極右ハビエル・ミレイ大統領の政権は、日ごとにアルゼンチンの政治的・経済的・社会的危機を深めている。州にたいして財政支出をカットするという攻撃は、連邦裁判所がチュブ州への正当な交付金の支出を命令したにもかかわらず、依然としてその姿勢を改めようとはしていない。このほかにもパイロット労働組合はストライキに突入し、飛行機の発着が麻痺している。またこの国でもっとも重要なアシンダル冶金工場も、生産を30日間ストップしている。

 

一方で中小企業(Pymes)の業績は下降し、社会計画や大学への予算はカットされ続けている。

 

ミレイ政権はチュブ州の問題にたいする裁判所決定の受け入れを拒否し、この問題を最高裁に持ち込むと脅している。またすべての公共事業が停止された結果、ここ数日間の解雇は、とりわけ建設労働者について10万人におよび、さらに大統領は、国家公務員を5万人「放り出した」と、テレビのインタビューで答え自慢した。

 

この政権がスタートしてから、「毎日が100年のようだ」と、労働組合員が言う。すべてが民衆と対立するもので、ミレイは有権者の支持を盾にしているが、それは亡霊の与党、「前進する自由」(LLA)によるものではなく、もしも右派の「共和国の提案」(PRO)と急進党(UCR)の支援がなかったならば、かれは選挙で勝利することはできなかっただろう。

 

「わたしは裁判に訴えるという州の決定は正しかったと思うが、別の方法で解決を探るべきだった。政府はいかなる対話の橋をも爆破したかったようだ」、チュブ州のイグナシオ・トレス知事は語った。この州には60万人弱ほどの住民しかいない。しかしアルゼンチンで2番目の石油輸出量を誇る。

 

トレスは今日もまた語った。政府は地方交付金のカットについて、「すべての対話の橋を破壊してしまった」。裁判所を、「審判官」としての役割を果たしたとして、「裁判所に訴えるという州の決定は正しかったが、ほかの方法で解決するべきであった」と、CNNラジオのインタビューに答えた。

 

また2月26日、パタゴニアの5人の州知事が、連邦上院において、対面とインターネットでの会議で分析をおこない、かれらは現在、この資源が豊かな地方の共同議会を形成しているのだが、これは州知事にたいする懲罰行為であると見做した。

 

大統領とかれのもっとも近しい閣僚と行動している、パトリシア・ブルリチ治安相は、チュブの問題について皮肉めいて述べた。「あそこには約100万匹のグアナコ(ラクダ科の動物)がいるが、人は誰も住んでいない」と、トレスを批判した。知事は治安相と同じPROの党員だが、かれの州にたいする不当な仕打ちにたいして反発をおこなった。

 

トレスはこれに答えて、「パトリシアの言葉は、小さな州を殺そうとする政府の意図を示している」と、ブルリチがこれを利用して、PROの創設者であるマウリシオ・マクリ元大統領に挑戦していること、PRO党内の分裂を深刻化していることに遺憾を表明した。

 

航空会社の労働組合であるパイロット組合、航空職員組合、階層別職員組合は、賃金引き上げについて合意を勝ち取っていたが、2月26日夜、ルイス・カプト経済大臣-ますます権力を増大している-が驚くべきことに、この合意の受け入れを拒否した。

 

このためにストライキが決定され、ブエノスアイレスからの数十の便が欠航となった。

 

こうしたなかフランシスコ教皇は、ミレイが国家を「解体」しようとしているとして(名指しは避けたが)、国家の役割を強調した。そしてビデオのなかで、権力の行使とは「合法的に選ばれたというだけでは充分ではなく」、合法性を持って行使される必要があると指摘した。

 

「もしも公正で尊厳ある社会の建設から権力が遠ざかるとするならば、どうしてそれを正当化することができるだろうか?他者が苦しんでいる様子を見て、わたしは善き判事でいることがいることができるだろうか?」、ホルヘ・マリオ・ベルゴグリオ[フランシスコ教皇]はブエノスアイレスの新しい本部、バルトロメ・デ・ラス・カサス師社会権利、研究と推進会館第1支部創立のメッセージのなかで述べた。

 

ミレイとバチカンで会談をおこなってからわずか2週間後に語った:「非常に不公正な時代のなかに生きている:ますます強い権力を持っている少数の富裕者と、何百万の否定され打ち捨てられた貧困者とがいるなかで」。

 

カオスのなかにカオスが加わり、公営大学学長たちの、大学運営にたいする予算削減にたいする、緊急呼びかけの声が大きくなってきている。キルメス国立大学のアルフレド・アルフォンソ学長は、ドラスティックな状況についての警告をおこなった。つまり緊縮政策によって、年内に大学が閉鎖される可能性があるという。

 

一方で「5月広場の母たち大学」、コルドバのリオ・テルセロ大学、デルタ大学、エセイサ大学、ピラル大学などの国立、州立大学は昨年設立されたのだが、人材省の決定により、地図上から消え去ろうとしている。

 

こうした状況でUCRとペロニスタの「祖国のための連合」の指導者たちは、「公共教育を守るために、できることは何でもする」と表明している。

 

この数時間のあいだに、ミレイは州にたいする政策を止めることはないと明らかにし、ガス、電気、そのほかの価格上昇がこれからも続く予定であり、今後の推移を暗くしている。2月29日、ガソリン価格がふたたび上昇することになり、日ごとにますます貧困が進み、多くの家族が月末まで食べることができなくなっている。社会の状態は絶望的になり、野党、あるいは反政府勢力にたいして、「祖国消滅」の可能性に、大統領にたいする弾劾裁判をおこなうように要求している。

(通算4031) (La JornadaのStella Calloniの"Mantiene Milei pulso con gobernadores mientras crisis golpea en Argentina"による)

 

(24時間ストで発着便がなくなったブエノスアイレス国際空港。foto:Pagina12)