The Power Of Love ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース | 自然と音楽の森

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洋楽の楽しさ、素晴らしさを綴ってゆきます。

20140712HueyLewisTheNews

 ◎The Power Of Love
 ▼ザ・パワー・オヴ・ラヴ
 ☆Huey Lewis & The News
 ★ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース
 released in 1985
 from the original motion picture soundtrack "BACK TO THE FUTURE" 
 2014/7/12

 ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのこの曲を取り上げるのは2回目ですが、BLOGを続けてゆくとそういうこともある、ということで今回は悪しからずご了承ください。
 今後もそういう例は出てくるでしょうけど・・・

 7月8日の「ベストヒットUSA」は、小林克也さんが沖縄に出向いて「夏の曲リクエスト特集」として放送されました。

 2つ前の記事で取り上げたザ・ビーチ・ボーイズのKokomoも3位に入っていて、根強い人気があることがあらためて分かりましたが、他も、新しくて知らない曲を除けば大半が予想通りの顔ぶれでした。
 例えば、ドン・ヘンリーのThe Boys Of Summer、そして1位はブライアン・アダムスのThe Summer Of '69と。
 これらの曲には思い出も思い入れもたくさんあるので、またいつか機会をあらためて話したいと思います。

 2位だったのがこの曲。
 イントロのキーボードの音を聴いた瞬間、「なぜ!?」と思いながらも、やっぱり流れてくる映像に見入り、曲を口ずさんでしまいました。
 ギターがそばにあればギターも弾いていたでしょう。

 「なぜ!?」という思いは実は小林克也さんやスタッフも同じだったようで、曲が終わってから克也さんがこんな主旨のことを説明しました。
 我々は「夏の曲」として歌詞内容にばかり目を向けていたけれど、内容とはひとまず関係なく、夏にヒットしていた曲、夏によく聴いた曲という視点もあったんですね。
 
 話を聞いて、そういえばこの曲が流行っていたのは高3の夏だった、と僕自身も思い出しました。
 実際、1985年6月にこの曲はリリースされ、夏にNo.1ヒットとなりました。
 映画の公開は日本では秋だったと記憶していますが、曲は夏です、納得しました。

 そう考えると、この曲の爽快さはいかにも夏らしくはありますね、うん、そうだそうだ。
 だから余計に、夏にヒットしていたことが多くの人の心の中に刻まれたのでしょう。



 この曲は2回目ということで、前回の記事から一部を抜き出し、加筆修正したこの曲についての僕の思いや考えをもう一度書かせていただきます。
 
 この曲が偉いと思うのは、メンバーであるヒューイ・ルイス、クリス・ヘイズ、ジョニー・コーラの3人が作曲していることです。
 多分、ヒューイは歌詞だけでしょうけど。

 偉い、と書くと語弊があるかもですが、僕は当時はロックにおいては自作曲を偏重していたきらいがあって、バンドのメンバー以外のプロの作曲家が携わっていることが分かると、なにかこう、心にひっかかるものを感じたのは確かです。
 もちろん、いい歌はいい歌として好きにはなりますが。

 しかしこの曲はバンドのメンバーだけが作っていて、シンガーソングライターが商売としてここまで大きくなれたというひとつの到達点のように思います。

 シンガーソングライター的な手作り感も残しつつ、ショービジネスとして売れる音楽の要素もしっかりと押さえられていて、どちらでもない手触り、しかも中途半端ではない、そんな響きの、プロ中のプロが作った曲です。

