◎CAPTURED LIVE!
▼狂乱のライブ
☆Johnny Winter
★ジョニー・ウィンター
released in 1976
CD-0360 2013/2/9
ジョニー・ウィンターの彼にとっては2枚目のライヴ盤。
1970年代は日本における洋楽の時代、それを反映して邦題もついています。
そして僕が買ったのは紙ジャケット盤で、当時のものを再現したか、当時の雰囲気を伝える帯がついていますが、今回はそこにあるタタキ文句を書き出してみます。
なお、表記はすべて原文ママです、以降同じく。
☆唸るスライドギター、スピーカーからほとばしる血と汗、衝撃のテキサス・ロックンローラー、ジョニー・ウィンターが五年振りに完成した驚異のライブ・アルバム!!
●僕は「ジョニー・ウィンターのベストは」と聞かれたら、ためらいなくこのレコードを選ぶ(解説・渋谷陽一)
紙ジャケット復刻盤でも、中古で買ったLPでも、当時の帯のタタキ文句を読むのは、当時の様子が想像できて僕は大好き。
ジョニー・ウィンターはひと月弱ほど前にメジャーレーベルからのデビュー盤を記事にしました。
そこでは、もっとロックだと予想しながら聴いたところ本格的なブルーズで驚いたと書きました。
だから今度はブルーズのライヴを予想していたのですが、これまた想定外ともいえるくらい予想と違う、いわば「大ロックンロールパーティ」の様相を呈していてまた驚きました。
ただ、並のロックンローラーとは違い、ブルーズはかなり強く感じますね。
ブルーズの力でロックンロールを浄化しているように感じる、というのがこのアルバム全体の感想です。
演奏曲目からもそれを感じます。
ここはひとつ、邦題ともども書き出してみます。
1曲目:Bony Moronie 「マカロニ・ボニー」
2曲目:Roll With Me 「ロックンロールと皮ジャンパー」
3曲目:Rock & Roll Peope 「ロックンロール・ピープル」
4曲目:It's All Over Now 「イッツ・オール・オーバー・ナウ」
5曲目:Highway 61 Revisited 「追憶のハイウェイ61」
6曲目:Sweet Papa John 「スウィート・パパ・ジョン」
1曲目Bony Moronie、へえ、「マカロニ・ボニー」なんて邦題がついていたんだ。
「太陽にほえろ!」のマカロニ刑事と関係があるのかな(笑)、いや、ないない、こっちの曲のほうが古いし、マカロニは実際に歌詞に出てくるし。
この曲はジョン・レノンがROCK 'N' ROLLでも熱く暑くそして厚く歌っていますね。
ここでのジョニー・ウィンターは、曲がり角もまっすぐ曲がる勢いで突っ走っていて、最初から全開。
2曲目Roll With Meはリック・デリンジャーの曲、僕は知らなかった。
リック・デリンジャーは聴いたことがないんだけど、1970年代の新しい人だけあって、この中ではモダンな響きに感じます。
もちろんジョニーのギターは角張ったサウンドで押しまくり。
この邦題は歌詞から取っているのですが、要はカッコつけている曲で、それがジョニーの風貌、イメージには合っています。
3曲目Rock And Roll People、注目の1曲。
ジョン・レノンがジョニー・ウィンターに提供した曲で、元々は1974年のスタジオアルバムJOHN DAWSON WINTER IIIに収められた曲のライヴテイク。
ジョンがジョニーに書き下ろしたという形だけど、実際はジョンがMIND GAMES制作時に録音して未発表となっていたものを提供した曲。
ジョン自身の曲としては、ジョンの死後の1986年に出た未発表曲集MENLOVE AVENUEで発表されました。
ジョンのそのアルバムは出てすぐにLPで買って聴いていたけれど、CDはリマスター盤も出ていないので、買った時に数回聴いただけ。
だからこの曲は20年振りくらいに聴くんだけど、自分でも意外なほどよく覚えていて、懐かしさもちょっとだけこみ上げてきました。
歌の最後の部分、"I just couldn't change it if I would choose to"という部分をなんだかおまじないみたいに早口で歌うのが印象的。
やはりジョニーはまさにぐいぐいと前に進みながら攻めまくる演奏。
僕はこれを聴くまで、この曲はジョンの埋もれた曲としてしか知らなかったんだけど、ジョンがまだいた頃にライヴで溌剌と歌うジョニーのこれを聴いて、歌とは、曲とはまさにこういうものであり、この曲は生きていることが実感できました。
これはいいね、このアルバムのベストテイク、これを聴けただけでも買ってよかった。
4曲目It's All Over Now、ロックサイドの人にはロッド・スチュワートの曲としてよく知られている、ボビー・ウーマックの曲。
いわばロックとソウルの間の感覚だけど、それはつまりジョニーが見ていたブルーズと同じ辺りなのでしょう。
ジョニー・ウィンターもやっぱり酒は好きなのかな、どうなんだろう、でもロッドのような酔いどれのノリではなく、二日酔いが吹っ飛ぶほどの激しいタテ揺れの曲になっています。
5曲目Highway 61 Revisited、いやお恥ずかしい、ボブ・ディランのオリジナルは割と最近記事を上げたばかりなのに、この曲は暫くの間それとは気つかなかった・・・
ドラムスの跳ねる感じがオリジナルを踏襲しているけれど、歌メロは違うし、何よりこれはブルーズの古い曲だと思い込んで聴いていたから。
ボブ・ディランの曲は単純なブルーズ形式の曲が多いですが、これはそんなディランに場を借りたブルーズといった趣き、演奏は長いし(インプロビゼーションかな)、待ってましたとばかりにギターを聴かせる曲になっています。
そう考えると納得の選曲であり、ジョニー・ウィンターがブルーズもロックも深く愛していたことがよく伝わってきます。
6曲目Sweet Papa John、ジョニー・ウィンターのオリジナルで、曲としては(多分)デルタっぽいブルーズ。
このジョンはジョニー自身のことだけど、ビートルズバカの僕から見れば、アルバム6曲のうち3曲がジョン関係しているというのも、果たしてこれを選んだのは偶然なのだろうかと思ったり。
そもそも「マカロニ・ボニー」だって、ジョン・レノンが歌ったことに触発されて取り上げたのかもしれないし。
それはともかく、しかしこの曲はかなりエッチな歌詞で、ジョニーは「大砲」として何マイルもその名がとどろき渡っているとか、キャンディの棒とか・・・
あ、今はまだ真昼ですね、自重しておきますか(笑)。
まあでも、そんな他愛のない歌というのは、ブルーズらしいともいえるのでしょうね。
最後だけ横のりの要素が加わって、ジョニーの音楽世界が広がってゆくのを感じます。
46分ほどあるんだけど、意外と短く感じます。
歌人間の僕がそう感じるのだから、ジョニーのギターも歌っていて飽きないということなのでしょう。
ロックでもブルーズでもない、いや、ロックでもブルーズでもある、というのがジョニー・ウィンターの立ち位置であることが、このアルバムを聴いてよく分かり、漸く納得できました
それにしても熱い人だなあ。
こんな熱いライヴ盤は久しぶり、これほどまでに聴き応えがあるライヴ盤とは思っていなくて、素晴らしいのひとこと。
「生きたまま捉えられた」というタイトル、まさにその通り
ジョニー・ウィンターはもちろんまだまだ聴きたくなりましたが、さて、次は何を買おうかな。