ギャングによる刑務所の襲撃と、囚人数千人の逃亡ののち、ハイチでは非常事態宣言と外出禁止令が出され、3月4日、首都ポルトープランスは麻痺状態となった。米国と国連では、悪化するばかりの危機に、懸念を強めている。

 

学校も銀行も閉鎖され、わずかに水や食料、燃料などの必需品を買う人のみが、危険を冒して通りに出た。非常事態は3月3日夜、ポルトープランスのあるウエ県で布告された。そこでは3月6日まで、午後6時から朝5時間までの外出禁止令も発令された。

 

この措置は新たな暴力の波のなか、ギャングがこの国の主要な刑務施設である国立刑務所を襲撃し、少なくとも10数名が死亡し、多数の囚人が逃亡したのちに布告された。

 

「急速な状況の悪化」

 

ポルトープランスの大部分を支配するギャング団は、そのほかに国際空港、警察施設をも襲撃した。米国国家安全保障会議のジョン・カービー報道官は、「ハイチの治安状況が急速に悪化していることを、大きな懸念を持って注視している」と、記者団に語った。

 

これより先、国連のアントニオ・グテレス事務総長は、ハイチについて「非常に憂慮している」と表明し、国連が支持している「緊急な行動を、とりわけ多国籍軍によるミッションへの財政支援」を呼び掛けたと、ステファン・デュジュリック報道官が伝えた。

 

同様に米州機構(OEA)も、この西半球における最貧国への、「必要な行動、措置を引き続き遅らせることは、無責任である」と表明した。

 

コロンビア人は無事

 

強力なギャングのボスであるジミー・シェリジエ、通称「バーベキュー」は、ソーシャルネット上で公開されたビデオのなかで、武装組織は「アリエル・アンリ首相を辞めさせるために」、共同行動をおこなっていると述べた。アンリは2021年にジョブネル・モイーズ大統領が暗殺されたあと、このカリブの国を統治し続けている。ここ数か月は、大統領選挙をおこなえという大きな圧力の的になっている。

 

非常事態は経済大臣の署名によって布告されたのだが、このときアンリ首相はアフリカのケニアに滞在しており、国連が支持する治安回復のためのミッションに、ケニアから警官を派遣することの合意をおこなっていた。

 

モイーズを殺害した17人の元コロンビア人兵士は、刑務所が襲撃されたとき中にいたのだが、犯罪組織から死の宣告を受けていたため、逃亡しないことを決めたと、かれらの弁護士、ソンドラ・マコリンズは語った。「バーベキューのギャングたちが、かれらを殺害しようと、刑務所の門のところで待ち構えていたのです」、コロンビアのブル・ラジオに話した。

 

元兵士たちは、コロンビア外務省の、収監されているものの「生命、身体」保護の要請により、3月3日刑務所から救出された。コロンビア当局と家族は、虐待を告発している。

 

刑務所周辺の遺体

 

モイーズの殺害後、ハイチは深刻な政治的、人道的、治安的危機に見舞われた。ハイチ全体を、ギャングの暴力が支配するようになり、国の治安部隊では手に負えなくなった。

 

3月3日の朝、ハイチの主要な刑務所の周辺では、10あまりの遺体を確認することができた。それらのいくつかは、銃によって殺害されていた。刑務所の門は開かれたままであり、ほとんど誰もいなかった。「そこには囚人の遺体がいくつも確認できた」、人権擁護全国ネット(RNDDH)のピエル・エスペランセ執行委語った語った。

 

3,800人近くの収監者のうち、刑務所に今も留まっているのは少数だと、エスペランセは言う。ハイチ政府によると、3月2日夜、警察官たちは「犯罪組織による国立刑務所とクルワ・ドゥ・ブケ刑務所への襲撃を撃退しようとして」、多くの負傷者を出した。

(通算4036) (Pagina12の"Luego de la fuga de casi todos los presos de la mayor prision del pais, Haiti paralizado y en estado de emergencia"による)

 

(foto:EFE)