エルサルバドルで最近開設された大規模な刑務所をめぐり、コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領は、若者の「強制収容所」になっているという考えを表明した。一方でエルサルバドルのナイブ・ブケレ大統領は、マラス[中米のチンピラ]への強硬策は、良い結果を生んでいると反論した。これは2022年3月27日に、ブケレが組織犯罪との戦争を宣言した政策の一環で、テコルカ市郊外に建設された、いわゆる「テロリズム隔離センター」(CECOT)への収容で、人々は現在まで裁判所の令状なく逮捕される、非常事態宣言のもとにある。

 

「寒気を催させる」

 

「みなさんはネットでエルサルバドルの収容所を見ることができるだろう。そこは何千、何万の刑務所に入れられた若者たちで一杯で、寒気を催させるものだろう」、ペトロはボゴタの国立大学の行事で、このように語った。大統領は、ブケレが2月1日に開所した刑務所についてふれ、そこは米州最大のもので、40,000人の服役者を収容することができると紹介した。

 

「このような政策を好む人たちもいるだろうと思う:刑務所に入れられた若者を見て、治安が良くなったと思う人も」。ペトロはこのような政策が、統治者の人気を向上させることを認めた。しかし社会生活を良くするためには、ほかの道もあるだろうと主張した。

 

これにたいしブケレは、ペトロの指摘にたいし、ツイッターで短いメッセージを返した。「結果は言葉遊びよりも重要だ」、「コロンビアが実際に殺人件数を減らされることを、エルサルバドル人が成し遂げたように」。

 

数日前にエルサルバドルの大統領が発表したビデオでは、主要にはマラ・サルバトゥルチャ(MS-13)とバリオ18に属するギャングたちが、白い下穿きだけを着て、跣足で、警察の厳しい監視のもと、刑務所に入っていく姿を見ることができる。グスタボ・ビジャトロ治安相によると、非常事態宣言下で逮捕された65,000人近いものたちのうち、その60%以上がCECOTに収監され、「ここから出ることも、社会に戻ることも決してない」という。

 

経験を比較する

 

法務省によると、エルサルバドルの2022年の10万人あたりの殺人件数は、7.8となり、これは2019年にブケレが大統領に就任して以来、もっとも少ない数字になった。「そして減少は急速なものだった。なぜなら死者は回復することはないから」、ブケレはこのようにツイートした。これにたいし2012年から2015年まで首都ボゴタの市長であったペトロは反論した:「ナイブよ、ボゴタにおける10万人あたりの殺人は、1993年には90件であった、それが2022年には10万人あたり13件に減少している。われわれは刑務所ではなく、大学を建設したのだ」、コロンビア大統領は、エルサルバドル大統領にたいし、「国際フォーラムで、経験を比べてみようじゃないか」と招待した。

 

世界銀行によると、コロンビアは世界のなかでもっとも富が偏っている国の一つだが、武装解除するまではゲリラ組織M-19のメンバーであったペトロは、2022年8月、コロンビアにおける格差を解消するための、社会改革を公約にして政権に就いた。また麻薬組織を平和的に解体するために、刑罰や経済で、利益を与える方向で、活動を止めさせる政策を提案している。

 

エルサルバドルでは2022年3月25日から27日にかけて、87人が死亡する事態となり、この殺人事件の爆発にたいして、政府は非常事態を宣言した。この措置は来たる3月17日まで、裁判所の令状なく逮捕が可能になるもので、人々の権利を侵すものであると、多くの人道団体から疑問が出されている。

 

CIGギャラップ社が2月におこなった世論調査では、エルサルバドル人の90%の人々が、ブケレの政策を「良い」、あるいは「非常に良い」と評価している。エルサルバドルのアレクサンドラ・ヒル外相は、3月2日、国連人権評議会で演説し、現在犯罪組織にたいして国内でおこなっているキャンペーンを擁護、彼女によるとエルサルバドルは、「ラテンアメリカでもっとも安全な国になった」。「しばしばわが国の非常な努力にたいして、知識や根拠もなく意見が述べられている。しかしわれわれが正しい道を進んでいるという最良の証拠は、数百万人のエルサルバドル人が、政府の措置を、64,000人以上の犯罪者を逮捕し、社会から隔離した政策を、支持しているということだ」、ヒル外相は主張した。2019年6月にブケレが政権に就いてから、エルサルバドルは「住民の福祉と民主主義の強化を旗印にした、変革のプロセスを開始した」。

(通算3935) (Pagina12の"Cruce entre Petro y Bukele por la nueva megacárcel en El Salvador"による)

 

(foto:AFP)