◎CRYPTIC WRITINGS
▲クリプティック・ライティングス
☆Megadeth
★メガデス
released in 1997
CD-0020 2011/04/15
メガデス7枚目のアルバム、1997年リリース。
昨夜から北海道テレビ=HTBで新しい深夜番組が始まりました。
「我思う、故に我ラーメン」 、録画して今朝の5時半から見ました。
有名人が札幌の人気ラーメン店を訪れて実食した感想をその人なりの芸で表してみるという15分番組。
第1回目のゲストがマーティ・フリードマンでした。
番宣で知って録画して見たのですが、これがなかなか楽しかった。
ラーメン大好きマーティが訪れたのはすすきのの外れにある「一幻」というお店。
えびのだしを使ったこだわりのスープが人気という。
マーティが訪れると店員さんがラーメンを作り始めましたが、スープのだしもエビの上にエビガラを使った粉末とエビガラを混ぜ込んだふりかけをかけて食べるという新しい趣向で、エビ好きの僕としても興味津々。
マーティの感想は「食感はラーメンだけど味はエビで不思議でもとってもおいしい!」
よほど気に入ったらしく、東京への出店の予定はないのですか、できれば(マーティが住んでいる)西新宿にお願いしますと店員さんに話していたのが面白かった。
ここからが番組の売り、マーティが、このラーメンを食べた感想をギターで表現することに挑戦しました。
マーティのローディが、今オンエアされているSMBC日興証券のCMで弾いているレス・ポールの形をした赤いギターとアンプを店内に持ち込んでセットし、いよいよマーティが奏でました。
曲のイメージは「和風と洋風の融合」、バロック風の早引きのほの暗い中に情緒ある旋律のマーティらしいものでした。
曲名はとスタッフに聞かれたマーティは「札幌LOVE」と名付けたけど、エビは関係ないんですかと突っ込まれていました(笑)。
でも僕は"Everybody Come On"=「エビばでぃ噛むおん」とかいうダジャレじゃなくてよかったと思いました(笑)。
曲を聞いた店員さんの感想がまた面白くて、「ギターを弾くマーティの指がエビが跳ねているようでした」というものでした(笑)。
予告編を見ると、来週もマーティが札幌の別のラーメン店に行くようで、これはまた楽しみ。
番組は北海道ローカルでしょうけど、上記番組タイトルがリンクになっていますので、ご興味があるかたはそちらをご覧ください。
◇
今回は音楽以外の話で盛り上がり長くなってしまいました(笑)。
肝心のCDは、僕が初めて自分の意志で聴いたメガデスのこのアルバムを取り上げます。
僕は1990年代前半はMTVをよく観ていましたが、ちょうどメガデスの絶頂期でもあり、彼らのビデオクリップを嫌というほど観て音楽を聴かされました。
はい、当時は僕もまだヘヴィメタルはあまり聴いていなかったので、最初はやはり嫌いというか苦手というか抵抗がありました。
彼らはヘヴィメタルの中でも最もヘヴィメタル然としていて、おどろおどろしくて内向的で破滅的で恐いことばかり歌っているしジャケットのアートワークも恐くて、まるで近寄りがたい存在と感じていました。
何よりフロントマンであるデイヴ・ムスティンのふてぶてしいにもほどがある顔つきとダミ声と苦虫を100匹噛み潰したような歌い方が、「歌」にこだわる僕にはまるで駄目でした。
ただ、MTVで流れるとすぐにチャンネルを変えるということもなく、だから結果として曲は覚えたのですが・・・
その僕の考えは、ギタリストがマーティ・フリードマンという人であると知って変わりました。
マーティはヘヴィメタル誌「バーン!」でコラムの連載を始め、弟が購読していたので僕も読みましたが、彼は日本語を勉強して日本語が話せるようになったことをそこで知りました。
日本人は外国人にどう見られているかを特に気にする人々だと思います、それは僕自身も含めて。
日本では昔から日本語を話して日本で活躍する外国人タレントは人気があるし一目置かれますよね。
彼のコラムは日本への敬意を感じられ、日本文化を愛し、来日するたびに日本の芸能人仲間が増えてゆくなど日本を楽しんでいる様子が伝わってきました。
