RIVER DEEP - MOUNTAIN HIGH アイク&ティナ・ターナー | 自然と音楽の森

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洋楽の楽しさ、素晴らしさを綴ってゆきます。

自然と音楽の森1日1枚-April27IkeTinaTurner


◎RIVER DEEP - MOUNTAIN HIGH

▲リヴァー・ディープ・マウンテン・ハイ

☆Ike & Tina Turner

★アイク&ティナ・ターナー

released in 1966

CD-0031 2011/04/27


 アイク&ティナ・ターナーが1966年にリリースしたアルバム、プロデュースはフィル・スペクター。


 今回はほとんどRiver Deep - Mountain Highの1曲について触れる記事になりますかね。


 それにしてもこの曲の凄さといったら谷よりも深く山よりも高い!


 なんてもうシメの言葉のようになってしまいましたが(笑)、この曲は大好き。

 ただアルバムとして聴いたのは今回が初めて、そこからいろんなことを思いました。

 

 フィル・スペクターの「ウォール・オブ・サウンド」について、僕は彼のボックスセットを持っているし事実としては知っていますが、でもそれについて蘊蓄を傾けられるほどではありません。

 だからこの記事はフィル・スペクターが大好きな人には子どもの戯言にしか思えないでしょうけど、それでも思ったことを話してゆきます。


 僕がこの曲を初めて聴いたのはオリジナルではなくセリーヌ・ディオンのカバーでした。

 セリーヌの声も天まで突き抜けるほどにすさまじく、最後のほうであまりにも音が大きいので音が割れてノイズになっているくらい。

 声もだけどそもそもこの曲は歌メロもよかったのでお気に入りの曲となりましたが少しして調べると、アイク&ティナ・ターナーの名曲と呼ばれている曲だと分かりました。

 セリーヌのそのアルバムは1990年代後半だから、僕は実はこの曲を知ってまだ15年が経っていない「若造」なのであります(笑)。

 自己弁護だけど、カバーで名曲を知ってオリジナルにたどり着くのはよいことだと思うし僕はそれが好きです。

 

 今回初めてこの曲が入ったアルバムのCDを買ってフルに聴いてみると・・・

 なんて華やかで爽やかなソウルなんだろう!


 僕はソウルを傾聴するようになってまだ日が浅く、その割に偉そうなこと言いますが(笑)、ソウルの音とは小さなスタジオに何人かが入ってこじんまりと演奏しているみたいな感じに捉えていました。

 よくいえばまとまっているということだけど、音の場が狭いと感じるというか。

 モータウンのレコードは車のAMラジオで聴くといちばんよく響いてくるように高音を強調ししゃりしゃりした音にミックスされているという話を聞いたことがあります。 

 一方これはまるで反対、大きくて広がりがある音ですね。

 

 スペクターのこの音は、ほんとうに壁というよりも山がこだましながら迫ってくるような感覚に陥ります。

 不思議ですよね、目に見えない音なのに視覚的なイメージが浮かんでくるというのが。

 スペクターがどうやってこの音にたどり着いたのかそこも興味深くて本か何かで読んでみたい。

 

 ティナ・ターナーのヴォーカルの迫力も壁の音に負けていない。

 彼女の声の特性なのか音楽に合わせたのか、ここでは明るくのびやかだけどきれもあるし広がりもある個性的な声で歌っていて、やはり声は最大最高の武器であると実感します。

 ティナはティナでひとつの山であってサウンドは後ろの山脈のような感じに響き、彼女の声が全体の音をさらに高みへと引っ張り上げている。

 なるほど、この声だから出来た芸当であり、ゆえにスペクターの大傑作と言われるんだなと。

 僕の家のステレオ、パイオニアの25連装CDプレイヤーにケンウッドのアンプそしてダイアトーンの30年もののスピーカーで聴いていると(みな高級品ではないけど)、輪郭がくっきりとした上で縦にも横にも奥にも広がって響いてきます。

 ほんとに凄いと思いました。


 僕はこれを聴くまで、「ウォール・オブ・サウンド」は興味がないわけじゃないけど、まあそういうものがあるんだな程度にしか思っていなかったのです、正直。

 だけどこれを聴いてもっと他のスペクターのものやアイク&ティナ・ターナーのアルバムを聴いてみたくなりました。

 この年にして目覚めました(笑)。

 申し遅れましたが、僕が聴いているのはHIP-Oレーベルから出ているリマスター盤で、きっとその効果もあるのだと思います。

 

 アルバムとしても充実しています。

 コンセプトとかそういうものは何もないのだろうけど、もうここまで出来がいいと1曲1曲を味わえば他は要らない、満足し納得して聴き終ります。

 しんみりしたりじめっとしたところが感じられない、爽快感すら感じるのもあまり気分を選ばずに聴きやすい部分です。

 だからソウルではないのかもしれないとちょっと思ったりもしますが、でもスペクターの場合はそういうジャンル分けはあまり関係ないのかもしれません。

 ともあれすっかりお気に入りの1枚となりました。

 ジャケットもカッコいい!

 

 以上、まるで洋楽を聴き始めたばかりの中学生のような感想文を終わらせていただきます(笑)。


◎このCDこの6曲

Tr1:River Deep - Mountain High

=ソウルの名曲の中でも僕が好きな十指に入る曲。何より歌って気持ちいい、というかいちばん高い音は鼻歌では出ないけど(笑)。ソウルには"river"と入った名曲が多いですね。

Tr3:A Love Like Yours (Don't Come Knocking Every Day)

=マーサ&ザ・ヴァンデラスの曲として知っていたけどテンポが違うしサウンドがまるで違う大人の雰囲気の曲になっているような。

Tr7:I'll Never Need More Than This

=知らなかった曲ではこれがいちばん気に入ったけどオリジナルのよう。アップテンポだけどバラード的な揺らぎがあって気持ちが入りやすい。

Tr8:Save The Last Dance For Me

=有名な曲だけどやはりあまり寂しさのようなものを感じない。

Tr10:Every Day I Have To Cry

=普通ならもっとじめっとしているであろうこんな曲でもどこか明るくさわやか、でも気持ちはちゃんと伝わってくる。

Tr12:It's Gonna Work Out Fine

=アイクさんの声はつやがある低音でカッコいいですね。実はアイクさんの声は今回初めて聴きました・・・