中国は11月19日リマにおいて、米国のドナルド・トランプ次期大統領の保護主義の考えに立ち向かう、アジア太平洋地域における自由貿易主義のリーダーとなる目的を鮮明にした。

 

予想外の経済界大物共和党員の選挙ののち、中国と米国の関係について「蝶番のとき」と、中国の習近平国家主席は、アジア太平洋フォーラム(APEC)‐21か国の年次サミット‐の枠外での会見で語った。

 

「(米国と)ともに協力に集中して取り組み、われわれのあいだの相違を調整し、関係の穏やかな変化を保障し、これは進展している」、習は米国のバラク・オバマ現大統領との2国間会談を前にして語った。

 

オバマは少しまえ、世界にたいしてかれの後継者にたいして少し忍耐を持つように要請した。

 

「世界中の人々が即断をおこなわないことが非常に重要だ。次期大統領に機会を与えてほしい」。

 

「選挙キャンペーンでの行動は、どのように政府を運営するかと必ずしもイコールではない」。オバマはリマにおいて若者のグループとの対話を持ち、トランプに関する多くの質問に答えた。

 

APECの会議のなかで、トランプの考えと推測される保護主義の荒波にたいして、習は中国が提案する自由貿易を支持するように訴えた。

 

「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の建設は、この地域の長期的な繁栄のための基本的な戦略提案だ」。

 

「われわれは世界の外に向けて門戸を閉ざすのではなく、より広げるのだ」、世界第2の経済国の習は付け加えた。

 

習はトランプについて言及しなかったものの、その主張に立ち向かう意思を表明したものだ。1月20日にホワイトハウスに入る次期大統領は、労働力がより安価な中国とメキシコから、米国人の雇用を守ると選挙民に約束していた。

 

リマにはメキシコのエンリケ・ペニャ・ニエト大統領も到着した。かれはトランプの選挙キャンペーンのなかでのメキシコへの敵対にたいして慎重さを維持した。ペニャ・ニエトはトランプとの「対話の優先」を希望した。

 

ペニャ・ニエトは1994年発効でメキシコを米国とカナダにつなげる北米自由貿易協定(TLCAN)について、これを改正する用意があることを繰り返した。トランプはこれを変更するか、直接的に廃棄することを望んでいる。なぜならこれは米国の利益を損なうと考えるからである。

 

TPPのために努力

 

トランプはその選挙キャンペーンのなかで、環太平洋経済連携協定(TPP)を激しく攻撃した。これは米国が推進し、他の11か国と調印した、意図的に中国を排除したものである。

 

トランプによればTPPは米国にとって「恐ろしい」もので、共和党が支配する議会に反対させ、そうなればこの協定は死を宣告される。

 

ホワイトハウスによると、リマにおけるTPP調印国指導者たちとの会議のなかで、オバマは「引き続きTPPが前進するよう努力する」ことを訴えた。

 

TPPが危ない状態になるならば、中国は自身のプランを推し進めていくことになるだろう。

 

習は中国が描く、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を持ち上げた。これも自由貿易協定で、東南アジア諸国連合(ASEAN)10か国を統合し、その貿易相手国、なかでも中国、オーストラリア、インドを加える。この提案には米国が除外される。

 

中国はRCEPをアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)に向けた始まりと提唱した。この協定はAPEC21か国へと、よりグローバルに広がり米国も含まれる。しかしその実現のためには、何年もの時間を必要とするであろう。

 

中国は「経済のグローバル化のなかで、多面的な貿易を支持し、FTTAPの前進をはかりつつ、早期にRCEPの交渉を終結する」ことに全面的に取り組むと、習は強調する。

 

APEC21か国は地球の40%の人口と60%の世界の貿易量を代表する。これらの国はグローバル化で利益を得、米国とともにあるいは抜きに、これを続けていくことを望んでいる。

 

オーストラリアは中国の提案に前向きである。しかしながらアジアのもう一つの経済力を持つ日本は、中国のセイレンの歌声に懐疑的である。

 

そのほかの国々、たとえばチリなどと、米国が入らなくともTPPを守っていこうとしている。

 

「中国の自由貿易の協定は、TPPの失敗を埋め合わすことは出来ない」、11月19日、カピタル・エコノミックス研究所は述べた。TPPの崩壊は、「アジア新興国の経済展望に大きな打撃を与えた」と語る。

 

「この地域への利益は、恐らく小さいものであろう」。

 

そして「米国の退場は、中国にとってアジアにたいする影響力を増大する機会を作ることになるであろう」と研究者は語った。

(N01480) [AFPのPierre AUSSEILとTupac POINTUによる]