池袋 楽楽(その6)
3月18日に行われたG7で各国の財務相や中央銀行総裁は、大震災と原発事故を受けた日本の円高の動きを阻止するため、円売りの協調介入を各国で実施することで合意した。
間接的に日本復興の支援を決めたのだ。
しかし中国は、日本の最大貿易相手国であり、世界の3分の1の外貨準備高を持っているにもかかわらず、協調介入策に参加しないとの意向を示した。
中国は自分の利益を優先したのだ。
GDP世界2位になったにもかかわらず、中国はそれに相応する責任を果たそうとしないとして各国からは非難されている。
経済力に見合わない援助金などのことについても指摘されている。
震災で痛んだ日本に対して、表面的には援助をしてアピールしているが、実は裏で更に日本経済に打撃を与えようとしているような動きが目立ってきている。
中国は自国で日本の放射能を大げさに報道し、中国から日本製品を排除しようと画策しているようだ。
自国の人民が日本製品に群がるのを、これを機に止めさせたいのだろう。
農作物だけでなく、工業製品も放射能で汚染されているような誤解を植えつける報道もみられるらしい。
日本の航空自衛隊の基地が壊滅し、戦闘機も津波で流されてしまったので、日本の防御力が低下しているとみるや、中国はすかさず東シナ海で牙をむいた。
警戒監視中の海上自衛隊の護衛艦に海洋調査船のヘリコプターを急接近させ、挑発的な動きをしているらしい。
中国の軍船も支援物資を運ぶという名目で、日本の港に入ろうとした。
港が壊れている状況にも関わらず、どさくさに紛れて日本の領海に軍船を入れたら、後で色々と厄介な事が起きるに決まっている。
中国に軍事で実績をつくらせると、マズイのは歴史が証明している。
まったく油断も隙も無い状態だ。
まさに敵のピンチは自分のチャンスと言わんばかりだ。
渡航自粛も徹底していて、旅行客は全てキャンセルされた。
中国人観光客の居なくなった日本の観光地は、悲鳴をあげているらしい。
桜の開花時期になって、いつもは多くの人で賑わう場所も、今は閑古鳥が鳴いている。
中国式のマッサージは、日本に留学・就学に来ている中国人の学費を稼ぐ場でもある。
新学期までには日本に戻りたいと思っている中国人は多いが、親や親戚・知人から強く反対され、日本に戻るのを躊躇しているのが現状のようだ。
日本の大学や専門学校なども、学費を納めてくれないと困ることになるだろう。
少子化で学生の集まらない不人気の学校は、今や中国人学生に頼って成り立っていると言ってもよい。
こういった中国政府の一連の行動は、計画停電同様に日本の経済の足を引っ張っている。
後でボディブローのように効いてくるのではと思う。
中国式マッサージ店は、深刻な経営不振に陥っているところも多いようだ。
小姐の多い店ほど影響は大きい。
これだけ大量に小姐が帰国してしまうと、営業を縮小したり閉店する店も出てきている。
私は池袋の楽楽を覗いてみた。
看板がついているので、エレベーターを上がってみた。
久しぶりの突撃だ。
見覚えのある顔が出てきて、私と目が合った。
彼女は私の事もよく覚えていて、人懐っこそうな笑顔を浮かべていた。
やはり帰国していたが、月末に戻ってきているようだった。
店は小姐不足で、男性の店長(?)もマッサージしていた。
私も気をきかせて、男性施術でも大丈夫なように足裏マッサージをやることにした。
しかしユミちゃんは自分でやるという。
テキパキと準備をしていた。
手さばきの良さは流石で、ベテランの技を私は堪能した。
彼女から足裏をやってもらうのは記憶に無かったが、かなり巧い方なので驚いた。
花粉症になったらしく、大きなマスクをしていた。
中国で親が塩を沢山買った話や、日本行きを猛反対されたことなどを彼女は話していた。
私は笑って中国での話を聞いていた。
やはりデマや大げさな報道に、中国の方が混乱しているようだった。
「日本は大丈夫だよね?」
彼女は一瞬真顔になって、私に訊ねた。
私は大きく頷いた。
「中国の原発の方が、もう既に危ないかもしれないよ。放射能の数値が東京より多いのはおかしいよ。」
彼女は私の言葉を真剣な顔で聞いていた。
私は3kを支払って、店を出た。
彼女はエレベーターの前まで来てくれて、笑顔を私に振りまいていた。