Hという幼なじみがいる。幼稚園で一緒、小学校は5、6年、中学は2年のとき、クラスが一緒だった。
なにかにつけて、頭の切れる男だった。当時、教授というあだ名があった。成績もよくリーダーシップもあった。
心のどこか、彼に憧れているところがあった。一歩先を行くところがあった。彼が読むものを追いかけた。
エドモント・ハミルトンの『キャプテン・フューチャー』から始まり、筒井康隆、平井和正など、彼に影響を受けて読んだ。彼はSFが好きでよく読んでいた。
こっちは、ミステリーが好きだった。でも、彼が自分の好きだったミステリーにハマったかは知らない。
中高はハヤカワのSFの青い背表紙の主だったやつは読んだが、次第にSFから離れて行った。
先月号から、今月号のSFマガジンは、「SFスタンダード」と題して、過去の名作を紹介している。
ページをめくると、ああHが読んでいたなと思い出す。それでHのことを思い出した。
Hは、違う高校に進学し、二浪して大学に入学した。彼に書道展の手伝いをお願いしたことがある。大して興味がなかったらしく、その年だけ手伝ってくれた。
その後、彼と、今タイと往復しているYと、国語の教師をしているTと一度飲んだきりである。その後、追い追い就職や結婚の彼の噂は聞くには聞くが彼とは会ってはいない。
別れ道で別れたきりだが、彼は今でも自分の一歩先を歩いているのだろうか?
それとも・・・
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