マーティはこの次のアルバムの後にメガデスを脱退し、いよいよ日本を拠点に活動を始め、JPOPアーティストのバックを務めて紅白に出たり、NHKで英語番組に出たり、音楽番組はもちろんついにCMと、今やすっかり日本の芸能人として人気者になっているのはもはや説明不要でしょう。
僕が「バーン!」のコラムを読んでいた頃、もしかして将来彼はそうなるのかなと薄々感じ、そうなってほしいとすら思っていたのがその通りとなり、テレビでマーティを見る度になんだかよかったと思います。
ラーメンの番組で札幌に来てくれたのもうれしいし(笑)。
あれ、まだ音楽にたどり着いていない(笑)。
このアルバムはそんな日本を愛するマーティに興味を持ち、MTVで流れていた曲も結構よかったので、初めて買って聴いたメガデスのアルバムです。
聴いてみて、あれ、こんなに悪、いや、アクがない音楽をやっているんだって意外でした。
ヘヴィメタル的要素の僕が苦手だった部分が薄く、普通のロックっぽい感覚に満ちていて、これなら十分聴けるを通り越してすぐにお気に入りの1枚となりました。
もちろん音は重たいし全体的に薄暗いムードでデイヴの歌い方も相変わらずだけど(笑)、でも、そのマイナス要素以上に、ロックを愛する人間には普通のロックとして鋭く響いてきました
簡単に言うと「メタル版ロックンロール展示会」という感じ。
曲の構造が意外なほどオーソドックスであり昔からの様々なロックンロールのスタイルに基づいていて、ロック愛を感じながら聴くのもまた楽しい。
ヘヴィメタルだって特殊な音楽ではない「ただのロック」ですからね。
彼らの基本であるスラッシュメタルの曲だって、それ以前に普通のロックンロールとしてカッコいいと思うし頭と体と心が自然と揺り動きます。
メガデスはそれからすぐに過去のアルバムをすべて買って聴くようになりましたが、不思議なことに、MTV時代にあれほど毛嫌いしていたものすらいいと思うようになりました。
ただのへそ曲がりだったのかな・・・(笑)・・・
やはり音楽は、なんでもいい、なにかとっかかりがないとなかなか近付けないのかもしれない。
一方で、とっかかりさえあれば心の障壁は意外と低いのかもしれない。
そんなわけで今では僕は、メガデス大好きと自信を持って言えますよ!
もし、マーティ・フリードマンという芸能人が好きで、メガデスを聴いてみたいけどヘヴィメタルは恐いという人がいらっしゃるなら、僕はこのアルバムをおすすめします。
ヘヴィメタルに慣れていない人には最初はかなりハードに聴こえるけど、それさえ慣れれば、思いの外普通のロックであることが見えてくるはずです。
結構売れたのでブックオフなどにもよくあるのではないかと思います。
もっとも、声が苦手な人にはだめなものはだめかもしれないけど・・・
マーティはこちらで今週に放送した「タモリ倶楽部」の「空耳アワード」にも出ていたので、今週は同じHTBで2回見たことになるんだな。
あのタモリもマーティには芸人に対するような激しい突っ込みはせず、この日本語を話すアメリカのギタリストに敬意を抱いていることを感じます。
先頃の大地震で日本は世界からいろいろな意味で注目されるようになりました。
有名人でもそうではなくても、外国の人が日本に向けて贈ってくれる言葉を聞くと胸にしみてきます。
マーティ・フリードマンも自らのギターをオークションに出して売り上げを義援金にあてていますが、今の日本人には、マーティのような存在はとってもありがたいと感じます。
マーティのほうも、大変なことがあったけど、あったからこそ日本にいてよかったと思っているかもしれない。
日本人だ外国人だと書いていますが、人間みな同じですからね。
ああ、それにしてもエビラーメンが食べたい(笑)。
◎このCDこの5曲
Tr2:Almost Honest
=印象的なギターリフとポップな歌メロに中間部の展開もいい。MTVで僕が初めて気に入った彼らの曲
Tr6:I'll Get Even
=サビの歌メロは口ずさみやすい、彼らには時々こんな曲がある
Tr8:A Secret Place
=70年代ハードロックとメガデスらしさが見事に融合
Tr10:She-Wolf
=スピード感の中に歌メロがうねうねと進んでいくメガデスらしい曲
Tr12:FFF
=スラッシュメタルってカッコいいって再認識します