最初は、自分の部屋にも似た場所にいた。
誰かと一緒にいたような気もした。
玄関をあけると、暗かった。
それは、夜だからということではなく、建物のなかだからだった。

ホテル?そんなイメージ。 少し間をあけた玄関の扉が開く。
そこからは、白い人影が。いや、人ではなかった。

それは、たしかにスーツを着てはいるものの、肌は白い毛に覆われて、
頭からは長い耳がのびていた。

うさぎ。

まるでおとぎ話でてくるうさぎだった。
うさぎは反対方向に向かって廊下を歩いていき、姿を消した。
うさぎが出てきたドアをあける。
まるでアリスの国だ。飾ってある小物がそうイメージさせた。

僕のとかわらない大きさの部屋の真ん中に、誰かが寝ている。
アリスだ。見ずともそう判断できた。

そして、僕と同じ何かを感じた。
アリスも、それを感じたのか勝手に入ってきた
侵入者である僕に驚くことはなかった。

アリスを連れて、外に出た。
ホテルのような建物は広く、ドコまで続いているのか分からなかった。
たくさんの人々が行きかっている。

僕らは階段を下って地下に下りていく。
実際は、ドコにも窓がなく、地下なのかどうかの判断はできないのだが、
今までと違う重苦しい空気に、薄汚れた汚い壁、
照明のせいか、一層暗くなった視界がそうだと教えていた。
こんな風景、いつか見たな。
ホラーゲームや、地下を舞台にしたゲームのような壁。
照明でオレンジがかった色に、サビのような汚れが目立つ。

今、僕らは3人。アリスと、僕と、知らない誰か。
目的はよく分からなかったけど、同じ感じのする誰か、
仲間を探していたようにも思える。

一つの小さい部屋に、ぬいぐるみが置いてあった。
白い犬のぬいぐるみで、有名なキャラクターだった。
その部屋にはいくつかぬいぐるみが置かれていた。
まとめて置いておらず、部屋に散らばるように置いてある。不自然に思った。

その一つが部屋の隅で震えていた。本物の犬だ。
そして、僕らと同じ、何かを感じた。
賢い犬だ。自分が見つからないように、ぬいぐるみを置いて隠れていたのだ。


その犬も連れて行くことにした。
そのとき、その部屋に白髪の大男と、青髪の女性が入ってきた。
その二人も、同じ感じ、だった。
お互いが殺気を放ったが、その感じをすぐに読み取ってすぐに打ち解けた。

とりあえず、僕らのみに何が起きているかを理解するものはいなかった。
お互いが、何故、ひかれうのか。

その日は安全だ、と判断できる場所で寝ることにした。
何からが安全なのか、わからないが。
その地下室の様子をみれば、何かがあることは
誰にでも感じ取れるものがあるのかもしれない。

青髪の女性とアリス、白い犬でもっとも安全な場所に。
何かがあっても、青髪の女性の腕があれば大丈夫だとの判断だった。
知らないだれかと、白髪の大男と僕で次に安全な場所に寝ることにした。
白髪の大男の目は綺麗なグリーンで、髪をなでるとリアルな感覚があった。
知らない誰かは、大男と大して変わらない体格で、年齢層も同じくらいだろうか。
どちらも、若いとはいえない。力自慢のおじ様だ。

次の日は、ホテル内の図書館へ行くことにした。
僕らは無知すぎるのだ。この世界について。
建物の中にある図書館なのにそこはとてつもなく大きかった。
大きな本棚が無数に並び、まるで大きな迷路だ。
時間がない、と判断した僕らは各々必要だと思った資料をかき集めることにした。
だが、思ったようにそれはうまく集まらなかった。敷地が広大すぎるのだ。

入り口と反対側の壁。向かって右側の角。
階段を上がる、オレンジ色の髪の男性がいた。
2階か、と思い、見上げる。天井が見える。必要以上に高い。
イメージとしては、学校の体育館だ。壁の淵を細い道が一周している感じ。
僕もそれに続いて上る。

