伊集院静の本は、昔からなにかしら読んでいる。
週刊文春に伊集院静の人生相談「言わぬが花」が連載されていて、悩みや相談を一番訊いてはいけない人に訊いているような気がする。
その前には「二日酔主義」というコラムがあり、実にダメップリの毎日が書かれていた。その頃のエッセイが一番おもしろかった。最近は人生相談もエッセイもいささか説教くさいのが鼻につくのだが。
本書は、週刊現代連載の「それがどうした」を編集した「大人の流儀」の5巻目。
「追いかけるな」
過去に縛られるな。悲しさにとじ込もっていると次のチャンスに巡り会えない。それはそうだと思う。
人、それぞれに流儀がある。それを自分は「スタイル」と呼んでいる。生きるスタンス、ライフスタイルだ。若い頃なら、そうだそうだと鵜呑みしていたが今はそうとは違うだろうと思うときもある。
「みっともないことをするな」
人前で食べ物のはなしをするな。誰彼なしに飯をおごれならわかる。でも、あそこのオムライスがうまいというのはみっともないはなしなんだろうか。
生前の池波正太郎や立原正秋や壇一男にみっともないはなしをするなってあなた、言えますか。権威主義ではないけど。
「大人の~」と「男の~」と名のつくものは実は子どもっぽい。それはまるで大人に憧れる子どものようだ。
女性ものにはそもそも、「大人の~」とか「女性の~」ってものがない。あったとしたら、それは男性が考えついたネーミングや考えだしたもの。そもそも、女性は幼いときから女性でありえるから。
「追いかけるな」
割りきりのいい多くの女性なら、「わかってるわ。そんなこと」と言うに違いない。