ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領は、6月14日G7サミットで、格差との闘いを進めるために、超富裕層への課税を、世界レベルで進めるべきだと提案した。ブラジル大統領は、サミットにオブザーバーの資格で出席したが、少数者への富の過度な集中は、「民主主義にたいするリスクとなる」と強調した。

 

「いまこそ超富裕層は、かれらに適切な税金を、支払うべきときだ。このような権力と収入の過度な集中は、民主主義にたいするリスクになっている」、ブラジル大統領府が発表したコミュニケによると、ルラはこのように述べた。

 

飢餓と貧困の撲滅

 

億万長者に世界レベルで税金を課するという提案は、ブラジルが今年議長国を務める、G20の枠組でおこなわれた。ルラの説明ではこの提案は、発展途上国諸国で現実の問題として存在する、飢餓と貧困を撲滅するために、「効果的な政策を拡大するために」資金を動員することを目的にしている。

 

この意味で、今年11月にリオデジャネイロで開催されるG20サミットで、ブラジルが創設する「飢餓と貧困と闘うための世界連盟」にたいし、G7サミットに参加するすべての国が、支援をおこなうように要請した。この世界連盟は、「いまだ人類を苦しめている、この惨劇を終わらせるための鍵になる」、とブラジル大統領は強調した。

 

ブラジルは今年初めのG20閣僚会議で、巨額の財産にたいする課税を提案し、このときにはフランスなど、欧州のいくつかの国から支持を受けていた。

 

富の集中

 

6月13日ブラジル大統領は、スイス、ジュネーブでおこなわれた国際労働機関(ILO)の会議に出席、この提案を繰り返した。「約3000人に15兆ドルの富が集中している。これは日本、ドイツ、インド、英国のGDPを合算したよりも多く、多くの国が発展するために必要としている額よりも多い」、大統領は会議のなかで発言した。

 

さらに「超富裕層」あるいは巨大資産家は、「不条理なまでの資産の集中をおこない、ついには自分の宇宙プログラムを持つまでになっている」と、スペースXという宇宙機関の所有者となったイーロン・マスクや、やはり宇宙に進出するブルー・オリジン社のジェフ・ベゾスについて触れた。

 

拍手喝采のなか、元金属労働者は冗談をも語った。「おそらく地球よりも素晴らしい惑星が発見されることを。しかしここにいる労働者たちが、かれらが富を持つことを可能にしたのだが。われわれは魔法の出口など必要としていない。なぜならわれわれが関心を寄せるのは地球であって、火星ではないのだから」。

 

ブラジルで

 

昨年12月、ルラは初めていわゆる超富裕層の個人フォンド、オフショア企業にたいして、課税をおこなう法案を成立させた。この新税によって、翌月今年の1月、2806億3600万レアル(568億ドル)、ブラジルにとって歴史的な記録の徴税をおこなった。これは前年同月に比べて、7%の増加である。新税によって徴収された全体は、およそ8億3000万ドルになる。

(通算4059)(Pagina12の"Lula propuso un impuesto a los superricos"による)

 

(foto:NA)