「え?」

階段を上りきった僕は慌てて足を止める。
思わずシャーペンを落とした。
上った先、道がないのだ。

壁から出ているのは2~3センチほどしかない板のようなもの。
これでは足をかけて進むこともできない。
何故?彼はどうやってこの先を歩いたのか。

オレンジ色の髪の若者は、壁の中央にある柱の出っ張りに姿を隠す。
僕は慌てて一階に降りて、彼の姿を確認しようとした。
彼が姿を消した壁の中央辺りには、柱によるでっぱりが2つ。
その間に重々しい扉が少し間を空けて並んでいた。
2階にも同じように、2つの扉。
そして、その扉の間にはそれぞれガラス窓。
この建物で初めて見たガラス窓だった。

2階で姿を消した彼は、1階の扉から姿を現した。
僕と目が合って、同じ感じがした。
あちらもそうだったのだろう、僕にむかって「見てみ」と窓を指差す。
曇って向こうの風景が見えにくいが、窓の外は荒野のようだった。
まず、石でできたゲートがすぐ目の前に見える。
そのゲートの奥、見えるのは。。。。

あれはまるで…

僕の声が呟いた。

太陽じゃないか。

オレンジ色の光が、マグマのような炎が、渦巻いている。
ゲートに向かって歩く影がいくつも見えた。
瞬時に人ではないことが分かった。
この扉の先を、人間が生きることは不可能に近い。

向かってくる人影はまるで朽ちそうになった骸骨だった。
ぼろ布をまとっているが、それも土色をした骨との見分けがつかないくらい汚い。
歩くたびに風化した骨が砂になり落ちていく。

扉が開く。
すごい風が図書館の中を駆け巡った。
扉はすぐに閉まったが、生きた死人が3体ほど進入していた。
いつの間にか僕は剣を持っていた。まるでRPGだ。
無我夢中でそれを切る。そして、それは砂になり、床に散った。

そのとき、また風が吹いた。扉は開いていない。
散った砂が集まり、大きなアンデットになる。
血の気が引いたのが、わかった。
そして、自分の身体がかってにそれに向かっていくのが、わかった。

一太刀。

それでまた、アンデットを砂に返した。
自分が何をしたのかわからない。でも、自分がそれを倒したのは、わかった。


オレンジ色の髪の青年が仲間になった。
床の謎解きも教えてくれた。ただの、謎解きのようなものだった。
どうやって外に出て戻ってきたのかは、よく分からなかったけど。
2階にあがって、この建物の意味がようやくわかってきた。
本棚は、魔方陣を形成するように並んでいた。

ここの建物は、「教会」と呼ばれる神聖な場所らしい。
ここは、安全。という意味だ。

図書館を出ると、教会の「玄関」があった。
コレを出ると街にでる。
覗くための穴から街を見ると、人がいない。
少し、荒れているようにも見える。

改めて教会内を見渡す。本当に広く、白い建物だ。
その視界にひどく白が目立つ人が立っていた。
フードをかぶっていて、顔は見えない。多分、偉い人。
周りに護衛のような人がいたから。

僕はそいつに嫌な気を感じた。

何を話したか分からない。
この部分は、夢と現実の間を漂っていたから。夢なのかどうかも。

街の外は人気がない。
大きな通りは霧のようなモヤで先が見えない。
通りをはさむ建物は、何階建てなのかも分からない。
全体的に白っぽい風景で、外国のようだ。


しかし、人が1人、交差点の真ん中でしゃがみこんでいるのはわかった。
そして、また。同じ気がした。
近寄ってみると、道路の真ん中に白い何かで
魔方陣のようなものを描いている。

白い髪に、白い肌に、細いからだの青年。
そして、全身白い服。

焦っているようだ。
霧の奥に、何か大きな気配がある。
たぶん、さっきみたいな怪物なのだろう。

僕らはそいつをくい止める。
この辺りもあやふや。
その間に、魔方陣が完成し、怪物は消えてなくなった。

彼の話によると、街の中の魔方陣が崩壊し、怪物たちが徘徊するように。
街の人々は全て、教会に避難。そして、そこで暮らしている。というらしい。

なぜ知らないのか、と問われ僕は「僕の魂は、ここの住民じゃないからだ」と答えた。


この先はない。
ここで終わってしまった。
久々にいい夢?を見たような気がした。