電車に乗って、
知らないところに行く。
不思議な世界に
飛び込んだ気分になるから。
初めて来たそこには、古い石造りの階段があった。少し急で、木々で先が見えない。
ドキドキしながら階段を上ると、
そこはもう別世界。一面の苔に、木々の屋根。木漏れ日が、透き通る空気の風が。
気持ちいい。
真ん中にぽっかりと、池がある。
鯉がいるのかなんて、池を覗き込んだ。
あれ?
そこに開いていた穴には、確かに水が張っていた。でも…底が見えない。暗くて、そこだけ闇が存在していた。
スゥ…。
あ、何かいた。
そのとたんに足を滑らせて、池に落ちた。
ブクブク…。身体が沈んでいく。
白いものが、周りを泳いでいる。魚…。白い魚。
何か、聞こえる。誰の声?
底に何かいるの?
目に映ったものは…。
気づけば、池のそばにいた。
でも、その池は浅く、普通に鯉が泳いでいた。
「どうしたかね」
振り向けば寺の和尚さん。
「さては、白い魚にでも気に入られたか」
声を出して笑う和尚さん。
和尚さんも見たんですか?
でも、私の目に映ったのは…。
「アレは決まったヒトにしか見えんよ。見えたのならラッキーじゃ」
和尚さんはゆっくり去っていった。
私の見えたのは、白い魚だけじゃなくて…。
白いイルカ…。
何だか不思議な気分になって、そのまま池を見つめ続けた。