大人になって気になる漫画家がいる。水木しげるである。子どものとき、あのおのおどろおどろしい「悪魔くん」や「ゲゲゲの鬼太郎」が好きではなかった。
ほんの4つか、5つかの頃に読んだ「妖怪ぶるぶる」をひもじくて食べてしまい、妖怪になってしまったねずみ男のはなしがかわいそうになったり、牙を剥いてねずみ男をおどすねこ娘(今みたいにかわいくない)がこわくてしかたなかった。
でも、大人になって読み直すとなんて、シュールで風刺の効いた漫画なんだろうと思う。そして水木しげるご本人がなんて波乱万丈な人生を歩み、博学だったことに感じずにおられない。
水木しげるの「なまけものなりなさい」はなんて奥が深い言葉なんだろう。
もう鳥取県の境港にある「水木しげる記念館」に何度足を運んだことか。
今回、会期が終わりに近かったので、逃しては後悔をするのではないかと思い、水木しげるの「魂の漫画展」を見に行ってきた。場所は京都の龍谷ミュージアム。

水木しげる記念館には展示していないような作品、子どものときに描いたグリム童話や紙芝居作家時代に描いた作品、貸本漫画家時代の少女漫画タッチもあった。見る価値は十分ではなく、十二分あった。残念ながら11月25日まて閉幕する。