僕の目の前に、何か落ちていた。
落ちていたというのは、相応しい言い方ではないかもしれない。
しかし、それは動かない。
人型なのに動かない。
日の光を浴びているだけだった。
僕はそれに近づいてみた。
昼近くだというのに、誰もいないどこかの建物。
白い壁が印象的だった。
VOCALOIDのカイトが落ちていた夢。
そこに落ちて…寝て…?いるのは顔色の悪いアンドロイドだった。
最近はやりの、人型ロボット。
多少、旧型のようだが。
壊れて捨てられたのかな?
光を反射させる蒼い髪はまるで海の色だ。
「マス…タ」
何がコイツをここまで動かしたんだろう。
「僕は君のマスターじゃない」
機械のくせにそんな泣きそうな顔スンナよ。
「マ…ス…タ」
もう自分のマスターの顔もわからなくなって…
壊れる限界なのにポンコツ君はそうやって優しい顔してほほ笑むんだね。
歌を歌ってほしいけれど、それはもう無理だろう。
褒美にアイスでも買ってあげたいけれど、君の前でアイスは溶けるしかないだろう。
僕には何もできないけれど、
このポンコツ君が動かなくなるまで一緒に日向ぼっこしようと思った。