小学校一年生の二学期に、木造校舎から鉄筋コンクリートの校舎に立て替えが始まった。1年1組は図書室を仮教室だった。
本を借りて、お母さんに読んでもらいなさい。そう言われた。今から思えば椋鳩十の母と子の20分間読書運動の走りの頃で、毎日夕飯を食べ終わったころ読んでもらった。
中川正文の「ごろはちだいみょうじん」は腹を抱えて笑った。おもろうて、やがて悲しい松竹新喜劇みたいな話だった。
「海のおばけオーリー」は黒白の絵で怖かった。
教材として買った今江祥智の「ちからたろう」はつい最近まで家にあった。絵は田島征三。
祖母に「ちびくろさんぼ」を買ってもらった。岩波のやつじゃなかったけど、バターは虎で出来るのだと本気で思っていた。