米国のドナルド・トランプ次期大統領は、11月28日、キューバ人のためだけではなく米国人にとっても「より良き協定」の交渉を受け入れないかぎり、キューバとの接近のプロセスを破棄すると脅迫した。かれのツイッターに書き込まれた文章で、2014年に米国とキューバが開始したプロセスで、昨年半世紀ぶりにそれぞれの大使館の再開にまでこぎつけたが、これを「終わらせる」用意があると述べた。
一方でホワイトハウスは、フィデル・カストロの死によって、米国のキューバとの関係を正常化しようという努力には、いかなる影響もないと語った。またAP通信は、トランプの脅迫にたいして、共和党議員のある部分と、経営者団体の代表など、キューバとの関係の維持に賛成しているところから反対の声が上がる可能性に触れている。
こうしたなか米国から半世紀ぶり、初めての商用便、アメリカン航空会社の飛行機が、マイアミを発ちホセマルティ空港に到着した。
2014年にバラク・オバマ大統領がキューバとの関係正常化を開始して以来、米国はいくつものキューバへの旅行、商業、情報の流出の歩みを拡大してきた。このような2国間関係の「正常化」の努力は、米国がある段階でキューバにたいする経済貿易封鎖‐1962年に開始され、1992年に法制化された‐を解除するという約束の部分をなしていた。
この2年間のあいだに、米国は封鎖に関係して、大統領令により出来るものに関しては、その緩和をおこなってきた。これらの政策は次期の政府によって見直される可能性がある。「もしもキューバがキューバ人にたいして、キューバ系米国人にたいして、米国人全般にたいして、より良い合意をおこなう用意がないのならば、わたしは合意を終わりにするだろう」、トランプはツイッターに書きこんだ。
米国政府はキューバとの接近を擁護して、キューバにたいして行き過ぎた譲歩をした、互恵主義ではないという考えを否定している。ホワイトハウスのジョッシュ・アーニスト報道官は、「米国のキューバ政府にたいする現在の政策で、一連の譲歩をしたという批判がある。これは正しくない。譲歩はない」と強調した。
11月28日、新政府への移行チームのスポークスマンであるジェイソン・ミラーは、トランプ発言を熱心にそのニュアンスを変えようとした。しかし新政府が、米国人を「お人好し」と取られるようなことがらを支持しないと述べた。
「言うまでもなくキューバは非常に複雑な事柄である。次期大統領はキューバ、キューバ人が直面している挑戦、その微妙さ、複雑さを良く知っている。したがってそれはかれが大統領に就任して、仕事を始めてからの問題になるだろう」、ミラーは語った。
11月26日、カストロの死のニュースによる衝撃のなかで、トランプは公式の覚書を発表し、そのなかでかれの政府は、キューバ人の「繁栄と自由」を守るために、「出来ることのすべてをおこなう」と述べた。
いまのところバラク・オバマ大統領もジョー・バイデン副大統領も、フィデル・カストロの葬儀には出席しない。ホワイトハウスのジョッシュ・アーニスト報道官が発表した。米国が葬儀に代表団を派遣するかどうかについては、すぐに明らかにされると報道官は補足した。
(N01492) [La Jornada による]
弔問に列を作るキューバ市民 foto:AP