高校教師の小渕は野球部の監督をしている。
ある日、元野球部で退部して退学した斎藤と再会する。同時に斎藤は余命いくばくもない状態だと知る。
生徒の性格を決めつけている小渕は、斎藤を奮起させるために和田を当て馬にした。そのことを分かって承知で受け入れる和田、才能があるのに努力したり頑張ることをしない斎藤、そのことを小渕の記憶から蘇る。
野球部を退部をしていた斎藤は事件を起こす。野球部優先の小渕は斎藤の退学の申し出を引き留めることなく受け入れる・・・
斎藤のために、和田に会いに行き、最後の思い出に野球部の練習に参加させる小渕。やがて斎藤の死期が迫る・・・
小渕が教師として、家庭人としては立派ではない。部活の強い指導者はだいたいこんなものだろうと思う。教師も人の子、人間だろう。小渕みたいに卒業生には真剣になれない。片隅には斎藤に対しての罪滅ぼしがあるのだろうか。
教師って、卒業生でも、勉強のできる子、運動のできる子、問題のある子しか覚えてないんだよな。これが。
｢君、全く覚えてないんだよな。｣
と昔の担任に言われて、愕然としたことがある。