BLUES SINGER バディ・ガイ | 自然と音楽の森

自然と音楽の森

洋楽の楽しさ、素晴らしさを綴ってゆきます。


自然と音楽の森1日1枚-Sept08BuddyGuyBS


◎BLUES SINGER

▼ブルーズ・シンガー

☆Buddy Guy

★バディ・ガイ

released in 2003

CD-126 2011/09/08

Buddy Guy-03


 バディ・ガイの2003年のアルバム。


 このBLOGで初めて同じアーティストを2回続けることになりましたが、それだけ僕は今バディ・ガイに、ブルーズに凝っているということです。


 先にこのアルバムの概要をさらりと。


 21世紀に入ってからリリースされた12曲入りのこのアルバムはアコースティックギターによるフォークブルーズ路線。

 5曲がバディ・ガイとジンボ・メイサス Jimbo Mathusの2人、Salty Mayがバディ・ガイひとりのギターの演奏と歌だけの曲。

 もう半分の曲はドラムスやベースが入ったバンド形態をとっており、2曲目のCrawlin' KingsnakeにはなんとB.B.キングとエリック・クラプトンの2人が参加、クラプトンはその次のLucy Mae Bluesにも。

 ドラムスは僕が買うCDの4枚に1枚は参加しているのではないかというくらいの仕事中毒者(笑)ジム・ケルトナーが務めています。


 このアルバムでバディ・ガイは2003年度グラミー賞において「ベスト・トラディショナル・ブルーズ」賞を受賞しています。


 それ以上はもう僕が何かを書かなくても、手抜きといわれればそうかもしれないけど(笑)、これだけでジャケットの写真を見るとこのアルバムがどんな音楽かを想像するのは難しくないでしょう。

 僕もネットで買う際にジャケット写真を見て音を想像し届いてから聴くとまさに寸分の狂いもなくその通りの音でした。

 

 今回それでも記事にしたのは、これを聴いて僕はふと思ったことがあったからです。


 ブルーズの魅力、ブルーズの奥深さは「間(ま)」からきているのではないか。

 その「間」は時間的な「間」及び空間的な「間」。

 いわば「間の美学」がブルーズの魅力じゃないかなあ。

 だから同じ曲でも人によって違って聴こえてくるのではないかなあと。


 ギター2本とヴォーカルだけというシンプルな演奏においては基本的には聴こえる音はギターと声だけですが、だからこそ「間」の重要さを感じました。

 でもここから書くことはエレクトリックギターのバンド形態でも通じるブルーズには普遍的なことじゃないかなと勝手に思いながら書き進めます。

 

 時間的な「間」として挙げられるのが曲のテンポ。

 同じ曲でも人によって選ぶテンポが違いそれが個性となり、その人に自然と合ったテンポで演奏されると素晴らしく響いてくる。

 もうひとつが楽器と楽器あるいは楽器と声の「間」、音の出方入り方にも音符に表せないタイミングがあってバンドの場合はメンバー間でそこが合うかどうかでまたフィーリングが違って響いてくる。

 しかもテンポが違えば、例えばギターのイントロと歌の入り方のずれも人によって違いそこがその人の持ついい「間」つまり個性につながっているのではないか。


 空間的な「間」は音と音の距離感。

 レコードの上での話として進めると、このアルバムのCDを聴くと楽器がスタジオの中のどこにあるかがまるで見えているような錯覚に陥ります。

 ギターのフレーズを弾いて歌う瞬間のその音同士の距離感がこのアルバムは絶妙に録音されていてリアルに響いてきます。 

 ライヴにおいてもやっぱりこの空間的な「間」が会場によって違ったりあるいは同じ場所でもその時の気分によって違うかもしれない。

 ただし僕はレコードを聴いてその感想をいう人間なのでライヴについてはそれ以上は言わないことにして、とにかくブルーズのレコードというのは音の刻まれ方にも個性が表れていてそこが面白さにつながっているのではないか。

 実際、今聴いている他のアーティストでもこういう音空間なんだというのが面白かったりしました。

 ただ、「間」の違いや「間」の持つ意味合いはもちろんブルーズに限らずすべての音楽において存在しますが、でもブルーズは特に「間」を生かす演奏ができるかどうかが大きいと思うのです。


 例えばデフ・レパードのPour Some Sugar On Meの話をします。

 おいいきなりブルーズからデフレパかとお思いかもしれないですが(笑)、ともあれこの曲はヴァースの部分で各小節の最後に楽器もヴォーカルもすべての音がしない「間」がほんの一瞬だけあってそれが曲に独特の雰囲気を与えていると思います。

 その間は直接的にはクイーンのWe Will Rock Youからきているのでしょうけど、でもその「間」の意識というのはさかのぼるとやはりブルーズにたどり着くのではないか。

 

 というのが僕がこのアルバムを聴いて考えた、「ブルーズの「間」の美学」であり、ブルーズを演奏する人は他の音楽よりも格段に「間」への意識が大きいのではないかと思います。


 なんて大げさでしたね(笑)。


 これを聴いてもうひとつブルーズ全般について感じたことがあるんですが、ここは1枚につきひとつということで進めてゆきたいと思いました。


 このアルバムはほんとうに気に入りました。

 なんとなくかけておくのもいいし、真面目に聴き込むのもまたいい。

 バディ・ガイのハイトーンが年を追うごとに冴えていっているようにも感じて、歌手としてのバディ・ガイのすごさもまた感じました。

 あとはこのようにギターが弾けるといいのですが(笑)。


 ブルーズはやはり言われるようにシンプルなだけ余計に奥が深いということがようやく分かりかけてきました。

 と同時にブルーズの面白さも見えてきたと感じています。


 さて、次はどのブルーズを取り上げるかな(笑)。


 

 しかしブルーズばかり続けるのもどうかと自分でも思うので、明日は、そして多分その次も、ブルーズではないものを取り上げます。