男に騙され、その度毎に苦労している肉子ちゃんが最後に捨てられた男を探してたどり着いたのは北の小さな漁港。焼き肉屋のさっさんの世話で娘のキクリンと二人で小さな船のなかで寝起きし、肉子ちゃんはさっさんの店で働く。キクリンは夜はさっさんの店で晩御飯にさっさんの作ったまかないを食べる。朝は肉子ちゃんが作るフレンチトーストだ。朝食にフレンチトーストを食べるのにはわけがある。
ある日前髪で顔をかくしている同級生の男子二宮がときどき変顔をするのをキクリンは気づく。その変顔するくせを治すためにバスに乗って水族館向こうにあるあけぼのセンターまで模型を作りに行くのを知る。キクリンは二宮にその模型をみせてもらう。
盆踊りの夜、キクリンは肉子ちゃんが屋台でお好み焼きを売っている男と意気投合しているのを見かける。それから夜中にこそこそ電話しているのにも気づく。肉子ちゃんが新しい恋をしたのだ。同時に漁港と学校の友人から離れる予感をキクリンはし始めた・・・
西加奈子の「漁港の肉子ちゃん」を明石家さんまが惚れ込んで、アニメにしたのを聞いた。
西加奈子原作って、「円卓」も「さくら」も、どの映画も個性かきつくて、あまり好きではないが、これはよく出来ていた。友情とか初恋とかに揺れ動く女の子の気持ちがうまく表現されていた。
おそらく二宮が模型を作っているのは箱庭療法の一種なのかもしれない。
キクリンの声をしているCOCOMIも初めての声優にしてはよかったかと思う。肉子ちゃんの妹分のみゆの声は吉岡里帆だったのにあとから気づいた。あと謎の占い師の声がマツコ・デラックスだとか。
途中、女の子の声で吉田拓郎の「イメージの歌」が流れる。「この声で拓郎って?」って言うのがいい。以前に明石家さんまがこの歌について語っていたのを思い出した。
大して期待はしてなかったけど「漁港の肉子ちゃん」、良かったです。