経済学者であり企業家の、野党ルイス・アビナデルがドミニカ共和国の大統領選挙に勝利し、中道左派政党、ドミニカ解放党(PLD)から、16年振りの政権交代を実現した。社民である現代革命党(PRM)の候補者であったアビナデルは、投票コンピューター・センターの82.96%の開票で52.4%を獲得した。与党PLDのゴンサロ・カスティジョ候補は、投票の37.7%を獲得した。

 

ドミニカの選挙は、5月17日に予定されていたが、コロナウィルスのために延期された。ドミニカ共和国は、中米・カリブ諸国のなかで、パンデミックの感染がもっとも大きかった国で、37,425人の感染と794人の死者を現在までに出している。また3ヶ月以上前に自宅隔離に入ってから、ラテンアメリカのなかで、初めて選挙をおこなった国となった。

 

「勝利した。今日勝利した」。アビナデルは、7月6日明け方、サント・ドミンゴで、かれの選挙キャンペーンのメンバー、支持者数十人のまえで、こう祝った。かれは経営者で、これまで公職の経験はない。「それはドミニカ民衆による変化にたいする投票だ」。この52才の経済学者は、8月16日に大統領職に就任する。

 

50%以上の票を獲得したことによって、第2回投票を回避することが可能となった。かれの勝利は、2004年以来初めての権力交代と見なされる。また中道左派のPLDにとっては、痛い打撃となった。PLDは議会の多数派を握っており、これまで4期、大統領職を維持してきた。最初はレオネル・フェルナンデス、次にダニロ・メディナによって。

 

フェルナンデスは2019年10月、PLDを脱退した。カスティジョが勝利した党の予備選において不正があったと告発して。そして人民の力(FP)を結成した。それはかれの元の組織を権力から追い出すためであった。このドミニカの大統領を3期務めた人物は、今回わずかに8.6%の得票しか得られなかった。

 

アビナデルは変化と経済を良くすることを約束し、汚職、顧客主義との闘いを旗印にした。これをPLDの責任に帰し、与党のイメージを失墜させるのに利用した。この何年間のあいだ、経済が順調であったにもかかわらず。ブラジルのゼネコン、オデブレヒトの賄賂のスキャンダルは、ドミニカ全体に打撃を与えた。現在この国は、国際透明性指数が、180カ国中137位となっている。

 

選挙はパンデミックが最高潮のところでおこなわれた。ここ数日のあいだ、1日の新しい感染者が1000人を超える、感染者数の最高記録を生んでいる。COVID-19にもかかわらず、投票所には多くの参加者が記録された。ただ中央選挙評議会(JCE)は、投票率についていまだ発表をおこなっていない。

 

ドミニカ人たちはマスク着用が義務づけされ、アルコール・ジェルを使用し、投票所への列は、距離を取ることとされた。ただ多くの場所で、密集が認められたが。この投票日、平常を破った唯一の出来事は、サント・ドミンゴの貧困地区、投票所入り口での発砲であった。PRMの指導者が1人死亡し、少なくとも2人が、銃弾によって負傷した。

 

ルイス・アビナデルとはどのような人物か?

 

いまは亡きホセ・ラファエル・アビナデルの息子である。ホセ・ラファエルは若いとき独裁者ラファエル・レオニダス・トルヒジョ(1930-1938,1942-1952)との闘いを指導した。トルヒジョはドミニカの大統領に選ばれて、この国の長い躓きの連鎖を残した。2005年に上院議員になろうとしてできなかった。2012年には、イポリト・メヒア元大統領の右腕として副大統領候補に立候補したが、PLDのメディナに敗北した。2016年にも戻ってきて、今度はメディナにたいする大統領候補となったが、ふたたび投票で敗北した。

 

「わたしの父、ホセ・ラファエルに感謝している。かれは天国からこの幸せを見てくれているだろう」。アビナデルは選挙運動メンバーに勝利を繰り返すなかで語った。この経営者は、父親の政治組織、ドミニカ革命党(PRD)の活動家であったが、この党は結党から75年目、2014年に分裂した。このとき現代革命党(PRM)が結成され、この党から7月5日投票の選挙に立候補した。

 

19世紀末にドミニカに定住したレバノン人の孫として、アビナデルは、旅行、農業、セメント業の会社を所有しており、それは企業グループ、アビコルである。かれは職業のキャリアを始めるまえ、ハーバード大学で企業財務、ファイナンシャル・エンジニアリングを学び、ニューハンプシャーで高度な経営を学んだ。ラケル・アルバヘと結婚し、彼女は選挙期間を通じて、かれに付き添った。3人の娘がいる:パトリシア、グラシエラ、アドリアナ。

 

アビナデルは自身を「退屈」と規定し、大衆を引っ張っていくときは、もっと「情熱的」でなければならないと認めている。政府では、かれはそのオブラートに包んだ選挙戦の約束から、実行が迫られる機会を持つだろう。そしてCOVID-19によってもたらされた、経済と健康危機を克服する課題を。この企業家自身、その妻、2人の娘は、数日前に、この病気から回復した。

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(foto:EFE)