「この紛争のすべての犠牲者にたいして、この戦争のなかでわれわれが与えたであろう痛みにたいして、心から許しを乞いたい」、9月26日、コロンビア革命的武装勢力‐人民軍(FARC‐EP)のロドリゴ・ロンドニョ、よりティモチェンコの名前で知られる最高司令官は、コロンビア大統領フアン・マヌエル・サントスとのあいだで、歴史的な和平合意に調印したのちに語った。大統領は、「恐ろしい暴力の夜が終わった・・・平和という新しい夜明けに向かって、われわれの心を開けよう」と表明した。


ちょうど17時30分に、1分間の沈黙ののち、サントスとティモチェンコは、和平協定に調印した。2012年11月以来、キューバのハバナにおいて交渉を始め、さる8月に合意に至ったものである。52年間の内戦のなかで、22万人の死者、45,000人の行方不明者、690万人の難民を生んだ。


297ページにのぼるテキストで、サントスが強調したのは、核心的には「銃弾を投票に」変えるということで、ゲリラの武装解除を進め、合法的政治生活に移行することだった。調印はbaligrafoバリグラフォによって署名された。balas銃弾で作られたboligrafoボールペンによって。このレプリカは、式典に招待された2500人に贈呈された。会場はフリオ・セサル・トゥルバイ・アヤラ会議場のバンデラス広場であった。


最初に署名したのはロンドニョであった。かれはまたティモレオン・ヒメネスの名前でも知られる。そのあとサントスが署名する。かれは平和のハトのデザインの入ったシャツをFARC最高指導者に手渡した。ロンドニョはそれをグアジャベラ[やはり服]にはおった。


そして初めてコロンビアで握手をした。


「困難で夢のような対話に感謝したい。未来を楽観主義で見ることができる。平和万歳!コロンビア万歳!平和なコロンビア万歳!」、国連(ONU)事務総長潘基文が演説した。かれは双方の努力を評価し、国連が和平後の時期を監督することを約束した。


ティモチェンコは引き続く演説のなかで、国民和解と社会正義について述べた。最後に「土地に関する2度目の機会」を歓迎すると、亡くなったコロンビアのノーベル受賞者ガブリエル・ガルシア・マルケスについて触れた。


「誰もわれわれが武器なき政治を目指すことを疑うことのないように;すべてのものが武装解除のために、精神と心の準備をするだろう。紙に書かれたものは、現実によって生命あるものになるだろうし、それによって可能となる。さらに国際社会の承認によって。コロンビア人民が協定の主要な保障にならなければならない;われわれは成し遂げるであろうし、政府も成し遂げることを期待する」、ティモチェンコは強調した。


「式典参加者はみんな白いシャツを着ていた。そのなかにはキューバのラウル・カストロ議長もいた。キューバはノルウェー、ベネズエラ、チリとともに、交渉を支援する国の一つであり、交渉の場を提供した。ティモチェンコはサントスにたいし、「合意を実行しようという確かな意思に感謝を表明し、それはコロンビア社会全体と国際社会の勝利であった。


「われわれの、国を流血の兄弟殺しからの政治解決をもとめるという目的は、フアン・マヌエル・サントス大統領に出会うことになった。勇気ある対話者で、かれにたいする戦争主義者たちの圧力、挑発にたいし、毅然としてこれをはねのける能力を持っていた」。


もっとも高揚した場面の一つは、ロンドニョが許しを乞うたときだった:「FARC‐EPの名において、この紛争の犠牲者となった人々に、心からの許しを乞いたい。この戦争のなかで、われわれが引き起こしたであろう苦痛に対して」。式典参加者からの喝さい、拍手、叫びのなかでロンドニョが強調した。


そのときティモチェンコは飛んできた飛行機に驚かされた。バンデラス広場の上を、平和を祝するために爆薬を破裂させた。今日までゲリラグループの最高司令官であったかれは、笑いながらコメントした:「飛行機は平和を祝するためにやってきたのだ。爆撃するためではなく」。


一方サントスは、FARCメンバーにたいして、「民主主義への歓迎」を表明した。「今日、反乱グループのメンバーたち、社会への復帰の道を歩むとき、武器なき政治運動への移行を始めるとき、協定に定める正義、真実、補償を続けるとき、祖国の国家の長として、すべてを愛するし、あなたたちに民主主義にようこそと歓迎する」、サントスは語った。


「きょう調印したのは、コロンビア人民の世界にたいする宣言で、われわれは戦争に疲れたし、思想を守るために暴力を手段としないということだ」、サントスは言う。


「銃弾を投票に変える;武器を思想に。これは最も勇気ある、そしてもっとも賢明な、いかなる転覆を目指すグループにとっても、決定だ。そしてあなたたちにとって、歴史の要請を理解する良い時期であった」。


「恐ろしい暴力の夜を終わらせる・・・新しい平和の夜明けにわれわれの心を開ける」、サントスは涙とともに演説を終えた。


式典には大統領たちが出席した。メキシコのエンリケ・ペニャ・ニエト;アルゼンチンのマウリシオ・マクリ;チリのミチェレ・バチェレ;エクアドルのラファエル・コレア;ベネズエラのニコラス・マドゥロほか;米国外交の長ジョン・ケリー、国際組織の多くの代表などが出席した。


ボゴタのボリバル広場では、数千人のコロンビア人たちが、あるいはそのほかの都市においても、巨大な画面のテレビで調印の式典を見ながら、喝さいをあげ、祝い、そして旗をなびかせた。当局はこの日を祝うために音楽ショーを準備し、ゲリラたちもヤリのジャングルのキャンプで、コンサートを開きこの日を祝った。


この日は軍への敬意とともに始まった。サントスはその「犠牲と勇気」に感謝した。


サン・ペドロ・クラベル教会では、バチカン国務長官であり、フランシスコ法王のこの日の特使である、ピエトロ・パロリン枢機卿が「コロンビア人の和解のための祈り」を指揮した。これはこの国のすべての場所の礼拝で繰り返された。


いまや協定は10月2日におこなわれる、コロンビア市民の国民投票にかけられる。もしもこれが承認されるならば、小説『百年の孤独』の登場人物の一人、マウリシオ・バビロニアは黄色の蝶を自由にしなければならないだろう。式典において、サントスだけではなく、ロンドニョもこれを引用した。

(N01422) [La Jornada による]




ボゴタ市民    foto:xihua