ラテンアメリカの進歩主義陣営は、コロンビアの大統領候補、グスタボ・ペトロとの連帯感を隠そうとはしない。もっとも最近のエピソードは、チリのガブリエル・ボリチ大統領が米州サミットに参加するため。6月8日に米国を訪れたとき、ペトロとロドルフォ・エルナンデスとの6月19日の第2回投票についてふれた。ロサンジェルスでコロンビアの記者から選挙について質問を受け、「あなたたちは、心臓がどこにあるのか知っているだろう」[わたしの心は左にある]と、左派候補へのシンパシーを隠さなかった。「わたしの個人的な好みや、あなたたちがよく知っている政治的親近性とは別に、われわれは国家としての関係を重視しなければならない。われわれはコロンビア人民の決定を尊重するだろう」、ボリチは少し言葉のトーンを下げた。

 

ボリチとペトロの親近性は以前から明らかなもので、また相互的なものだった。それは3月11日のボリチの大統領就任式に、ペトロが参列したことにしめされている。この日はかれが所属する連立組織「歴史的合意」の国会議員選挙の前日で、かれらはこのとき上院で多数派を取ったのだが、国内で行事が予定されていたにもかかわらずである。また新しい政府の多くの閣僚とともに、会談をおこなった。このときイバン・ドゥケ大統領は不在であっただけに、対照的なものであった。このときメディアの多くのカメラに囲まれてポーズを取ったのだが、そのなかには両者が手で、ハートを作ったものも含まれていた。ラテンアメリカのなかで、ペトロに連帯を表明したのは、ボリチが唯一の大統領ではない。

 

6月初め、メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドル大統領、通常かれは外交において慎重なのだが、ペトロにたいし異例のメッセージが送られ、コロンビア外務省から「無責任な干渉」という批判がおこなわれた。コロンビアのもっとも保守的なセクターから、汚いキャンペーンがおこなわれているとして、ペトロへの支持を表明したのだ。ロペス・オブラドルによると、かれ自身の経験に基づいており、権力に就くまえ、苦しめられたということであった。「ほんの少しだが、わたしはあなたに抱擁を送る、ペトロ」、大統領はこのように言い、自身で抱擁するジェスチャーをした。

 

この外交上の小さな嵐には、前段に同様の事柄があったのだ。ペトロは長い大統領選挙戦での多くの公的行事をこなしながら、そのあいだに国際的な会談を入れて、それはボリチだけではなく、バチカンでのフランシスコ教皇、マドリッドにおけるペドロ・サンチェス首相とその閣僚たち、フェリペ・ゴンサレス元首相などとの会談をおこなった。これらについてドゥケ政権は不快感を隠さずに、このときすべての候補者たちに、同じ扱いをするように要求をおこなった。

 

ラテンアメリカにおける進歩主義の軸の形成、これにコロンビアが含まれるという期待、この国にはいまだ左派政権が登場したことがなかったのだが、これにたいしロドルフォ・エルナンデスが闖入し、第2回投票で決することになった。この予測しがたい実業家、77歳は、その政治を性格づけるのが難しいのだが、演説ではポピュリズムと反制度を維持しており、最終段階を優勢で迎えたが、最新の世論調査ではその差は縮まっており、平均して「誤差の範囲」となっている。6月8日に明らかとなった、「GAD3」社がカナルRCNのためにおこなった日ごとの「トラッキング」では、ペトロが47.8%と、エルナンデスの47.1%にたいして、決戦投票段階で初めて上回った。

 

前日にカルタヘナで開催された「PRISA[スペインのメディア企業]、思考のフェスティバル」において、ペトロはペパ・ブエノ『エル・パイス』編集長とジャーナリストのアルベルト・カサスとの対談をおこない、自身の提案についての説明をおこなった。会話のなかで『エル・パイス』編集長は、もしも今年コロンビアでかれが、ブラジルでルラが勝利したならば、ボリチとともに、ラテンアメリカにおける新しい軸が作られることになるのかと質問をおこなった。「歴史的協定」の候補者の回答は、「疑いもなくそうだ。知識、文化、農業に価値を置く、ラテンアメリカになる」というものであった。

 

また大統領であったならば、米州サミットに参加したかとも質問した。「そうだ、バイデンと面と向かって話しをするために参加しただろう」と答えた。かれは米国大統領と、気候危機、麻薬撲滅政策の変更などの事柄を話したいという。ボリチはラテンアメリカの他の指導者とは異なり、ロサンジェルスのサミットに参加する決定をおこなった。たとえばロペス・オブラドルは、米国政府がニカラグア、ベネズエラ、キューバの排除を決定したことにたいし、これに賛成せず欠席することを選択した。

 

エルナンデスはカルタヘナでの「思考についてのフェスティバル」に参加して、自身の提案を説明するという招待を、最終的に拒絶した。このブカラマンガ元市長は、最終段階でのペトロとの討論を、完全に拒否しており、自身の選挙戦を閉じられた企業人との会談と、フェイスブックでのライブに集中させている。しかしながら今週になって、異例なことにフロリダ南部を訪問し、そこでのコロンビア人社会の指導者と企業人と会談すると発表した。

 

これまでのところエルナンデスは実際に、いかなる外交政策も提示してはいない。ただ経費削減措置として、外交施設の削減を約束し問題となった。専門家たちはこの考えを批判する。元外務大臣のコラムニスト、マリア・アンヘラ・オルギンは批判する、「最初の大統領令で、27の大使館を閉鎖するとは。かれは世界のなかでの国のプレゼンスの重要性を理解せず、関心をほとんど持っていないことをしめしている」。国際派のサンドラ・ボルダも『エル・パイス』紙に語った、「これは恐ろしく不都合だ。(・・・)この計画はごまかしに基づいていて、外務省がこの機能のために支出するのは国家予算の0.1%という少額であるという観点がない」。彼女は所属する「ヌエボ・リベラリスモ」がエルナンデスを支持するという決定から距離を置いている。エルナンデスが現在しめしている、国際的な孤立の政策は、ペトロに送られている、心や抱擁とは対照的なものになっている。

(通算3699) (El PaisのSantiago Torradoの"Boric respalda a Petro de cara a las elecciones en Colombia"による)

 

(3月11日、ボリチの大統領就任時、ペトロ候補と。foto:bluradio)