OFF THE WALL マイケル・ジャクソン | 自然と音楽の森

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洋楽の楽しさ、素晴らしさを綴ってゆきます。


自然と音楽の森1日1枚-May17MichaelJackson


◎OFF THE WALL

▲オフ・ザ・ウォール

☆Michael Jackson

★マイケル・ジャクソン

released in 1979

CD-0050 2011/05/17


 マイケル・ジャクソンのエピックからのソロアルバム第1弾にして新たな歴史の出発点の1枚。


 昨日の夜に車を運転していて横に広い倉庫の壁を見た時にこのアルバムの表題曲が頭に浮かんだので帰宅してそのまま聴きました。

 CDを聴くきっかけなんてそんなものです(笑)。


 マイケル・ジャクソンについてはやはり多くの人にいろいろな思い出があるでしょうね。

 今回は僕がこのアルバムを聴くことになった思い出話を。

 

 当然のことながらその入り口はTHRILLERでしたが、それがすっごくいいと言いまくっていた高校時代にソウル音楽が好きで今でも親交があるクラスメイトにこう言われました。

 「マイケル聴くならRock With Youを聴かなきゃ」

 彼はクラスメイトだからもちろん同い年だけど当時から訳知り顔して大人の言い方で僕に接していました。

 もっとも大人になった今ではそれはただ単に彼の癖というか特徴であってこちらを見下していたわけではないことが分かったのですが(笑)。


 まあでもそう言われたら悔しくて聴きますよね。

 高校時代の少ないお小遣いの中から買うべく当時通い始めたタワーレコード札幌店の初代の店に行くとこのLPが1280円であったので買って聴きました。


 Tr2:Rock With YouはビルボードでNo.1になった曲ですが、なるほど、アップテンポでのりがいい中にも旋律はゆったりとしていてロマンティックでバラードともいえる響きを持った曲。

 当時の僕にはまったく新しいタイプの曲として映り一発で気に入りました。


 しかしアルバムを聴くとそれ以前に発見がありました。

 Tr1:Don't Stop 'Til You Get Enough、これはまだ洋楽を聴く前の中1か中2の頃にスクーターのCMで本人が出てこの曲を歌って踊っていたっけ。

 そしてこの曲は今聴くと民族音楽的なリズム感が非常に心地よいですね。


 当時はまだまだディスコの世の中であり、このアルバムもディスコで踊ることを意識もしているし曲名にDiscoと入った曲もあるのでディスコの影響があることは疑いようがありません。

 しかし今聴くとこのアルバムには古さを感じない。

 思いっきりディスコサウンドのCDを聴くと音と音の間から時代の化粧がはがれおちてくるのを感じ、いけないものを見てしまったようなちょっとした罪悪感と恥ずかしさに襲われませんか!?

 まあそれはディスコの時代にはまだ生まれていなかった若い世代の人にはない現象かもしれないけど、僕はそんな複雑な気持ちになりつつも音楽はいいんだと思い込むように聴いています。


 しかしマイケルのこれにはそんな気持ちはまったくないですね。

 マイケルの広くて深い音楽の素養がこのアルバムでは既に次の段階を提示していたということでしょう。

 またこの曲の民族音楽的なリズム感は、ディスコで強制的に機械のように踊らされるのではなく、もっと自然なリズムで踊ろうよというマイケルのメッセージだったのかもしれないと、今にして思います。


 Tr5:Off The Wallはベースラインがまさに壁みたいに聴こえますね。

 この曲もLPを聴いた時にどこかで聞き知っていたのですがこれもCMかな。

 最近昔のCMのDVDが出ていますが洋楽もののCMのDVDが出ないかな。

 この曲もディスコサウンドを抜け出したディスコですね。


 Tr6:Girlfriendはポール・マッカートニーの、正確に言えばウィングスのカバー。

 僕がポールの曲でオリジナルよりカバーを先に聴いたのは後にも先にもこの曲だけです。

 ウィングスのこの曲が入ったアルバムLONDON TOWNはCDの時代になって初めて聴きました。

 その時、あれ、この曲どこかで聴いたことがあると思いつつも思い出せず、少ししてマイケル・ジャクソンがカバーしていたことを何かで知って頭の中でつながりました。

 はい、そうです、マイケルのLPを聴いた時はこの曲が誰の曲か調べず覚えなかったのでした・・・

 もしすぐに調べていればウィングスのそのアルバムもすぐに買っていたかもしれない。

 でもこの曲は後から見るとまるでポールがマイケルのために書いたみたいにマイケルの色に染まりきってぴたっと決まっていますね。

 オリジナルよりカバーのほうが有名なのではないかと思うけど、ポールでそのような例があるというのはマイケルの人気のほどを表しているのでしょう。


 マイケルがTHRILLERでポール・マッカートニーと共演したのは、マイケルがその前にこの曲をカバーしていたにもかかわらずマイケルを差し置いてポールがスティーヴィー・ワンダーを招いたことにジェラシーを感じて強引に押し切ったという話を聞いたことがあります。

 マイケルの場合はエゴというよりは子どもっぽさかな(笑)、でもそれがマイケルらしくていいですね、納得します。

 CDのブックレットにはポールとマイケルの2ショットがありますがポールが若すぎる(笑)。

 

 Tr7:She's Out Of Mindを聴くとマイケルは本質的にソウルシンガーなんだって思います。

 繊細なヴォーカルはソウル以上にソウルを感じます。

 そしてマイケルが最後までその歌い方を忘れなかった、捨てなかった、続けていたことが今となっては心が打たれる部分ですね。


 このアルバムは正直、僕には最良の部類とは言い難いのです。

 曲によっては若さや勢いや雰囲気そしてサウンドに押し切られるだけで僕には歌としては響いてこないものがあるからです。

 ただそれでもそうした曲を聴くのが嫌だということはなくアルバムとして聴いている時はそれなり以上に気持ちよく時間が過ぎてゆきます。

 マイケルはだから聴かせる術も若いうちから心得ていた真のエンターティナーであると思いますね。

 

 そして時々むしょうに聴きたくなる、これはそんなアルバムです。

 だから結局は大好きだし心の中にいついているアルバムということなのでしょう。

 若々しい気持ちで爽やかな時間を過ごすことができる1枚です。


 お、今聴くとTr8:I Cant Help Itもソフトで優しくてなかなかいいじゃない!


 一昨日までの反動で昨日今日と若い人のアルバムでした。

 もちろん今日のマイケルは若い時のアルバムという意味ですが、若さは音として永遠に刻まれています。


 しかし、マイケルの時間が止まってしまったのが早すぎた。


 いまだにそう思ってしまう自分もいます。