ELTON JOHN エルトン・ジョン | 自然と音楽の森

自然と音楽の森

洋楽の楽しさ、素晴らしさを綴ってゆきます。


自然と音楽の森1日1枚-Sept11EltonJohn


◎ELTON JOHN

▼僕の歌は君の歌

☆Elton John

★エルトン・ジョン

released in 1970

CD-0128 2011/09/11


 エルトン・ジョンの2枚目は出世作にして代名詞的な1枚。


 僕はエルトン・ジョンが長いこと苦手でした。


 エルトン・ジョンを知ったのは、ジョン・レノンとの「真夜中を突っ走れ」がNo.1ヒットになりコンサートにジョンとヨーコを別々に呼んで2人がよりを戻すきっかけを作ったという話を聞いたことで、まあビートルズから洋楽に入った人間としては当然の流れでしょう。

 僕が洋楽に興味を持ち出した頃は一度人気が落ちてまた復活してきた頃でしたが、いずれにせよ10代の男子が好んで聴くような音楽というわけではなかった。

 そのうちエルトンはチャート的にも復活し世の中ではすっかり大物として存在感を放つようになりました。


 それでも僕は流行とは別の次元でいい曲はいいと思える人間だったので、MTV番組やラジオで聴いた曲の幾つかはいいなと思っていました。

 ライヴのCandle In The Windはとても気に入り、当時はシングルCDが出始めで珍しかったのでマリリン・モンローの写真があしらわれた素敵なジャケットのシングルCDを買い、それが僕が最初に買ったエルトン・ジョンのCDです。

 しかし一方で何かこう、スポット的に曲は気に入ってもアルバムを買ってまで聴いてみようとは思えない何かがありました。


 ルックス的にはショー的な要素が強くてロックっぽくないのがいちばん大きかったかな。

 歌にも私小説的な世界があって日常生活の出来事を普通に感じたように描くのではなく劇的な要素を加えて表現する部分が僕には素直に伝わってこなかった部分です。

 曲はエルトン・ジョンが書いているけど歌詞はバーニー・トーピンが書いている、専門の作詞家がいるという事実だけでもそう感じさせるものがありました。

 

 そう、僕とは感じ方が違う、それが大きい。

 もちろん人それぞれ感じ方は違うけど、見ている方向性がそもそも違うように感じました。


 例えばYour Songは曲としてはとってもとっても素晴らしくいい曲だし大好きです。

 でも、僕の物事に対する感じ方とは何かこう違うものがあって、聴いている分にはいい曲だと思っても、それが自分のものにはならないという感じです。

 分かりやすく言えば、僕が好きな人に既成の歌で気持ちを伝えようと思うとYour Songは絶対に選びません。

 自分の気持ちを代弁していると感じる部分が少ないからです。

 それは僕が曲を書くことはしないという直接的なことではなく、曲を書くことを比喩だと捉えても。

 もうひとつ言えば、鼻歌で口ずさむ歌としてみると最上とは言い難いものがあると僕は感じています。

 聴いているとほんとうにいい曲だとは思うんですけどね。

 

 好きな人と言えば、大学4年の大晦日に僕はエルトン・ジョンの4枚組CDのボックスセットを買いました。

 その年は札幌に帰省したのが大晦日で、羽田に行く前に渋谷に行ってもうなくなる(なくなった)WAVEで9800円で買ったのでした。

 いきなり4枚組を買うところがあれっと思われるかもしれないけど、当時はLPの大きさの箱に入ったCDのボックスセットが流行っていて、続々と大物の新しいボックスセットが出て次から次へと欲しくなって僕も困っていました。

 エルトンのボックスセットを見てそれまではあまり興味がなかったのがモノとして欲しくなり、ボックスセットであれば有名な曲いい曲はだいたい抑えてあるだろうからと一気に買ったのでした。

 バイトで給料が出たばかりだったし(笑)。

 

 あれ、好きな人の話は・・・


 きっかけはもうひとつ、当時好きだった人が、彼女と言うべきか、英国が好きでエルトン・ジョンが特に好きだと話していたからという単純なもの。

 そのタイミングでエルトンのボックスセットが出たのだから、欲しくなりますよね(笑)。


 でも正直、しっくりこなかった。

 いいと思う曲や知っている曲はたくさんあったんだけど、なんというのかな、トータルでエルトン・ジョンという人があまり好きになれなかったのです。

 これはその女性とのことはまったく関係なくて純粋に音楽として僕はそう感じました。

 

 それからもずっと聴かないできましたがこれもその女性とのことでこだわりや心的抵抗があったということはなく純粋に音楽としての話です。


 ただしまったく聴かなかったわけではなく、ここが僕らしいところでしょうけど、エルトン・ジョンはアルバムのリマスター盤が出ているのでひとまず集めてゆこうかとも思い、このアルバムと「黄色いレンガ」を買って聴きました。


 このアルバムは意外なことにとてもいいと思いました。


 まだ手作りのシンガーソングライター感覚にあふれていて、音もアコースティックギター中心に作られているし、Sixty Years Onみたいに既に僕には劇的に過ぎる曲はあるにしても全体ではまだ僕にとっての普通の感覚で聴き通せる曲が並んでいます。

 

 このアルバムで大きいのはTake Me To The Pilotが入っていることですね。

 最初に買ったボックスセットでいちばん気に入ったのがこの曲で、今でも僕はエルトン・ジョンでいちばん好きな曲はと聞かれると迷わずTake Me To The Pilotと答えます。

 「てっいくみぃとぅざぱぁぃろっと りぃどみぃとぅざちぇいんばぁ ていくみぃとぅざぱぁいろっと あぃぇぃんとごなすとれぃんじゃ」

 この「ぱぁいろっと」の部分がよくてサビを歌っていると自分でもかっこいいと錯覚してしまうくらい(笑)。

 おまけにサビで「なななぁ、なななぁ」と言葉ではないハミングが入るのがまたいいんです。

 僕はこれをよく「にゃにゃにゃあ にゃにゃにゃあ」と猫声で犬たちに向かって口ずさんだりもします(笑)。

 この曲が大好きなのは他に説明のしようがない、まったくもって僕の感性であり感覚によるものです。


 僕も年をとってだんだんと気持ちが緩くなってきたのか、あるいは単に気づくのが遅かったのか、最近ようやくエルトン・ジョンを集めて聴いてゆこうと自然と思えるようになりました。

 自然と、ここが重要で、以前ならリマスター盤があるからモノとして機械的に買おうかと思っていただけだったのが、今は素直に自然に聴きたいと思って注文しています。

 そうです、もう2枚既に注文しました(笑)。


 今の僕にエルトン・ジョンの流れが来たのには、実は、もうひとつ訳があるのです。


 長くなるのでそれは次回に。