仕事が終わっての帰り、外はもう日が沈んで真っ暗だ。
東の空に月が出ている。今宵の月はやけに大きくて、赤い・・・まるで・・・
「赤く錆びた月の夜に・・・」
元ちとせが歌う『ワダツミの木』が流行ったのはいつのことだったろうか。
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その最初のフレーズを聴いたときに、忘れていた記憶、忘れようとした記憶を鮮明に思い出したことを覚えている。
そして、今宵、再び、赤く錆びた月・・・
あの歌と同じ情景。
波よ
もし聞こえるなら
今少し声をひそめて・・・
静寂の中に波の音だけが聞こえた・・・
声が波に掻き消された・・・
なんだったんだろう。もう何年も昔の記憶。