俳句をたしなむ人は俳句帳として、ノートとかに書き記す。ずうっと作り放しで書き記すことをしなかったが、思い浮かんだら代わりにツィッターでつぶやくように数年前からした。しばらくぶりに書き溜めていたのを見て、こちらに書き記した。書き記すにあたって弱冠推敲、添削をしている。自由律もあり、定形律もあり、季節もバラバラ。
薔薇一本分のサヨナラを言った
懐かしの学舎覗く初恋忌
幼子の短冊からの濡れ滴
受け皿からこぼれ酒口から迎へる
オリオンの真下をくぐる夜明け前
のろのろと夜明けしぶらすつめたさ
柚子の香や冬らしくなりつみれ汁
遠雷や師走の鐘と思ひしか
千両の赤い実こぼれし年の暮れ
どんど焼き集めし古札少し減り
どんど焼き去年(こぞ)より少し古札減り
赤子に似た力むほどの蝉の声
蝉時雨やんでしばしの涼風
人の気持ちに朱を入れる愚かさ
客早く引けたる夜店主と二人話し込む
空襲を連想させる工場のサイレン
決めかねて迷ひに迷ったトランクス
こほろぎ鳴ひて今夏は何をした
夕立降って日暮し啼ひても歩いてゐる
今日はむずかる子ばかりゐた
親が死んでも夜に爪切る
ほうほうと啼く鳥が隠れてゐる
脇汗見えるこの女も人間
繁華街迷ひ彷徨ふ蜻蛉かな
秋桜咲くたびに思ひ出す人がゐて
伊勢神楽の音色で目覚めし朝
上弦の月に見守られて帰る
野分け来る遅きに咲きし白い花
野分けすぎみんな静かに眠りつき
カルビを焼ひても独り
桜咲くひとの事情も考へず
つまらない呟きにいいねをくれる友がゐて
毎日が誰かの誕生日祝ってくれる誰かゐて
春の宵頭上高く笑ふ三日月
生まれ変わっても逢ひたい人がゐる
咲けと言われなくともつつじ咲く
雨風やんだら犬の遠吠え
なまぬるい水を供花に注ぐ