有川浩の『阪急電車』が流行っている。その舞台になっている阪急今津線は西宮北口から宝塚までのとても短い路線だ。
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おなじように大阪の貝塚市には、貝塚から水間までの短い路線の水間鉄道がある。
その水間にある水間観音の観音様に、母親が願掛けをしていたこともあり、生前はよくお参りをした。
その頃のことだ。水間観音には愛染堂があり、そこに絵馬がかけられていた。同じ人の書いたと思われる絵馬が掛かっていた。 一枚や二枚ではない。何十枚と掛かっていたのだ。失礼だと思いながら、一枚、一枚読ませていただいた。
好きになった人に、恋人がいて、それを思い悩む様子が綴られていた。
あの人が笑った。あの人を見かけた。そんな些細な様子を書いてあったと思う。そんな絵馬の最後には、「あの人と一緒になれますように」と記されていた。
この恋を応援したくなるような、とても切なくて、哀しくて、なんか涙がでそうになりそうな・・・
大晦日の日付に「これが最後のお願いです・・・」と書いてあった。
それから、数ヶ月後の日付で、「新しい恋がみつかりますように」と書かれた絵馬が最後だった。
新しい恋は見つかったのだろうか?あれから何年も経っているが、この絵馬を書いた人は幸せになっているだろうか?
ふと、思い出した『水間鉄道』・・・切ない恋の物語。