最初は…仕事をしていた。
まるで土曜の朝に、家でテレビを見ているような感覚。
薄暗い部屋に、それに合わない他人の声。
ふと、気がつけば家にいた。
実家。両親がいて、引っ越す前の家。
時間がない。
時計は12時前をさしていた。
「行かなきゃ」
クローゼットを開けて、私服を探した。
「私服でいいんだっけ?」
って、疑問が浮かんだ。
学校に行かなくちゃ…一日休んだだけなのに、なんでわからなくなっちゃうんだろう。
「せ、制服だっけ?」
ベージュのズボンに手を伸ばす。
わからない、時間がない。
土曜の空気は、若干不安な気持ちにさせる。
両親が、可笑しそうにこっちをみる。
そして気がついた。
私は今、社会人で。
前に学校に行ったのは、もうずいぶん前なのだと…。
実家にあるはずのないクローゼット。
両親も、友達も、本当は周りにいないのだと…。