この映画は太宰治の書いた「人間失格」とは関係がない。太宰治が山崎富枝と入水自殺する直前の様子を描いている。監督は蜷川実花。
昭和22年、太宰は太田静子に出会い、「斜陽」の着想を得る。前後して、山崎富枝に出会う。やがて静子と関係を持ち、妊娠して治子という女の子を生む。
同じ頃、妻の美知子も妊娠し女の子を出産する。
酒に溺れ、その上結核を患う太宰に富枝は付き添う。渾身の力をふりしぼり、太宰は「人間失格」を書き上げ、富枝と玉川上水に入水自殺をする。
若いときは本好きは誰でも太宰にはまる。太宰は中学のとき、「走れメロス」を読まされた。あとも読んだが暗いから嫌。比較的好きなのは「津軽」。昔、育ててもらった乳母代わりの女中だった女性に会いにいく話。あれだけが好き、あとはどうでもいい。
蜷川実花、毒々しい赤は相変わらずで、珍しく白が前面に出ていた。雪とか、白い花とか。
太宰の長男がダウン症だったこととか、太宰自身が左利きだったこととか、初めて知った。長男がインクの瓶落とし、親子がインクまみれになるシーンは泣けてきた。
沢尻エリカの太田静子が生んだ女の子治子が、後の作家太田治子、宮沢りえの本妻美智子が生んだ女の子里子が作家の津島佑子である。
坂口安吾が藤原竜也、三島由紀夫が高良健吾なのはご愛嬌かな。



