2023年1月のブラジルにおける騒乱事件にたいする捜査は、2月8日、極右過激派の中枢部分、そしてジャイル・ボルソナロ前大統領本人におよび、かれにたいしては出国禁止、パスポートの返還が命令された。

 

これらの決定は、最高裁の命令により、警察の大規模作戦としておこなわれた。作戦は9つの州と連邦首都[ブラジリア]で、33の捜索令状と4人にたいする公判前拘束令状、容疑者たちにたいする48の予防措置が取られた。

 

ボルソナロ

 

一方で前大統領は、自身のことを容赦ない迫害の犠牲者だと見做している。「わたしが政府を去ってから1年以上が経つが、執拗な迫害に苦しめられ続けている。もうわたしのことは忘れてくれ。別の人間が統治しているのだ」、極右主義者は『フォリャ・ジ・サンパウロ』紙のモニカ・ベルガモ記者に語った。

 

かれの弁護士、ファビオ・ワジンガルテンは、ソーシャルネット上で、極右指導者は司法機関の命令を「実行して」、「その権限のある当局に、パスポートを引き渡すだろう」とのみ書き込んだ。

 

メガ作戦では3人のボルソナロ主義者が逮捕された。このほか家宅捜索は24件で、このなかには3人の元閣僚と、元下院議員のヴァルデマル・コスタ・ネト、かれはボルソナロが指導する自由党(PL)の全国委員長である。そして2人の軍のメンバーである。

 

逮捕されたものの一人はフィリペ・マルティンスで、ボルソナロ政権(2019-2022)のもとで大統領国際関係顧問であり、ドナルド・トランプ前大統領を頭とする、米国極右との強い関係がよく知られている。

 

この捜査を担当するアレクサンドル・ジ・モラエス判事によると、この作戦は「特に」2023年1月8日に発生した「クーデター未遂と法の支配の暴力的破壊」での行動と関連している。

 

この日、ルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領の就任から8日後、数千人の過激派が、国家の3権の本部に攻撃をかけて、軍に進歩的政府を打倒するように要求した。

 

陰謀

 

しかしながら捜査はその日以前の行動をも対象にしており、ボルソナロが政権に留まるために、進歩主義の指導者が勝利した選挙を無効にする政令を発表することが、話し合われたという容疑も含まれている。

 

裁判官事務所によると、この想定された政令の草案では、最高裁判事2人と上院議長の逮捕も計画されており、その検討はボルソナロ当人が、まだ大統領の職にあったときに、直接的に関わっていたことが考えられる。

 

これらのすべては、「不正選挙」の可能性について、フェイクニュースが大量に流布されるなかで起きたことで、その最終目的は「軍の介入を正当化する」ことであり、クーデターを実行することであった。

 

デ・モラエス判事は、「犯罪の組織化」とされるもののなかに、いくつかの「行動の核」が存在しており、そのなかの一つは軍内部の制度的系統の破壊を目指すものであったとしている。

 

このなかの責任者には、元大統領府安全相のアウグスト・エレノ将軍、2人の元国防大臣:パウロ・セルジオ・ノグエイラ将軍とワルテル・ブラガ・ネット将軍である。後者はボルソナロと組んだ副大統領候補であった。

 

これらすべての結びつきは、容疑によると、2022年10月の選挙以前に、すでにすべての世論調査がルラの勝利を予想していたため、具体的始められていた。

 

ブラガ・ネット、ボルソナロの首相であり国防大臣であったかれこそが、捜査命令の目標である。予備役大将であるかれは、2022年選挙の副大統領候補に選ばれた。警察によると、ブラガ・ネットは敗北後、クーデターに反対する軍人にたいして圧力を加えるよう命令したという。昨年11月には、独立200周年記念式典を、選挙キャンペーンに利用したとして、権力濫用で8年の資格停止処分を受けた。

 

ブラガ・ネットが辞めたあと、ボルソナロの最後の国防相となったノゲイラも捜査対象となった。選挙のあと、この将軍は最高選挙裁判所(TSE)に報告書を送り、電子投票システムにたいし、「リスク」が疑われると指摘した。

 

エレノ退役将軍も、捜査令状が出された容疑者の一人だ。かれはボルソナロの、安全保障問題の主要な顧問であった。アレクサンドル・ジ・モラエス判事は、クーデターの実行において、ボルソナロを助けるうえで、かれが「情報収集の責任者」であったと指摘している。

 

ルラ

 

警察の作戦がおこなわれたとき、ルラはラジオのインタビューを受けていた。最初の反応は「大統領としては、司法の秘密のもとにおこなわれている事柄について、コメントするのは非常に難しい」として、「行き過ぎのないように、法の下におこなわれるように」要望した。しかしこれに止まることなく、ボルソナロは「このクーデターの企ての計画に、参加していたに違いない」。かれの参加がなければ、「これが起きることはなかっただろう」との考えを述べた。

 

それでも捜査の結果を「待つ」必要があると述べ、「具体的な事実はクーデターの試みがあったこと、民主主義の尊重に反した政策があったこと、民主プロセスを破壊する試みがあったことで、これらの人々は捜査されなければならない」と強調した。

 

ボルソナロはすでに選挙裁判所から、8年間選挙への立候補資格が剥奪されており、いくつもの捜査の中心人物となっており、その告発されているなかの一つが、2023年1月8日、この極右の指導者の支持者たち数千人が、3権の本部を破壊した、ルラ政権にたいするクーデター未遂事件を推進したかどうかである。

 

ネガティブ・キャンペーン

 

2月8日、ブラジルの最高選挙裁判所はボルソナロにたいして、2022年の大統領選挙キャンペーンにおいて、現在の国家元首にたいしてネガティブなプロパガンダを流布したとして、罰金刑を科した。

 

極右指導者は、当時大統領候補であったルラにたいして、ブラジル最大の犯罪組織と見られる「首都第1コマンド」と結びつける、フェイクニュースを流布、推進した。選挙当局の決定によると、前大統領は罰金として15,000レアル(3,080ドル)を支払い、即時に公にしたこの内容を削除しなければならない。

 

裁判所が発表した声明によると、7人の判事のうち5人が、ボルソナロは歪曲したニセ情報を拡散することによって、「ルラのイメージを揺さぶり、傷つけようとした」と見做した。

 

残りの2人の判事、カッシオ・ヌネス・マルケスとラウル・アラウジョはこの決定を「不当」と見做した。なぜなら選挙キャンペーンにおいて、対立する候補者間では、つねに言い返しは認められるもので、公にしたものは、その限界を拡大するものではないと考えたからである。

(通算4024) (Pagina12の"Megaoperativo contra Bolsonaro, exministros y militares por intentar un golpe de estado"による)

 

(foto:NA 自由党本部を捜索する警察)