宿替え(引っ越し)間もないある男、家の台所にある水壺が割れてしまった。今までの一荷入りの水壺は不便だったからニ荷入りが欲しいと嫁さんが言う。
早速買いに行こうとすると、「あんたは安い物を高く買って、その上礼まで言って帰って来るあほやから、徳さんに一緒に行ってもらえ、あの人はズル賢い人やから」と嫁さんから言われ、買い物の同行を頼んでいる徳さん本人に言われたとおりに言ってしまう。
徳さんはおうこ(天秤棒)を持って行く。運搬の手間賃をまけさせて、少しでも値引きをする魂胆だ。道すがら値引きのテクニックを伝授する。
瀬戸物町にある一軒の店で、立て板に水でセールストークを連発する商売人に「買い物天狗」の異名を持つ徳さんは、言葉巧みに値引きの交渉をする。そして最後の最後に秘密兵器級の秘策を出す・・・
大阪は井戸の水の質が悪く、水売りが淀川から水を汲んで売りに回ったそうだ。一荷入りはおうこの前と後ろの担桶ご二杯分。二荷入りなら担桶四杯分になる。
「時そば」が詐欺罪にあたるのなら、「壺算」は詐欺罪に当たるのか、どうか? 昔話裁判みたいに落語裁判みたいな落語会があったら、おもしろいよなと思ってみた。