベストヒットUSA」を再び観始めて、ポール・マッカートニーやブルース・スプリングスティーンの新譜が出ましたが、彼らは20位にすら入らなかった。
 僕の中では新しいノラ・ジョーンズですらもう10年選手になり、彼女の最新作からのシングル曲も20位にかろうじて入っただけでしたから。

 逆にいえば、ベテランのロッカーたちのアルバムはまだまだ聴かれているのでしょう。
 そう考えるとほっとするものがありますが。

 ただ、それでも売り上げは落ちているようで、1999年のECHOより前のアルバムはソロも含めすべてゴールドディスク以上を獲得していますが、それ以降はバンドのものはゴールドに達していません。
 とまあ、僕も一応もうオールドファンと言っていいでしょう(笑)、古くからのファンには寂しい話になってしまうので、そろそろ別の話題に。


 
 せっかくなので、彼らが1曲以上参加したもので有名な何枚か挙げておきます。
 すべてVarious Artistsです。

◎NO NUKES (1980)
◎A VERY SPCEIAL CHRISTMAS VOL.2 (1992)
◎THE 30TH ANNIVERSARY CONCERT CELLEBRATION - BOB DYLAN (1993)
◎A VERY SPECIAL CHRISTMAS VOL.5 (2001)
◎CONCERT FOR GEORGE - GEORGE HARRISON TRIBUTE (2003)
◎GOIN' HOME - A TRIBUTE TO FATS DOMINO (2007)



 シングルの話も少しだけ。

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズにはシングルのNo.1曲もありません。
 つまり、アルバムのみならず、ビルボードでNo.1になったこと自体、今回がまったく初めてなのです。

 それはおろか、シングルのTop10ヒットはなんとただ1曲、1989年のソロからのFree Fallin'の7位しかありません。
 僕はこちらが意外でした。
 前期の代表曲Refugeeは15位、同じくソロでジョージ・ハリスンも参加したI Won't Back Downは12位、ベスト盤からの曲でビデオクリップが大きな話題となったMary Jane's Last Danceは14位。
 先ほど書いたこととはまたも反しますが、リアルタイムではないRefugee以外の上記2曲はTop10には入っていたものだとずっと思っていました。
 人間の記憶なんて曖昧なもんだなあ・・・
 でも、Mary Jane's Last Danceは、当時ケーブルテレビで見ていたMTVのアメリカのビデオチャートでは確か1位になったような記憶があり、僕が知る限り、トムの唯一No.1に輝いたものでした。

 しかし、シングルについては、隠れ大ヒット曲があります。
 スティーヴィー・ニックスに曲を提供しトムがデュエットしたStop Draggin' My Heart Aroundが最高位3位を記録しています。 

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズは、アルバムとライヴで聴くバンドということなのでしょうね。
 マニア的ではないというポップさはあるけれど、シングルチャートで暴れ回るような強烈な曲を書く人ではない。
 声のクセがだめな人はだめかもしれないし、シングルヒット曲というくくりで見ると、ちょっと変わったことをしてきた人でもあるから、まあ、そうかなあと思う部分はありますね。 

 ちなみに、ボブ・ディランとブルース・スプリングスティーンも、アルバムNo.1はあるけれどシングルではいまだかつて1位になったことがない大物です。
 トム・ペティも晴れてその仲間となったわけですね(笑)。
 ただし、ボブ・ディランとブルース・スプリングスティーンは、We Are The WorldがシングルチャートNo.1に輝いていて、参加したレコードが、という点では2人とも1位がありますね、しかも2人とも目立つし。
 トムは参加していなかった、トム側に立てば、2人はなんだかずるい、と・・・(笑)。




 ところで、断っておきますが、僕は決して、1位だからすごくいい、77位だからそこそこ、ランク外は論外、などという価値判断基準は持ち合わせていません。
 チャートというのは時代の指標であり、タイミングに左右されるものなので、それが絶対の価値判断では決してありません。
 まあ、そもそも僕は、音楽には絶対の価値判断なんてものはない、人により違うのが音楽の面白いところだとは思っていますが。
 
 でもその上で、やはり好きなアーティストの作品がより上位に昇るのは嬉しいし、1位になるというのはファンとしてもひとつの達成感のようなものを味わえるのは確かです。
 大好きなアルバムが最高位2位というのは、なんとも惜しかったな、残念だな、と思います。

 話のついでに、最高位2位のアルバムで印象深いのは、ホワイトスネイクのWHITESNAKEとR.E.M.のAUTOMATIC FOR THE PEOPLEで、後から見れば、どうして1位にならなかったのだろうと思うものばかりですね。
 リンゴ・スターのRINGO!も最高位2位でしたが、ビートルズの他の3人のメンバーはみなアルバム1位を獲得していて、リンゴも達成していれば4人揃踏みだったのも、惜しかったですね。
 ちなみに、シングルでは4人ともNo.1を獲得しています(ポール9曲、ジョージ3曲、ジョン2曲、リンゴ2曲)。


 
 今回のYou-Tube映像は、オフィシャルの高音質オーディオで、映像はスティルですが、最新作の1曲目American Dream Plan Bを。
 とにかく聴いていただくて貼り付けました。
 
 アルバム記事は来週までに上げるつもりでいます。
 もう少しお待ちください。

 ところで、見るとトムはアルバムのほとんどの曲をオフィシャルで高音質で上げていて、気前がいいというか、サービス精神があるというか。

 でも、正直、買って聴く人間としては、ちょっとやりすぎじゃないの、と思わなくないです。
 いい時代になった、といえばそうかもしれない。
 しかし、これは三つ子の魂で、僕にはずっとしみついていることなので、そう思うなという方が無理だ、ということはどうかご理解いただければと思います。


 
 ともあれ、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ初のNo.1。
 うれしい、幾つになっても初はうれしいものですね。
 大器晩成、という言葉は違うのかもしれない、そうですね。
 それよりも、40年近くに渡って志と質の高い音楽を作り続けられていることが、畏敬の念を抱かずにはいられません。

 さて、次のアルバムは何位かな?
 なんてあまりにも気が早すぎる(笑)。

 でも、間違いなく次のアルバムを、あまり間を置かないで出してくれそうな確信が持てたので、ファンとしてはうれしい限りです。

 もちろんHYPNOTIC EYEは毎日聴いています、休みの日は1日3回は最低でも。