しかし、いつの間にか連載が打ち切りになり、代わりに連載が始まったのが池波正太郎の随筆だった。
その頃の自分には大人の世界でちんぷんかんぷんで、訳がわからなかった。
池波正太郎に、はまったのは勤めてから。「男の作法」を薦められて読んでから。刺身の食べ方、寿司屋での振る舞い。すべて教えてくれた。小説や随筆がチャンドラーやパーカーの小説みたいに一つの指針だった。
そうこうしているうちに、中村吉右衛門の「鬼平犯科」のテレビ放映が始まった。
今、朝日新聞社から「週刊池波正太郎の世界」が創刊された。
挿絵はおなじみの中一弥。実はハードボイルド作家の逢坂剛の父である。