Tが店を精算して、諫早に帰ることになった。お母さんの介護だ。諫早との往復に正直まいったらしい。ずうっとお母さんの世話をしていたN美ちゃんも結婚することになり諫早を離れる。H喜ちゃんもご主人の転勤についていくことになった。H離ちゃんは12月に福岡で結婚する。5人姉妹の独身の長女と次女上二人が介護することになった。
「自分が背負いこんだとか、背負いこまなとか思ったらあかんで。」
「アニヤンみたいに、そんなんこと思わへんわ。」
九州訛りの関西弁で話す。
S音ちゃんも定期的に諫早に帰り、サポートする。いつこの二人が関西に来ているのか、正直今はわからない…事実、春先から音信不通だった。
「なあ、武庫之荘のマンション買わへん?」
彼女が唯一、残念と思っているのはあのマンションのこと。春は川沿いの桜を楽しみにしていた。
「区分所有で人に貸す手もあるけど…家賃入るし…」
「アニヤンが買ってくれたら好きなときに帰れるからと思って。」
「俺も老後のこと考えたらな、要らん買いもんしたないねん。」
「そっかあ、もう○○才やしねえ…」
「そう言う、君もアラ××やん。」
店は今月一杯で閉店。居抜きで同業者に譲るらしい。マンションの処分はしばらくかかりそうかな…
I内のY池のことや湘南の話は彼女にはしなかった。今、話したら贅沢と思われるだけだ。