チリの8州が、北はコキンボ州から南はロス・リオス州まで、1400キロに及ぶ帯状の国土が、「災害地域」に指定された。激しい雨と時速80キロの暴風によって、数千人の人々が被災し、1人が死亡し、街・道路・農園が水浸しとなった、これはこの20年間で、最悪の事態と言われる。

 

寒気は摂氏10度、あるいはそれ以下で、それはもう一つのこの暴風雨の特徴で、海のうねりは、5メートルから15メートルの高潮が海岸線を襲った。

 

これまでのところ6,400人が被災し、約600人が農村部で孤立し、2,400棟が全壊あるいは半壊だが、この数字は今後増えるものと思われる。また70,000戸以上が、引き続き停電の状態にある。

 

気象庁の情報によると、2日あまりのあいだに、平均で100ミリの雨が降り、この数字は特定の地域では、より大きなものになる。たとえばビオビオ州では、6月11日からの水量は300ミリ以上になり、集中豪雨はいくつもの都市で、たとえばクラニラウエ、アラウコ、サンタ・フアナなどで洪水を引き起こし、いくつもの川が氾濫し、数百戸が水と泥で水浸しになり、住むことができなくなった。

 

6月14日の正午の段階で、いまだ20から30ミリの雨が降り続いており、また来週には別の雨の前線がくることが予想され、国の中・南部がふたたび被害を受ける可能性がある。

 

この嵐は、南半球の冬、6月21日がまだ到来していないときに起き、これは太平洋の表面の気温が、赤道から中南米の海岸にかけて、通常よりも高くなる気象現象、「エル・ニニョ」の表われと見られ、大気の低気圧のシステムのために、繰り返しの雨が引き起こされる。

 

村や山間部では、大規模な洪水、土砂崩れの危険性が高くなり、警報の発令と、即時の避難が命じられた。これは0度の等温線、つまり「大気の気温が摂氏0度になるだろう地域のライン、これより液体が固体に変わる、これより低ければ雪、高ければ雨」が比較的高かったことによる。

 

現在の前線の勢力配置は、気象のカテゴリーで5、気象庁から「例外的に危険」とされるものだが、すでに先週、熱帯性サイクロンによって、「低気圧の配置が、熱帯の外の緯度で発達し」、チリを雨と風で襲い、いくつもの地方で災害を引き起こし、ビニャ・デル・マルで市では地表に陥没ができ、アパートから人々が避難することになった。

 

幸いなことにこれらの気象現象にたいして、充分に事前の気象当局からの適切な警報が出されており、政府と地方自治体による防災措置を取ることができ、たとえば運河の清掃、数十の避難所の設置、授業の休講措置などがおこなわれた。

 

右派野党たちは、この嵐のなかに、ガブリエル・ボリチ大統領を攻撃する機会を見つけた。かれは欧州4カ国、ドイツ、スウェーデン、スイス、フランスを歴訪していたのだが、これらをキャンセルして、チリに戻り、緊急事態に対処するように要求した。大統領は帰国を早める可能性などを認めたが、かれのアジェンダを維持し、被害を受けた現地に派遣されている閣僚、地方当局とつねに連絡を取り合い、現地状況を把握すると述べた。

 

カロリナ・トア内務大臣は、ボリチ不在のあいだ、共和国副大統領の任務にあるのだが、野党の要求にたいして答えた。

 

「大統領は上に立って、この緊急事態に対処する政府の指揮のすべてを取っている。進行するすべての情報を常に報告を受け、指示を与え、さらに旅程のプログラムを何らかの変更をおこなうか、すべての時期に評価をおこなっている」。

 

「その意味で、ここでは大統領が不在であったときは一度もない。かれがいるべきところにいて、大統領はまったく不在であったことはなかった」、トアは強調した。

 

気象庁によると、暴風雨は「予報の通りで、150ミリを超える激しい降雨があった場所もあり、風も非常に激しいものであった」、「前線の活動は、ここ数年でもっとも強力なものの一つであった」、また「非常に広範な地域が被害を受け、北はコキンボ地方から、南はアイセン地方までが被害を受けた。したがってこの前線の活動は、非常に強力なもので、今後の長期間にわたって、念頭に置いておかなければならない」。

 

暴風雨は6月14日の午後まで続く予想である。

(通算4058) (La JornadaのAldo Anfossiの"La mitad de Chile, bajo el agua por las mas intensas lluvias en 20 anos"による)

 

(foto:AFP)