久々に見た夢物語は、少しミステリアスでした。


大きな正方形の石の段の4辺を鳥居が囲んでいて、
その鳥居が結界のような役目をしていたようだった。

まわりを大きな白いクジラのようなものが泳いでいた。
でも、ここは海の中ではなく、その光景はいかにも異様なものでしかなかった。

ヒトが、逃げるように走り回って鳥居の中の石段を目指していた。
優雅に泳ぐように、ゆっくりと、クジラのようなものがそれを追いかけている。


僕はただ鳥居のそばに立ってそれを見ていた。
僕がそいつらに襲われることはなかった。

石段はいくつかあるようで、少し向こうにも同じようなものが見えた。
僕のそばにある石段は結界の力が無いようで、なんの力も感じなかった。
だから、みんなは遠くの石段に向かって走っていく。

僕は鳥居を見上げて、何か小さく呟いた。
自分自身、なんて言ったのかわからなかった。
鳥居がうっすらと光って、本来の力を取り戻していったのがわかった。


近くの白い建物に入ってみた。
ヒトの姿は少ない。いたとして、必死に走って僕の横を通り過ぎていくだけ。
どうやら学校のような建物だ。小学校とか、高校とか、そんな感じ。
日が落ちそうなのか、窓からの光はオレンジ色になっていた。
まさしく放課後のあの感覚。

閉まっている教室のドアのガラス窓を覗いて、教室の中を見た。
なにか、青いものが見えた。
それはおそらくヒトで、イスに座って机の上に両肘をついてうなだれている。
何かに祈っているようにも見えた。

みんなが走り回っている中、独り、座っている。
妙な感じだったで、どうしても気になってドアを開ける。
しかし、ドアの音にも反応しない。

目の前まで進んでも、顔を上げない。
その斜め後ろに、ヒトの死体が2つ並んでいた。
上着をかぶせてあり、顔は見えない。

手を恐る恐る伸ばす。黒い髪と、顔の前で組まれた両手が邪魔で顔は見えない。
反応がないその人の頬を両手でさわり、ゆっくりこちらにむけてみた。
両手にかさつくような感覚があった。
白い肌に、黒い髪に。顔立ちは綺麗だけど男性だった。
目はカラコンを入れているような金。猫のような目。綺麗な目。
そして赤黒い口。

実際赤黒いのは口の周りだった。

食べたのか。食いちぎったのか。
その後ろにあるものを。


綺麗な青色の上着。
死体にかけられている物も一緒のものだ。
友達か、仲間か、とにかく他人ではなさそうだった。

様子からするに、好き好んでやったことではなさそうだった。


それからどうしたのかわからない。

気がつけば上の階にいた。
独りだった。

倉庫のようなドアがいくつもならんで、
資料室だったり準備室だったりするのであろうと思わせた。
ひとつのドアに入ると、男が銃を持って隠れていた。

ジャックという男。

この状況の中、クラブという男と殺し合いを楽しんでいると言った。

そうそうにその部屋をでる。
ドアをあけてすぐ目の前に、青い服の男が立っていた。
さっきの男だった。

何も言わず、僕の顔を見ている。襲ってくる気配はない。

妙な時間が流れた。

怖くは無かった。


口についていた赤黒く乾燥した血は、どこか鮮明に目に焼きついて、
キラキラと光る猫のような目は、僕の顔を映してはなさなかった。