かなり昔のことのはずなのに、またY.Tを思い出した。
当時、ゴディバだなんだと高級ブランドのチョコはなく、あったのはロッテや明治の板チョコ。高級チョコになって森永のハイクラウン。
バレンタインデーの定番は不二家のハートチョコだった。
「Maくんにも」と不二家のハートチョコをY.Tからもらった。今でいう義理チョコだったかとは思う。でも、ずうっと想っていたのでとてもうれしかった。
「H高合格頑張ってください。わたしもI高合格するよう頑張ります。」
なんだか、遠い遠い昔のこと。自分が玉手箱を開けた浦島太郎のおじいさんになったかのような気分になる。いつの間にか歳をとり、歳月を重ねてきた。楽しいことばかりじゃなかった。かと言ってつらいことばかりでもなかった歳月。
そのなかで、時折彼女のことをフラッシュバックして思い出す。彼女の近況を知らない。ずうっと亡くなったと聞かされていたから。
知らなくてもいいと最近は考える。過去の思い出さえあればいい。でもいいおかあさんになってるんだろうと勝手に想像する。なっていて欲しい。そして彼女が幸せだったらなら、彼女が望む人生を歩んでいたならそれでいい。