高崎で処理する案件があったのだが、急な連絡で、草津温泉近くまで足を延ばすことになった。
ただ、少々眠気があり、山間部での運転が多少苦痛になったので、長野原草津口駅まで列車で向かおうとしたのだが、折悪しく普通列車がしばらく無い時間帯である。
そのタイミングでやって来るのが、この春のダイヤ改正で誕生した特急草津・四万である。
全車指定で特急料金は必要だが、割安なB料金であるし、券売機を見たら結構空席があるようなので、話の種に乗ってみるのも悪くないと思ったのだ。
吾妻川に沿って走るルートは、道路も鉄道も面白い場面が多いが、安山岩を主体とする岩盤が多く、浸食で大きく切れ込んだ岸壁が異様な眺めを作り出しているところがある。
群馬県には、妙義山をはじめとしてそうした奇岩怪石が連なるところが多いのだが、クルマで走るとついつい景色は二の次になってしまう点で、鉄道の移動は悪くない。
しかも、普通列車のロングシートではなく、窓の眺めを存分に楽しめる特急のクロスシートは、やはり料金を払うだけの価値はあると思うものだ。
中央線や房総方面から転用されたE257系には、その改造内容には未だに疑問を呈する方も多いが、乗ってみるとそれ程悪い感じはしない。
渋川までの高速区間と、その後の山間部を走る区間での乗り心地の違いなども味わってみると面白いものだが、それ以上にこの奇岩怪石を楽しむのが、この区間の趣を深くする。
途中の小野上駅には、JRの採石線があるくらいだから、採石場も多く、それがより複雑な眺めを作ることも面白い。
長野原草津口駅に着いてから、しばらく風景を楽しんで別の思いにも浸ったが、本数が少ないうえに、短区間とは言え、この特急草津・四万は病みつきにするものがありそうだ。