SOME CHANGE ボズ・スキャッグス | 自然と音楽の森

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洋楽の楽しさ、素晴らしさを綴ってゆきます。


自然と音楽の森1日1枚-July08BozScaggs


◎SOME CHANGE

▼サム・チェンジ

☆Boz Scaggs

★ボズ・スキャッグス

released in 1994

CD-0098 2011/07/08


 ボズ・スキャッグスのソロ11枚目ということになるアルバム。


 このCDはブックオフで500円コーナーにあったのを見つけ50円チケットを使い450円で昨日買いました。


 聴くとなにかとっても懐かしい、いい雰囲気のアルバムでした。


 僕は大学3年から卒業までそして1年あけて30歳になるまで東京のさる大きな書店で働いていました。

 店頭に立つのではない裏方仕事でしたが元々が本好きの僕の思いはその頃に増幅されました。

 

 仕事中はJ-WAVEを1日中かけていました。

 僕がそこに入った時は既にそうだったので僕より前の誰かがそうしたものが継承されていたのでしょう。

 

 ボズ・スキャッグス1994年のこのアルバムは当時J-WAVEで何年振りかの新作ということで話題になっていました。

 僕は当時はボズは聴いておらずまだ名前と存在と代表曲1曲しか知らなかったので、ああまだやってたんだくらいの認識しかありませんでした。


 昨日このCDをかけて聴いていると、3曲目I'll Be The Oneで瞬時にしてその頃に心が戻されました。

 そうそうこの曲だ、その頃よく流れていたっけ、懐かしい。

 

 僕は80年代音楽を聴いて育ち大学に入っても一時期怪しかったけど音楽への興味や関心それに思いは失わずに聴き続けてきました。

 1992年に家にケーブルテレビを導入しMTVを見るようになってからは怪しかった時期を抜け出し再び音楽がごく日常的なものになりました。

 だから僕の音楽のピークは80年代と90年代の2つあったという感じです。

 

 ボズのこのアルバムを聴いて、僕が気持ちいい響きだと感じるのは90年代の音だからだと感じました。

 80年代の音というものが確かにあるその不思議について今まで何度か記事で触れましたが、90年代の音というものも確かにあると僕は思います。


 90年代は80年代の飽和状態から脱して緩く広く音楽性が広がっていった時代だと思います。

 聴き手の趣向が多様化したこと及びアーティスト側もいろいろな要素を採り入れて音楽の幅が拡大した時期でしたね。


 90年代の音の特徴として僕が思うのは、機材の発達もあるのでしょうけど、楽器の音ひとつひとつがクリアで楽器同士の干渉が少なく音像がくっきりしていて音の空間のバランスがよくしかも音が空間を埋め尽くすことなく余白を残して響いてくるという感じです。

 そう、この余白が90年代の音ではないかと。

 80年代の特に前半までの音が派手にきらびやかに響く音ですき間を埋めようというのとは違い聴いていて落ち着きます。

 もちろんグランジやポストグランジのような音はありますが、それらに類されない特に80年代より前からやってきていた人たちの音はそういう響きのものが多いように思います。


 90年代前半にアンプラグドが流行りましたがそこでアコースティックな音が古くからの人には再評価され若い人には新鮮に映りましたが、全体として音が落ち着いてきたのもその影響があるのではないかと考えています。

 また90年代はさりげなくおしゃれな感じの音楽も選択肢が増えましたが、おしゃれならボズはロック界のおしゃれの先陣を切ったひとりだからもうお手のもの。


 ボズ・スキャッグスは僕は5年前に初めて自分の意志でお決まりのSILK DEGREESのCDを買って聴き始めました。

 ボズ・スキャッグスはAORの権化のような人ですが、最初に聴いた印象が、言われているほどヤワじゃないということでした。

 そういう音楽が好きな方には申し訳ないと思いつつ僕の感じたことを正直に書くのでお許し願えれば、僕は、なんかこうふにゃっとしたつかみどころがない音楽を予想していたのでした。

 違う、音はガツっと響いてくるしむしろしゃきっとしている。

 ボズはかつてはブルーズマンでありあのカルロス・サンタナとギターで張り合っていたと後で知り、なるほど合点いきました。

 以来ソニー時代のアルバムはすべて買い揃えて密かに好きなアーティストになりました。


 ところがソニー以降のはまだ買っていないものがあって、これがその1枚でした。


 買ってよかった。


 このアルバムは90年代のよいエッセンスが詰め込まれた1枚です。

 ブルーズの影響も確かに感じられるしラテン風味もあるし、鳥好きとしては見逃せないFly Like A Birdはテックスメックス風味。

 AORだのなんだのと言われているけどボズ・スキャッグスの音楽も確かにアメリカのロックであると感じます。

 いや実は、僕はもはやボズをAORとは思っていないんですけどね・・・(笑)。


 正直言えば、ボズ・スキャッグスは一応アルバム集めているから買ってみた、最初はそれだけのものでした。

 でも1度聴いて懐かしさに襲われ、2度、3度と繰り返しこれは愛聴盤になりそうな予感であり、隠れた名盤を発掘した気分ですね。 

 そして音楽好きとしてはブックオフは時々しっかりとチェックしないといかんですね(笑)。