昨日、スイス中銀が無期限の市場介入を撤退したことでユーロスイス(EURCHF)は、上限の1.20フランを割り込み、スイスフランは一時0.80520フランまで急落した。
スイス株式市場では10%以上急落、時価総額およそ1000億ドルが吹き飛んだようだ。
スイスは、1515年以来、中立政策を掲げてきた。
1815年にはウィーン会議最終議定書で永世中立が欧州列強より承認。
2002年に国連に加入。
過去10年間の年平均インフレ率が0.8%と低位安定しており、財政収支も黒字を維持しているため、スイスの金利は低い。
2011年末のスイス政策金利は、0-0.25%で長期金利は0.7%だった。
スイスは世界経済フォーラムの国際競争力ランキングで世界1位でもある。
1999年のユーロ発足後2011年末まで、スイスフランは対ユーロ相場で32.3%、名目実行為替相場は33.4%まで上昇した。
そのため、欧州ソブリン危機が本格化した2011年には、スイス周辺国のファンダメンタルズが大きく悪化し、ソブリンリスクや国際収支リスクが少ない安定したスイスに資金が流入したことで対ユーロ相場は急騰した。
これにより2011年9月、スイス国立銀行は無制限の為替介入を実施。対ユーロ相場で1.20フランという上限目標を設定し、その目標を達成するために外貨を無制限に購入することとした。
今回の市場介入解除はスイス経済の強力なファンダメンタルズと為替上昇を防ぐスイス国立銀行の激しい戦いに終止符を打つことになるのか。
やはり介入で為替相場をコントロールすることは中長期的には不可能である。
昨日、スイス中銀は、スイスフランの対ユーロの上限としていた、1ユーロ=1.20フランを廃止すると発表。あわせて、中銀預金金利をマイナス0.25%からマイナス0.75%に引き下げた。
今回の発表は、量的緩和策が発表されるとの観測が高まっている欧州中央銀行理事会の開催を1週間後に控えたタイミングであり、ジョルダン総裁は会見で、決定は「パニック的な反応」ではなかったとし、持続不可能だったため上限を撤廃したと説明している。
また、ジョルダン総裁は「市場は予想外の措置には過剰反応する傾向があり、スイスフランはいずれより持続可能な水準に落ち着く」との見方を示している。