 イントロはキィがCで、F→Cというあの印象的な「ちゃんちゃ」というキーボードの音が始まるけれど、歌に入る部分でCm7とマイナーキィになりヴァースが歌われます。

 ヴァースの部分がほの暗い感じなのは、愛することのもどかしさや不安を表しているように感じます。

 「(愛は)タカを小さい白いハトに変える」という歌詞はいかにもアメリカらしく、ニール・ヤングの「タカ派とハト派」というアルバムを思い出す。

 サビに入るとイントロのメジャーコードが復活して派手に鳴り響く。
 そう、イントロにサビが先に使われているのが曲作りの上手いところ。

 サビでは、"Don't need no credit card to ride this train"という部分の歌メロの崩し方が絶妙で、自分で口ずさんでもほんとうに気持ちがいい。
 この歌詞はきっとインプレッションズのかの名曲、People Get Readyの"Don't need no ticket"という歌詞が頭にあったのだと思います。
 5'23"、最後のサビだけこの歌詞を歌う部分の歌メロを崩しておらず、それが原型だったのかもしれない。

 間奏に入る前の1度しか出てこない中間部分がまたマイナーコードでしんみりと歌う。
 せっかく「愛の力」で気持ちが盛り上がったところをまた落とすのか、と、気持ちが揺らぎます。

 ギターソロもマイナー調で揺れるような音。

 コーダではまた明るいサビの部分に戻り、最後は「愛の力」を確認するかのようにまた別の旋律を歌い上げ、イントロの部分が続いてフェイドアウト。

 シンプルに聴こえるけれど、曲としてはだいぶひねっているんですよね、実は。
 だけど、アレンジのせいか全体の流れのせいか時代の勢いか、正攻法で聴かされているような、錯覚というか、不思議な響き、面白い曲、そして素晴らしい歌。

 この辺の細かなアイディアとテクニックは、ライヴのたたき上げで売れた人たちならではの感覚でしょう。
 ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのヒット曲は自分たちだけで作ったものが多く、作曲能力は高いバンドですね。

 今回僕が聴いてあらためて思った。
 この曲はベースラインがいいんだよなあ。
 そして僕は、ベースラインがいい曲が異様に大好きなんだよなあ。



 ところで、今の「ベストヒットUSA」の主たる視聴者層は、僕の上下5歳くらいの年代の人がやっぱり多いのかな。
 新しい曲もランクインしていたんだけど、どうもそんな気がする。
 そうじゃなければ、夏にヒットしていたこの曲がこれだけ上に入ることもないだろうし。
 僕自身はやっぱり懐かしいし嬉しいし楽しくていつも観ながら口ずさんでいますが、番組制作側としては、もっと若い人を取り込みたいのかもしれない。
 昔の曲を紹介する時、克也さんの思いが強くて、若い人に届くようにと説明が長くなるんだけど、まあそれは僕も同じような気持ちだから。

 結局、洋楽を毎週聴かせてくれる番組の存在はありがたいことは確かですね。
 
 The Power Of Loveについて僕個人のもうひとつの思い出として、大学1年の1987年に、夏の後楽園球場でヒューイ・ルイス&ザ・ニュースとブルース・ホーンズビー&ザ・レインジのコンサートに行き、そこでこの曲が大いに盛り上がったこともあります。
 
 やっぱり、夏の思い出、夏の曲なんですね。

 そして今回の写真は、当時買った輸入盤のドーナツ盤、これまた懐かしい。

 今回のYou-Tube映像はフルヴァージョンで、クリストファー・ロイド本人が「ドク」役としてあのデロリアンに乗ってヒューイのライヴ会場にやって来るというものです。
 あの犬は車には乗っていないのですが(笑)。



 最後に、僕がリクエストした曲はTop10はおろか、その他として紹介された曲の中にもありませんでした。

 その曲とは、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのIf This Is It。

 こちらはビデオクリップも夏の海岸、内容も夏休みの苦い思い出に結びつくようなもので、いかにも夏らしいと思うのですが、いかんせん、同じバンドでもっと強力な相手がいたので、仕方ないですね。

 今回はおまけでIf This Is ItのビデオクリップのYou-Tube映像もつけました。
 こちらも思い出が詰まっているから、曲についてはまたいつか、そうですね、来年の夏にでも話したいと思います。