- なぎさホテル/伊集院 静

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図書館で借りていたが、何度も予約を流したり、借りては、また返したりしてやっと一昨日読み終わった。
「ホテル~」みたいなタイトルに結構惹かれる。イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」もそうだし、「ホテル・ニュー・ハンプシャー」もそう。
伊集院静が初めの結婚の離婚直後から、作家になり、夏目雅子(本作品ではM子とイニシャルで表現)と結婚直後まで暮らした逗子のなぎさホテルでの暮らしを綴ったエッセイとも小説ともつかない作品集。
すごく気のいい支配人、恐持てのやり手の女性副支配人、漁師上がりのなんでも屋の技師などホテルの従業員たちとの交流・・・
それにしても、見ず知らずの宿代の金もない男に入れあげるのは何故なのか、不思議と言えば不思議なのだが・・・
許されるのなら、こんなホテル暮らしもわるくないなと思った。以前、身分不相応に東京で、定宿にしていたホテルがあった。定宿と言っても、回数で言えば一桁から二桁いくかいかないかなのだが、そのホテルを晩年の映画評論家の淀川長治が暮らしていたことを知った。
SMAPの草剪くんがビンテージのジーンズ履いてお付きの人とエレベーターに乗っていたのも、このホテルだし、大沢在昌がホテルのバーで飲んでいたのも見たのも、このホテルだった。
以前にも書いたが、『幻の女』や『黒衣の花嫁』を著したコーネル・ウーリッチ(ウィリアム・アイリッシュ)もホテル暮らしで、多くの作品の冒頭の献辞は、定宿の部屋番号に捧げられている・・・
